最大の不幸
これからどうするべきでしょうか。
まずは情報整理です。
家にもし家に帰るのならば、母様は私に罰を与えるでしょうから、
できれば選びたくはありません。
家においてきた極レジェⅦが心配です。
次に残された時間ですが、
学校中に噂が広がるまで1週間はかかるでしょう。
ただし、母様の耳に入るのはもう少しかかるはずです。
恐らく持って7日、いや、6日ほどでしょう。
大人しく家に帰り罰を受けるにしろ、楯突くにしろ、それまでに
決めなければ、なりません。
帰るならばもはや気持ちの問題です。
今は、楯突く前提で行動するべきでしょう。
「でも、母様に復讐する方法ですか……」
私は母様、「九条・ディアン・ティウス・グランツ」のことを思い出します。
母様は元々、海外のとある国の企業の令嬢であり、父様を社長とした風田市を中心に全国、そして一部海外にまで進出する大企業、『グランツアリット』の現会長を務めています。
グランツアリットは、ITや不動産、警備など様々な会社を傘下に持っていますが、
それだけでは、ありません。
グランツアリットは、裏社会とも関わりがとても深いのです。
金融ではマネーロンダリング。不動産では拠点を提供など、
犯罪まがいのことも行っています。
また、話は変わりますが、父様と母様は政略結婚です。
しかし、父様は母様に一目惚れだったそうですが。
父様はもともと、地域銀行を持つとある会社の御曹司だったそうです。
なので、母様の両親である、私のお祖父様とお祖母様の後押しもあり、
結婚は簡単に決まったと聞きます。
しかし、ある日。大きな事件が起きました。
これは、私がまだ中学生の時、母様が工場の視察を行った日の、帰り道での話でした。
私たちは、高速で流れていく景色を車窓から眺めていました
しかし、その時偶然。
私たちの視界に『彼』が映り込んだのです。
スラッとした、しかし筋肉質で引き締まった身体。
人形のような整った顔立ち。
自信の満ちた表情に、
明るい太陽のような栗毛。
その容姿は、もはや人目を引かない方が難しいレベルでした。
私も容姿には自信があります。 ですが、彼のソレは別格でした。
神に愛された、とでもいうべきでしょうか。
それはほんの一瞬の出来事でした。
しかし、その時。
とても不幸で、残念で、思わず目を覆ってしまうような、
グランツ家最大の、不幸な事故が起こります。
事故という表現では足りないかもしれません。
災害。
あるいは天災。でしょうか。
その美貌に目を奪われていた、私の母様は——
「……はぁ。」
今、思い返しても、どうにか防げなかったのか考えてしまいます。
あの時、どうにかして車の窓を塞げなかったのか、と夢に出たことすらあります。
…………話を戻しましょう。
——ですが、現実は非情でした。
あの時、彼に目を奪われていた私の母様は——
母様は、『海外の会社』
↓
父様と結婚
↓
父様の銀行が『グランツアリット』に社名変更
↓
『グランツアリット』の会長に




