表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SNSに思いをぶつけたら奇想天外な人生を歩むことになりました  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/58

ついに故郷へ 2

 リリックから連絡を受けたヒカルゴの特殊警察隊がやってきて、まずは今三人がいる部屋の中を徹底的に調べ始めた。この部屋ではライティングデスクの裏側に盗聴器が設置されていた。続いてペトやハットの部屋も調べると同様に盗聴器が設置されており、オルダヤ・洗浄党の計画的な犯行だと考えるべきだろう。


 この結果を受けてすべての部屋の調査を行うと、すべての客室から盗聴器が見つかり、大統領や長官クラスの部屋からは監視カメラも発見された。


 ハットたちはこの事実を盗聴器の写真を添えてすぐにSNSで世界中に拡散した。盗聴器の写真にはチカリヤの国営企業の製品で一般には流通しておらず、チカリヤの軍部や秘密警察などが使うもののはずといったリプライが殺到し、オルダヤはチカリヤのコントールの下に何とか国としての体裁を繕えている、そんな印象を三人は受けた。


 盗聴器が撤去されたので安心して話をする三人。


「オルダヤはチカリヤの属国に成り下がっていると、アストル側に見られているくらいだから驚きはしないけど、チカリヤから金を受け取り、インフラを整備してもらう提案を簡単に受け入れる気がするな」


「私もブルの考えと同じ。おそらくオルダヤはもはや単独では国として立ち行かなくなっていて、チカリヤからの援助をすべて受け入れる気がするよ」


「ねえ、ペト。だとすると洗浄党の黒幕ヘム・タテハナもさすがにお手上げっていうことなのかな。僕はヘム・タテハナのことをあまり知らないけど、何だかチカリヤに取り入って、自分だけ助かろうという作戦でも立てている気がするんだけど」


「ハット、私もそういう気がしてきた。ヘム・タテハナと洗浄党の顧問のトクル・カストやイムロ・マカイあたりまでが助かればそれでいい、そんな風に考えているような気がするね」


「だろう! だから俺は思わず叫んじまったんだよ。黒幕のヘム・タテハナにトクル・カストやイムロ・マカイ。それに党首のヒロム・ヨウラ! あいつたちの懐だけが温かく分厚くなって、多くの国民のことなんて眼中にない連中。国をよその国に売り飛ばしても平気な連中、最低だよ、あいつら!」


 盗聴器が取り外されてすぐだということもあり、ブルは特にエキサイトして口走っていた。




 当然ながら盗聴器や監視カメラのことは大統領以下長官クラスの耳にも入れられ、本来はオルダヤの観光名所を見て回る予定が組み込まれていましたがすべてをキャンセルし、昼食も取らずに通しで夕方まで会談や会合がずっと行われています。特にアストルのジェンキンズ大統領はオルダヤの首相ヒロム・ヨウラに対して激しい言葉で迫っていく。


「ヒロム・ヨウラ首相、オルダヤでは他国からの客人に対して、このような無礼を働くことが慣例になっているのか!」


「ジョン・ジェンキンズ大統領、申し訳ないと思うが、我々が仕掛けた物ではない。ヒカルゴの人たちの仕業ではないのか?」


「ヒロム・ヨウラ首相、私たちが仕掛けたとおっしゃるのですか? そんな時間も必要も私たちにはありませんよ。そうやって何でも他人に責任を擦り付け、自分たちは正義面する。ヒカルゴにも洗浄党がありますが、言い方ややり方が全く同じ。洗浄党の基本理念ですか? 他責思考って」


「パガーノ大統領、根も葉もないことをおっしゃいますね。いつ我々が責任を他人に押し付けましたか?」


「たった今ですよ! そもそも私たちがオルダヤに来て間もないのに、どうやって盗聴器や監視カメラをホテルの全客室に設置できるというのですか? 濡れ衣も甚だしい。あなた方がチカリヤと組んで、我々の情報を抜取ろうとしたスパイ行為以外の何物でもないですよね!」


「今パガーノ大統領が言ったとおりだ。君たちはオルダヤという素晴らしい国、素晴らしい国民をチカリヤに差し出そうとしている。あの悪魔のような国にね。そしてあなたたちは自分たちの地位や金だけを守り抜くんだ、ヘム・タテハナの指導の下にな」


 このような非難の応酬が続くのでなかなか本題に入ることができない。オルダヤの民主化やチカリヤ依存からの脱却とアストル陣営への再加入。民主的な方法による選挙の実施、国民をランク付けし居住地域まで制限する前時代的な統治など、話し合って解決しなければいけないことが山積しているのに。


 パガーノやジェンキンズの両大統領は話がなかなか前に進まずイライラが募りますが、これはオルダヤ・洗浄党側の作戦どおりと言える。こうして本題に入らないように話を逸らし、その先の話に進まないように時間稼ぎをしていく。上手くいけばジェンキンズ大統領がキレて席を立ち、早期の帰国に持って行きたい。それがオルダヤ・洗浄党側の描いているシナリオでしょう。




「本当に洗浄党の連中はムカつくんだけど、民衆の前でオルダヤの未来を考えてチカリヤや洗浄党からの決別なんて言ったら、その瞬間に警察が押し寄せてきて逮捕されるんじゃないか? ハット、本当に街へ出て行って演説みたいなことやるのか?」


「それは私も思うよ。これだけ警戒されているからこその盗聴器設置だし、街で洗浄党を批判した途端に逮捕は十分あり得るよ」


「それはもちろん意識しているし、洗浄党のことだから適当な理由を付けて警察が来るだろうね。でもヒカルゴやアストルの警備隊を信じて、みんなの前で真実を話して、話を聞いてくれた一人一人が自分で動かなければと思ってくれないと、オルダヤは何も変わらないから……」


「そうだよな、ハットはそう言うと思ったよ。今さら捕まったとしても、元々俺たちは囚人なんだから元に戻るだけだもんな」


「私もハットの方針に反対してるわけじゃないから。私たちはオルダヤを元の姿に戻すために活動しているし、その活動のために脱獄させてもらったのだから、もしも捕まってガルドラ刑務所に戻されたとしても元の環境に戻るだけ。本当ならば国のトップと話ができるような人間じゃないのに、今じゃごく普通に話をしている。それだけでもすごいことだし、オルダヤの人たちにもこの自由というものを満喫してもらわないとね」


「ブル、ペト、ありがとう。それで早速なんだけど……」


「もちろん、今日から街へ出るだろ?」


「うん、そのつもり。今からSNSで告知して……、夕食を食べてからでもいいかな?」


「時間はいつだっていいよ。警備隊へ話を通しておかないといけないし、思い立ってすぐにというわけにはいかないから、夕食後でいいんじゃないかな」


 警備隊に夕食後に街で演説を実施したいと伝えると、ビルが建ち並ぶホテル近辺ではなく見通しが良い広場を勧められ、そのことをSNSで発信すると多くの方にマーシュ中央公園が良いとのリプライが。警備隊にそのことを伝えるとマーシュ中央公園までは車で移動してもらい、演説中も警備隊が取り囲む形で安全を確保するとの返答がありました。


 オルダヤでの洗浄党批判の演説はマーシュ中央公園で行うことが決まりました。




「決まってから言うのはどうかなと思うけど、ハット、もしも誰も集まらなかったらどうする?」


「ブル、ハットの支持者はオルダヤにも多いから、誰も集まらないなんてことはないだろう」


「ブル、ペト。洗浄党としては集まってもらっては困るはずだから、何らかの妨害工作はするかもしれないね」


「そうだよな、何せ洗浄党を貶す演説なのだから、そんなものを聞いて洗浄党に牙を向ける人が増えたら困るものな」


「ハット、本当に誰も集まらなかったら演説はやめるのかい?」


「ううん、一人も集まらなくても演説はするよ。ブル、ペト、悪いけどライブでSNSに流してもらいたいんだけど……」


「もちろんいいぜ! スマホで撮って流すだけだ、簡単だもんな」


「ハット、私もできるだけのことはするよ。オルダヤでの第一声だ、人は集まらなくても、オルダヤで本当のことを生で話すことに意味があるもんね」


〝急で悪いのですが、多くの方に勧められたマーシュ中央公園で夜八時から演説を行います。来れない方もいるでしょうから、SNSで生配信も行います。僕たちの思いをぜひ聞いてください。ミッドハット・ホール、ウーム・ペトロ、ジェット・ブルート〟


 SNSで演説を行う場所と時間を発信した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ