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SNSに思いをぶつけたら奇想天外な人生を歩むことになりました  作者:


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取引優先の大国 2

「俺たちの祖国オルダヤはチカリヤの属国になっちまったのか? 洗浄党が売渡したのか?」


 取り調べの中で〝属国〟というワードを聞かされショックを覚えたブルが、誰かに向かって言うのではなく、まるで自分に言い聞かせるように大声で話した。


「ブル、経済面をチカリヤに握られていて身動きが取れないのが実情なのよ。属国呼ばわりされたとしても独立国だし、国家元首は今でもヒロム・ヨウラなんだけど」


 パガーノ長官にオルダヤの実情を聞かされたブル。


「やつはオルダヤなんてもうどうでも良くて、ヒカルゴさえ乗っ取ることができればそれでいい、だから邪魔をする俺たち三人をアストルへ売ったということなんだよな!」


 アストルの首都ニュー・アルカディアを目指す機内にブルが憤る声が響き渡った。ハットもペトももちろんそのように考えたわけですが、上級局長ヴェガの口から具体的な名前まで聞かされた。


「洗浄党最高顧問のトクル・カストや顧問のイムロ・マカイが党首のヒロム・ヨウラに指示を出し、ヒロム・ヨウラがヒカルゴの党職員で新大統領のモドル・タイダに指示を出し我々に情報を渡してきたのだろう。我々アストルはオルダヤの洗浄党とは関わりを持たないために、こういうルートで情報を出してきたと考えている」


「やっぱり洗浄党の仕業か!」


 三人は一斉に声を上げた。


「今から話すことは独り言だから……。さすがにチカリヤに乗っ取られた状態ではまずいと思っているようで、洗浄党の幹部たちはオルダヤの奪還作戦にも乗り出している。法律どころか憲法まで改正して対抗すると言う噂も聞いている」


 上級局長の言葉にペトが、


「憲法や法律の改正までできる能力があるのならば、チカリヤに牛耳られているわけではないということでしょうか」


「チカリヤが完全に掌握できているのは経済界で、政界は金の力を使って少しは握っているという程度だ。しかしヘム・タテハナという男がチカリヤの締め出しに躍起になっているそうだ、彼も金の力で取り戻そうとしていると聞いたが」


「ヘム・タテハナ!」


 上級局長の答えに三人だけではなく、パガーノ長官たちも声を上げた。


 ヘム・タテハナ、洗浄党の黒幕でヒカルゴ強奪に手腕を発揮する男。その彼がオルダヤの奪還にも動いている。でもオルダヤを取り返すことができればヒカルゴを手に入れる必要はなくなるのでは、そんなことを考えた三人。


「ヘム・タテハナや洗浄党はヒカルゴを強奪併合することを考えています。そうすることで経済規模は単純計算で倍になるとヘム・タテハナは見込んでいるのでしょう。我がアストルをはじめ世界の各国と互角に渡り合うには、自国の拡大以外に道はないと考えているのです」


  ヘム・タテハナは自衛できる最低限の軍備は必要だが、それ以上に装備することは意味がないと考えている。ミサイル一発で何億もかかるのに撃ってしまえば一瞬で無くなる。それならば同額をサイバー空間へ投下すれば実質的に今の主戦場である情報戦で有利に戦えるだろう。実弾よりも情報戦、そして経済的に他国より上回ることが最重要だと考えている。


「それ以上に怖いのはチカリヤです。チカリヤはどのよな汚い手を使っても世界征服を企む国。経済も軍備も情報戦でもトップを目指し世界全体を手に入れたい。目的遂行のためには人間なんてただの部品としか考えず、彼たちの勝手な尺度と解釈を振りかざしてくる。そんな彼らがオルダヤをやすやすと手放すわけがない」




 数時間のフライトを終えてニュー・アルカディア近郊にある空港に到着し、飛行機に横付けされたマイクロバスに乗り込み大統領官邸へ直行した。


 大国アストルの大統領官邸なのだから、さぞかし豪華で大きな宮殿のような建物なのかと思っていたのですが、建物自体は予想に反してこじんまりしていた。ただ官邸が建っているのは野球場が何個も入りそうな大きな緑地の中にあり、緑地の入口から官邸の門、そして門から続く長い通路があり官邸の入り口までの遠いこと。


 そのスケールの大きさに圧倒された三人でしたが、


「話に聞いた程度だけど、チカリヤの官邸はほぼ宮殿みたいな作りで、敷地はここの緑地の数倍以上あるすごい所らしいわよ」


 パガーノ長官が簡単に説明した後にヴェガ上級局長が付け加えて、


「我が国の大統領官邸の敷地の大部分は緑地で公園として一般に開放されていますが、チカリヤの官邸の敷地は一般人は立入禁止という違いもあります」


 アストルは一般に広く開かれた国だが、チカリヤは固く閉ざされた国だと言いたかったようです。ヒカルゴの大統領官邸の敷地はあまり広くはなく高い壁で覆われてはいますが、敷地内にヒカルゴの成り立ちを解説した資料館があり、そこへは自由に入ることができるのでまだ開かれた国と言えるでしょう。


 それに対してオルダヤの官邸はマンションの一室に賃貸で入居しています。以前は数百年前のお城を改装してとても立派で豪華な建物を官邸として使っていましたが、それらをすべて取り壊して敷地はすべて民間に格安で払い下げられ、跡地にマンションが建てられその一室を借りて使っています。


 そのマンションの持ち主がヘム・タテハナだと上級局長に説明され、やるせない気持ちに陥る三人でした。




 大統領官邸の広い応接室に通されたハットやパガーノ長官たちは、話をすることもなく緊張しながら年代物のソファーに座っていた。五分ほどすると数人の大臣や報道官とともに大統領が現れた。


 表情自体はにこやかで優しそうな印象を受けるのだが、その眼光は鋭くハットたちの一挙手一投足を見逃さないぞ! と言っているように感じた。

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