(7-4)
今日投稿した分の、キリが悪かったので、続きを投稿します!
OPも直したので、ぜひ御一読ください!
バシィ、と大気が弾けた。紅坂が目を剥き、絶叫する。
「ぐぅっ」
犬丸も苦痛の声を漏らした。
「ミク、お前の傷はな、おそらくダマスカスブレードを精錬する際、つけられたモンだ。言い伝えによると、熱した剣を冷ますのに、奴隷の腹に突き刺して冷やしたらしい。多分、その際にお前の体は金属に…… がっ」
苦しげな犬丸の説明は、苦鳴に取って代わられた。
犬丸の叫び声が大きくなるにつれ、紅坂の声が小さくなっていった。
ビィン。
大気が震え、犬丸のひときわ大きな咆吼が響き……
静寂が戻った。
気を失っている紅坂に、蒼瀬は弱々しく声を掛ける。犬丸は、息も絶え絶えに言った。
「マル、コード…… いや、蒼瀬くんの血を止めてくれ。死んじまう」
マルの読経が止んだ。犬丸は、スーツの前を開いて腹を晒した。
小夜は声を上げた。
紅坂に付いていた傷がそのまま犬丸の同じ場所に出現していた。
と言う事は。
小夜は、よろよろと駆け寄りながら、息せき切って蒼瀬に尋ねた。
「アオ、紅坂の腹の傷は?」
蒼瀬はぼんやりとした瞳を小夜に、次いで紅坂に向けた。
そして一言。
「無い」
蒼瀬が紅坂から、少し体を離したおかげで見えた。
紅坂の艶めかしい、白い腹部に付いているのは、へそだけになったのが。
蒼瀬は紅坂から力なく腕を解いた。
紅坂がずるずると倒れる。
蒼白で唇を震わせている、ミサに向かい、蒼瀬は夢の中の住人の様に呟いた。
「ミサさん。この二人を助けてあげて。それはミサさんにしか出来ない…… こ…… と」
紅坂の上に折り重なるようにして伏せた蒼瀬に、樫沢は大声をあげて駆け寄った。
犬丸は憑き物の落ちたような顔で、斎賀に笑いかけた。
「俺の完敗だ……
マル、俺が馬鹿なんじゃねえよな?
この小僧が大馬鹿なんだ……
この、デケェ牙を持った羊がな」
犬丸は静かに頷く斎賀から、小夜に目を向けた。
「ライラ、金属の正体だったな。伊賀の研究者しか知らないトップシークレットだ。俺が追われてた理由の大半はそれだから、聞いたら忘れろ。
放射能から年代を測定した結果、金属の年齢は、一万歳だって事が分かった。
そこから導き出される結論は二つある。超古代から存在したか、未来から来たかのどちらかだ。
ここからは仮説だが、あの金属は、個人の記憶、魂を全て保存し、他の生物に複写を試みる記憶媒体で、冥界とは…… 未来の世界。要所で地球の進化を助けてきた……
何であれ、災難だよ、取り憑かれる方にとっちゃ」
「いや、ラッキーだった」
小夜は迷い無く答え、犬丸は自嘲を引っ込めた。
「俺たちは、そのおかげで家族になれた。病気ってのは悪いことばっかじゃねえ」
犬丸は顎を反らして笑った。自分の眉間を指し、斎賀に言った。
「そうかもな、一本取られたぜ。
マル、これで、思い残すことはねえ。
後は、ミク達がなんとかする。俺はそう信じ……
いや、勝手に思ってる。お前は仕事を果たせ」
マルは躊躇なく銃を向ける。
周りで雪達の悲鳴が上がるのも構わず、言った。
「高級魔との分離は、まだ前例がない。そして、俺は魔を殲滅する甲賀の忍びだ…… 来世でな」
「来世で」
犬丸は満足げに、目を閉じた。
いかがでしたか?
まだつづきます。
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