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第70話『メンタルブレイク』


 ギルドのお抱え、奴隷1号としてこれから活動していく事になった、ベテラン冒険者のライゼスこと俺。 家名はない。

 背丈は176㎝。 酒を浴びるように飲む割には、腹筋は見事なシックスパックに割れていて、上半身を見せびらかしても恥ずかしい事は無い。 酒っ腹のように、だるんだるんではない30歳丁度のいいお年頃。


 15歳にこの街の冒険者として登録し、数多の同業者と切磋琢磨して己を高め合い、数々のモンスターを相手に、同心強力の心で助け合ってきた。

 基本的には、ソロで依頼をこなしていた。 いざ冒険となると、1人の方が自由気ままでラクなのだ。

 時には、性悪魔法使いにこき使われ、無駄に命を落としかけた事もある。

 ギルドの・・・・・・おや、ご主人様からの命令で、無理難題な事も乗り越えてきた。

 


「何が言いたいかというと! なんで俺は、いつもまともな状態で冒険者をやれないかって事だ!」

 ダンッと、木製のビールジョッキを机に勢いよく振り下ろす。 

 滅多な量の酒では酔わない俺だが、今の俺は酔いたいがために、飲んで飲んで飲みまくっている。 久しぶりの好物が、こんなに美味しくいただけないのも、全てあのオーク集団のせいだ。


 その怒りの矛先は、自分で成敗してしまったので、こうして今はお酒にかこつけて、文句をただただ零していた。

 

 奴隷をいう不名誉な称号をもらい、返すアテもない俺は考えた。

 こうゆう時は、まず飲もう! かくして、現実逃避から行動をうつす事にしたのだった。

 もともと、カノンは奢ってくれると約束してくれていたので、それ頼みな飲酒である。

 カノンは「まぁ、別にいいけど」と、案外あっさりと許してくれた。

 膝枕といい、なにかとさっきから優しさがチラホラ見え隠れしているのは何故だろう。


 

 6人用の長い机に、俺とカノン、エルミアちゃんに、斧使いのリーエン、そして、担当受付嬢の・・・・・・ご主人様のセラさんが座る。


「あなたは、頭に血が上るとだいたい何かやらかすのを、そろそろ学んでいただきたいんですよね・・・・・・」

 頬に手を当て、わざとらしく困り果てた様子をみせるセラさん。「今日の分の仕事は終わらせました」と言って、一緒になって酒場で一杯やっているわけだが。

 実際は、俺を見張っているように思えてならない。


「まぁ、おかげで俺はお咎めなしで、依頼報酬もらえたけどな」

 そう言って、赤ワインで煮込んだ柔らかい肉を頬張るのは、共にオーク集団と戦ったリーエン。

「くっそ。 なんでお前だけ良い思いしてんだよ」

「なにごとも、やり過ぎは危険ってな。 ほどほどにやれよ」

 コイツとも、付き合いはもう10年以上になる。 こうして、何度も愚痴を聞いてもらってきたが、今日は恨めしい気持ちも混じっている。


 せめて、リーエンの報酬もカットなら素直に飲めたというのに・・・・・・。


「あ~もう! 次! 次の酒ぇ!」


「コイツ、これが私の奢りって分かってるから、後先考えずに飲んでるのよ。 見ておきなさいなエルミア。 これが、クズっていう生き物よ」

「・・・・・・あ、あはは~。 すごいですね」


 引き攣った笑みを浮かべ、俺の飲みっぷりを端から眺めるエルミアちゃん。

 彼女が、口にしているのはノンアルコールのフルーツカクテル。 飲めないわけではないらしいが、こうも目の前でだらしない大人を前にすると、飲む気にもならないのかもしれない。


 申し訳ないが、今日の俺は人に気を使っていられる精神状態ではないのだ。 メンタルブレイクなのだ。




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