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第69話『奴隷1号』

――♦――


「というわけで、ライゼスさんが破壊したものは、全てあなたが稼いで返してもらうという事で・・・・・・」

 単純な話でしょっとばかりに、早口で事を済ませようとするセラさん。

「待ってくれ。 確かに俺が見境なく壊しちゃったのは謝る。 でも、仕方ないだろう。 一向に、増援は来なかったし。 あのままあいつらは放置してたら、結局は同じ事になってたじゃねぇか」


 罪のなすりつけもいいとこだ。 結果論では、俺がやってしまったのかもしれない。

 でも、オークをあのままのさばらせていたら、現状となんら変わらないものになってたんじゃないか?


「これは、ギルド! 街の責任者! この両方に責任をとってもらわねーと。 筋が通りませんね~」

 俺は、この借金だけは認める訳にはいかない。

 これ以上、みじめな思いをしたくない。


 屋台の前で、一回りも年下の女の子に、食い物を恵んでもらう身分だぞ?

 借金持ちを逆手に、泥棒まがいな事を付き合わされる男だぞ?


 これ以上、どう振る舞ったら這い上がれるって言うんだい。

 地面でも張って、泥団子でも食えってか。


 それで、腹壊して死んだら、この極悪非道なギルドの受付嬢を呪ってやる! さぁて、どんな呪いがいいか~。

 1時間に1回スカートが捲れてしまう、とか絶妙にしょうもなくていいんじゃないか?

 スケベな酒場の飲んだくれ共に、さずかし人気がでるだろうよ。


「それを考慮しての、この金額です。 残念ですが、これは総被害額の3分の1です。 これ以上は、かばいきれませんね・・・・・・」

「ライゼス、あんた馬鹿でしょ。 100万ゴールド程度で、複数の荷馬車に乗っていた物の金額が払いきれるわけないじゃない」

 高額なものが、たくさん乗ってなくて良かったじゃない、とカノンは言う。

「というわけで、借金返済のためにも、強制的にギルドからの依頼を請けてもらいます」

「・・・・・・もうどうにでもしてくれ」


 なにを言っても、俺の言葉は弁明されず、ただの言い訳として片付けられるのだ。

 いや、事実そうなんだけど。


「ある意味では、しばらくギルド直属の奴隷ですね」

「言い方!」

「取り繕っても仕方ないですからね。 実際に被害を請けたのは私ではないですから、ある意味、担当受付嬢の私は、合法的に奴隷を手に入れてしまったわけです。 得しかありません」


 くっ・・・・・・。

 この諸悪の根源め。 頼むときだけ、いっちょまえに塩らしくなるくせに。 

 こーゆう時に、本性がでるのだ。 ばーかばーか。


 ・・・・・・とは、口が裂けても言えない。

 これ以上、俺の立場が悪くなるのはまっぴらだ。


「それで、奴隷1号の最初の依頼ですが・・・・・・」

「おいっ・・・・・・なんだ、その不名誉なあだ名は」

「正式名称です」

「・・・・・・」


 泣き崩れるずにはいられなかった。


 そんな俺を、「私のために怒ってくれたのは、知ってますから」とそっと背中をさすってくれる、マイエンジェル。


「ぶぇぇぇぇえええん。 君だけだぁぁ、俺の天使ぃぃ」

「あ、あはは・・・・・・」

 


 よしよしされるの、悪くないな。 しばらくこうしていよう。


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