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第66話『ご指名は・・・・・・』


「なんだよ。 言いたいことがあるなら、ハッキリ言えよ。 お前らしくないな」

 いつもなら、どんなことでもズバッと言うだろ。

 今日に限って、なんでこんなに塩らしいんだ。


「・・・・・・そうね。 らしくなかったわね。 単刀直入に言うと、エルミアも連れてくるように言われてるのよ」

「エルミアちゃんを? なんでまた。 カノンへの依頼だろ?」

「私にっていうか、ギルドへの救援依頼ってかたちね。 どうやら、新層へのフロアボス戦で大怪我した人が大勢いるみたいでね。 治癒魔法を使える冒険者がほしいみたいなのよ」


 ダンジョン先での救援要請は、珍しい話では無い。 

「でも、それとエルミアちゃんに、なんの関係があるんだよ」

 彼女は、治癒魔法を使えないと思うのだが・・・・・・。

 仮に、救援に加えて、更にボスの再挑戦として増援要員を募集したとしても、駆け出しが名指しでくる事は、まずありえない。

「うん、私もそこが引っかかっているんだけどね。 エルミアに聞いてみたら、顔色を悪くしてね・・・・・・。 あんた、何か知ってる?」


 顔色を悪くしたって事は、なにか思い当たる節があるって事だよな。

 キングドロカラスと遭遇したのは、3層。



『私も、宝樹のダンジョンははじめてだったんです』

 


 この前、村への配達依頼の道中にしていた会話の中で、そう言っていたのを思い出す。

 だとしたら、今回の依頼内容の階層には、踏み込んですらいないはず。

 カノンが言うには、いま苦戦しているフロアボスは5階層から6階層へ上るためのフロアボスらしい。

 エルミアちゃんを、必要になる場面ではないな・・・・・・。

 他に考えうる限りで、ありえるのは――・・・・・・。


「仲間だった冒険者・・・・・・とかか?」


 たしかアルバスという名で、最近このギルドを活動拠点にし始めたばかりだと聞いたが。

「じゃあ、十中八九それね。 内容も、エルミアって獣人がもし帰ってきているならよこせって感じらしくて、あんまり印象がよくないの」

「その冒険者に関しては、俺も1度会ってからじゃないと、エルミアちゃんを任せれないなって思ってんだよな。 前にも、そいつの話になった時に、あの子様子がおかしかったからな」


 今や、俺の中では行動を共にする数少ない仲間の1人だ。

 元々、あまりパーティを組んで活動するタイプではない俺が、ここまで心を許せるのは、リーエや、まあカノン、そしてエルミアちゃんだけだ。

 そんな大事な子を、どんな状況でキングドロカラスと一騎打ちになるように指示したのかは、話してみないと分からない。


 でも、少なくともパーティの頭目としては、優秀な判断ではないというのが、俺の中での印象だ。

 大なり小なり、彼女1人にあんな強敵を押しつけたわけだからな。



「ギルドマスターは、なんて言ってんだ?」

「要請の文書を読んだ時点で、あんまり気分がいいものじゃなかったから、悩んだみたい。 救援要請には、できる限り応えるのはギルドマスターの責務でもあるし」


 前々から思っていたけど、やはりロクな奴ではないのでは? 


 エルミアちゃんも、なんでそんな輩の仲間なんかに・・・・・・。


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