第63話『豚斬りです』
食料にしか興味がなかったオークが、俺の方へ視線を這わせる。
なんだ? 次は俺を殴るか?
「いいぜ? こいよ」
言葉を吐くと、途端にガクガクと震え出す俺の怒りに触れたクソ共。
俺が、バスターソードに手をかけたのを皮切りに、その場から逃げだそうとする。
「まてよ、そりゃねーぜ。 やりすてはゆるさん」
散らばってもらっちゃ、一撃で仕留めるのが大変だろうが。
「おいおい! なんだありゃ!?」
リーエンは、驚愕の声でそれを見る。
逃げようとするオーク全ての足下から、縛り付けるように木の根っこが生えてきた。
その怪力でさえも振りほどけぬ程に、暴れた分、更に締め付ける力が増していく。
「ブ、ブォオォ!? グブ!?」
「あばれんなって。 つかれるだろーが」
無意識に、俺は精霊術を使い、敵の行動を制限した。
ジタバタとする奴らに、いちいち苛立ちを覚える。
この無能共に、足下をすくわれた自分も腹立たしい。
悪いけど、やり返しと同時に、俺自身への戒めのために、このオーク達には速やかにあの世にいってもらう。
自分勝手な事は分かっているさ。
でも、お前らも己の欲望の上での、この有様だもんな。 文句は言わせねーよ。
バスターソードを地面と水平に構える。
左足を前にして、半身の姿勢を取り、俺の攻撃態勢を作る。
血走る眼で敵全体を睨み、攻撃範囲を把握した。
下半身に踏ん張りを加えて、バスターソードを支える両腕にありったけの力を注ぎ込む。
ブチブチと、筋肉繊維がはじけ飛ぶイメージを湧かせ、俺は、その場でテキトーに決めた必殺技の名前を吐き捨てる。
「無名:豚斬り(ぶったぎり)!」
真横に線を描くように振り斬り、太い斬撃を空中へ飛ばす。
イメージをその一閃にのせ、それは複数に分身するように空中で、全体攻撃へと範囲を増やす。
「「ブブウオオオ!ッッッッッ!?」」
「「グボォォオア」」
キツく縛られ、身動きの取れない全てのオークに、躊躇も手加減もない『本気の一撃』が全身に深く刻み込まれる。
分厚い脂肪によるクッションは、意味を成さないほど。
俺は、言葉通り、一撃でオークを四散。なぎ払い、屠った。
数秒の間に、たくさんの体力を使い果たした俺。
対象の消滅を確認すると、身体から力が抜けていき、意識がスッと落ちていった。
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