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第60話『取り残されてます!』

――♦――


「ライゼス―。 まだまだ動けるじゃね~の」

「あったりまえだろ。 腐ってもまだ現役だボケぇ」

 とお互いに鼓舞し合いながら、なんとかオークの数を減らしている。

 半分ほどまで数が減ってきた。


「それにしても、あの嬢ちゃんすげぇな。 息切れ1つしてないじゃね~の」

「若さって、こわいな」

 ケタケタ笑いながら、彼女の戦いっぷりに感心する。

 今のところ1番、オーク討伐に貢献しているのは初見である、あのエルミアちゃんなのだ。

 素早い動きで、地面を蹴りながらオークの巨体を翻弄している。


 目を回しながらも、足下を動き回るネコ耳の獣人を屠ろうとするも、オークはまるで追いつかず、気付けば倒されている。

 俺とリーエンも、力押しで倒してはいるものの、あそこまで動き回れる体力があるかと聞かれると、頷ける自信はない。



 新調したバスターソードの使いやすさは、さすが腕の立つ鍛冶屋シルナと太鼓判を押せるほど。

 色々とパワーアップして、新しい性能までつけてくれたのに、普通に戦う分には、以前となんら変わらない安定ぶりだ。



「つっても、いくら頑張ってもこうも頑丈だと、嫌になるな。 奴ら、他の積荷まで手を出し始めたからな・・・・・・」

 オークは、最初に吸い寄せられたギルド運搬用の荷馬車の中身を食べ尽くし、他の馬車に動きを進める。

 

「ライゼスさん! あっちの馬車に小さい女の子がいるみたいです!」

「なに!?」

 それは、今まさにオーク集団が標的に向かっている先だった。

 やけに食欲に飢えた状態のオークは、普段よりさらに見境がない。


 ここまで、多勢で集まる事態がおかしいのだが、それは今考えていても仕方ない。

 その腹を満たすためなら、人間だろうと鉄くずだろうと、口にしてしまう食魔の権化。


「逃げ遅れた子がいたのか・・・・・・」

「ったく、親はなにしてんだ!」


「私が、あの子を助けてきます。 今からでも、先回りできるはずです」


 確かに、彼女の俊足なら間に合う距離だ。

「頼む! フォローする! リーエン、急ぐぞ」

「おうよ」

 ドスン、ドスンと、意思なきゾンビのようにこの惨状を突き進むオーク。

 非力な少女が、この場に居るとなると、ゆっくりとしているわけにもいかなくなった。

 少なくとも、取り残された少女を助けたら、エルミアちゃんには一旦、その子を街へと連れて行ってもらわないといけない。



 俺とリーエンは、その場の敵から、一時撤退し、進行する側へと走り出す。

 こんな時、遠距離の支援があったら、と考えてしまう。

「ははっ。 カノンのありがたさをこーゆう時に限って分からされるよ」

「脳筋コンビの悪いとこだぁな」


 俺らが、集団の後方に追いついた頃に、エルミアちゃんは見知らぬ少女に手を差し伸べるところだった。

 泣くのを必死で堪えていたのだろう。 小さな身体を震わせながら、目をギュッと瞑っている。


「もう大丈夫だからね。 おねーちゃんが、守ってあげるから」

「エルミアちゃん! そのまま、街に向かってくれ! あとは、俺達でなんとかする!」

「ライゼスの言うとおりだ。 その子をかばいながらは、効率的じゃない」

「でも・・・・・・大丈夫ですか!? まだ、こんなに残ってますよ」


 彼女自身は、かばいながらでも戦えると考えていたのだろうが、そうゆう無茶は身を滅ぼしかねない。


 俺もリーエンも、長い冒険者生活の中で、似た場面を何度も経験して来ているからの、撤退命令だ。

  


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