第47話『責任をとる気はありません』
「ちょっ・・・・・・!? 泣くことないだろ」
「だ・・・・・・だって、すごい・・・・・・嫌そうだったから・・・・・・。 そんなに、嫌われてるのかなって――――」
「そうじゃねぇよ。 ドライアドが嫌なんじゃない。 そうじゃなくて・・・・・・」
俺は、そういってオリナの頭に優しく手を置く。
戦っていた時の勇ましさが嘘のように、今はシュンと俯いて、身体を縮こませている。
苛立っていた気持ちを押し込み、勘違いで涙する彼女にそっと、囁く。
ドライアドが嫌いというわけでは無いと。
「俺はな、ただ――」
「ただ?」
「ぐうたらに、責任という言葉とは無縁な、堕落した生活を送りたいだけなんだ」
「・・・・・・」
潤んでいた瞳から、水滴がなくなり、瞳から光が消えた。
心底、コイツはクズだとばかりの痺れる視線を送られる。
「ライゼスの人柄が分かったでしょ。 オリナ、あなたの人選ミスよ、諦めなさい」
もっと、紳士的な言葉をかけてあげるべきだったかもしれない。
だが、それは期待に応える気のない、俺が伝えるべきではない。
「・・・・・・はぁ。 分かりました。 まぁ、私もテキトーにそれなりの器の持ち主がきたら、試練も手を抜いて、さっさとお酒造りに戻りたいと思っていましたし」
肩をすくめて、腫らした目尻をこしこしと拭う。
一息つくと、「お見苦しいところ」と一礼して、元の冷静な精霊の立ち振る舞いに、持ち直す。
気まずかった雰囲気が回復した事で、一同は気を和らげる。
「オリナさんや」
「はい、なんでしょう」
俺は聞き逃してないからな。
「さっき、テキトーに決めるつもり、みたいな事言ってたよな」
さらっと、無茶苦茶な事を言ったのを流すつもりは無いからな。
「申し訳ありません。 あまりにも、素っ頓狂な方でしたので、ついつい自分の本音も、漏らしてしまいまして・・・・・・」
「お前・・・・・・」
ほらな!?
だいたいそうなんだよ!
深刻ぶった話の裏には、結局、私利私欲があって、深く考えるほどアホらしくなるんだよ。
カノンは、そんな粗末な選び方で良かったのか、不安に思ったらしい。
「これ、テキトーなんかで決めていい代物じゃなかったでしょ?」
ほんのちょっと怒気を含んだ言い方だった。
精霊玉の貴重さ、その影響力を知っているからこその言い分だろう。
「カノンさん、言いたい気持ち、私も分かるような気がします。 もし、精霊の強力の力を悪用するような人だったら、その周りの人間まで不幸にしちゃうかもしれないんですよ」
エルミアちゃんにしても、その気持ちは同じようだった。
カノンとは、違った視点からの意見でもあった。
そういった状況に立ち会った事があるのか、というほど気持ちの籠もった一言。
このネコ耳の少女の、過去は存外、ひどいものがあったのかもと、俺は一抹の思いを馳せるが、すぐに思考を戻す。




