第46話『嫌でしたか?』
「はぁ。 で? なにか変わった事は?」
カノンが聞いているのは、俺の身体に変化があったかと言うこと。
「ん~、あの変なのが入った瞬間は、苦しかった気もするが、オリナのおっぱ・・・・・・アドバイスのおかげで今は、なんともないな」
今度は、エルミアちゃんに背中をしばかれた。
少しふざけすぎた。
コホンッと咳払いをして、羞恥心をなかった事にするように、オリナは俺に言う。
「あなたが、いまその身に宿したのはドライアドの力が宿った精霊玉。 私達と同じ力を得たという事です」
「つまり、俺は今ドライアドとか精霊と同じ能力持ちで、強くなっちゃったて事か?」
「そうですね。 とはいっても・・・・・・――――――」
「なーぁんて事してくれたんだ、このおっぱい精霊! それじゃぁ、なにか? 俺は、強力な力を得たから、そのうち迫り来る凶悪なモンスターと戦えって事か!? そーゆー事だろ!?」
「そ、そうですね。 宝樹もそのつもりで、人間にこの機会を与えたのかと」
「ふざけんな! いらねーよ! クーリングオフだ。 面倒な事はごめんですー。 なんとか取り出せよぉぉ!」
オリナのドレスの襟を掴んで、ぐわんぐわんと揺らす。
「ふええ~!? む、無理ですよぉ。 もう細胞レベルまで浸透しちゃってるはずですから」
それは、さっきの身体の異変で、自分が一番よく分かっている。
「な、なんて事だ・・・・・・。 俺の、酒と豪遊のスローライフが・・・・・・」
英雄なんて大義名分、さらさらごめん大嫌いだ。
自分を犠牲にして、見ず知らずの人間を助ける奴だぞ?
向いてない!
「ライゼス・・・・・・あんた豪遊なんて程遠い生活してるでしょーが」
カノンの突っ込みは、ごもっとも。
「これから、そーなる予定だったんだぁ・・・・・・」
「どーゆう思考回路したら、そんな自信に満ちあふれるのかしら」
「エルミアちゃぁん、なんとかしてくれぇ」
「なんとかって言われても・・・・・・。 私には、爪で裂いてえぐるしか――」
「結構です」
そんな事しても、俺がただの肉塊になるだけです。
「あ~もう最悪だ・・・・・・」
俺は、頭を掻きむしり、苛立つ。
何かを背負うという事は、覚悟が必要になる。
ヒーローごっこで、済まないのを俺はよく知っている。
誰かが誰かに何かを託す時はきまって、いつも自分勝手で一方的で・・・・・・無責任だ。
冗談抜きで、本気で嫌悪の感情を表に出している俺に、押し黙る3人。
カノンでさえ、茶化しをいれない。
ホント、俺の事をよく見てやがる。
「そ・・・・・・そんなに、ドライアドと・・・・・・私と一緒になるのは嫌でしたか・・・・・・?」
小さな声で、そう言葉にするオリナ。
彼女の頬から、ポロリと小さな滴が1つ、落ちた。




