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第42話『もう少し優しくしてください』

「ほんと、とことん最低な野郎だな、お前は」

「ライゼスさん、誰かれ構わずはいけないと思います」


 俺が試練クリアしたおかげで、解放されたカノンとエルミアちゃん。


 激しい腰痛に苦しみ、やっとの思いでラクな姿勢に寝転がっている俺を見下ろして、労いの言葉をすっ飛ばして、辛辣な言葉を投げかけてくる。


「お、お前ら、誰のおかげで・・・・・・。 痛てっ! もうちょっと優しくしてくれてもいいんじゃないですかねぇ!」


 ただでさえ、こんな硬い地面に放置されてるんだ。 

俺以外に3人もいるんだから、誰か膝枕でもしてくれたら、この彷彿する不満もいくらかマシになるというのに。


 オリナはというと、あれからしばらく俺が今の位置に納まるまで、揉まれ続けていたせいで、恥ずかしさで、2人の後ろに隠れてしまっている。

 というより、かばわれていると表現した方が正しいかも知れない。


「またいつ、セクハラし出すか分かったもんじゃないからな」


「オリナさん、もう大丈夫ですからね」


「うぅ・・・・・・い、いえ、私は、その件は大丈夫なのですが。 でも、もう少しだけそうしていてください。 恥ずかしくて、顔が見れません」


 顔を両手で隠して、モジモジとするドライアドのオリナ。

 さっきまで、俺はそのはち切れんばかりの胸を、大いに堪能していたわけだ。


 ギロリとカノンに睨まれるまでは想定内。

 しかし、エルミアちゃんにまで1歩置かれてしまわれては、不本意だが心が痛い。


 なぜ、あそこで都合良く・・・・・・ごほん。 都合悪く腰を痛めてしまったのやら。


「きっと、神様が頑張った俺に、ご褒美をくれたんだろうな~・・・・・・ぐへぇ!?」


「このまま、腰を砕いてやってもいいんだぞ? ん?」


「ご、ごごごごめんなさい! だから、足で少しずつ踏む力強くするのやめて!」


 冗談じゃなく、本当に使いものにならなくなる。


「お前が、あの時幸せそうな顔をしていたのが、脳裏に焼き付いていてな」


 それは、腰を痛めて仕方なく、本当に仕方なく胸にすがりついていた俺の事を言っているのだろうか。


「お前! あの状態で無表情でいろってか!?」


 それは、相手にも失礼というものだろうが。

 手のひらに収まらないほどのデカさだぞ? 

 カノン、お前じゃ絶対味わえない感触だ!


「ライゼス、お前、いま、すごくムカつく事考えてたろ」


「言いがかりだ!」


 たまに、本当に心を読まれているんじゃないかと不安になる。

 それくらい、カノンの勘は鋭い。


「本当は、腰が痛いっていうのも演技なんじゃないのか? あ~んな鼻の下伸ばして、口だけ痛い痛いと喚かれてもなぁ」


 確かに、オリナに不快な思いをさせてしまったのは、申し訳ないと思っている。

 でも、苦悶の感情と至福の感情を、いっぺんに出せなんて無理な話だろ!


 より強い想いが、顔に出てしまっただけだ!


「どっちも本音なんだから仕方ねぇだろ! 腰は痛い。 これ以上やったら、もう俺は死ぬかもしれないくらい痛い! でも、それ以上にオリナ様のお胸は最高だったんだ!」


「ほう・・・・・・」


 更に、踏む力が強くなっていく。

 あえて、腰ではなく少し上の方を踏んでいるのは、カノンの僅かばかりの配慮か。


 だが、こんな仕打ちがあってたまるか!


「なんだ? カノン、お前、自分がないからって妬いてんだろ? そりゃ~、その歳からじゃ無理だもんな!」

「後ろの2人、少し離れてなさい。 今からここで、キャンプファイヤーやるわよ」


「ぎゃああああ!」


 カノンは、杖をかざし、その先に炎の玉を出現させる。


 こいつ、本気だ! 


「やだぁ! やだやだ、エルミアちゃん助けてぇぇぇ!」


 逃げようにも、腰痛はガチなので不可能。

 俺の天使に助けを乞うしかないのだ。


「ま、まぁ、ライゼスさんが悪いですけど、色々なんとかなったのもライゼスさんのおかげなんですし」


「あんたも、一応被害者でしょ? ったく、この男にあんまり甘い顔するんじゃないわよ?」


 そう言って、エルミアちゃんの助け船のおかげで、俺の命は皮一枚のところで助かった。




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