第30話『チギの遺跡に入ります』
眠らせた衛兵は、しばらく起きないようなので、揃ってその場で寝かせておくことにした。
俺もカノンも覆面を被っていたので、顔を見られていないし、彼らからの報復はないと思って良いだろう。
衛兵のすがたに変奏した、俺、エルミアちゃん、カノン。
エルミアちゃんは、。背丈が鎧と合わず、ぶかぶかだった。
そこを、さすが魔法使いカノン。
浮遊魔法を使って、鎧を浮かして維持。 端から見れば、しっかりと衛兵の鎧を着こなしたうように見えるというわけだ。
「魔法の維持は、魔力の消費もあるから、さっさと遺跡の中に入って脱いじゃいましょ。 しかも、なんか汗臭いし」
――――
目的である『チギの遺跡』の入り口へ向かった。
【鼻くそ半裸男】は、取り逃がした。 という情報を他の見張りの衛兵には伝えた。
遺跡内部には、調査している衛兵がいるという話も聞けた。
そこは、カノンお得意のペテン師様々の話術で、うまく聞き出す事に成功。
怪しまれないために、しばらく一緒になって6人体勢の見張りを取り繕う。
「ちょっと内部の様子も見てきます」
と、カノンが言い出したのを合図に、「一応モンスターもいるから3人で行ってくる」と付け加え、俺とエルミアちゃんも遺跡の中へ潜入成功。
「よくもまぁ、こんなトントン拍子に事が運ぶもんだな」
「私、途中から緊張でどうにかなってしまいそうでしたよぉ」
「いざとなったら、全員眠らせて強行突破するつもりだったし。 でも、それだと危険度上がっちゃうし、ライゼスのおかげね」
おぉっと、今更になって俺をヨイショしたって、なにも変わらないからな?
入り口から少し進んだところで、元の装備に着替える俺達一行。
「この鎧・・・・・・売ったら金になるだろうか」
「すぐに国にバレるわよ、私達まで巻き込まれるから、愚かな真似はくれぐれもやめてちょーだいね」
そ、そんな事分かってらい!
ちょっと思った事を口にしただけで、なんでそこまでボロカスに言われなきゃならんのだ。
「ライゼスさん、だめですよぉ」
「エルミアちゃんまで!? んな事しないよ! 俺だって善し悪しくらい判断できるから!」
「ふふっ。 分かったますよ。 ちょっとカノンさんにノッかってみました」
ほらぁ、こうやって影響されちゃうからぁ。
『チギの遺跡』は、外作りもそうだったが、中も岩を積み上げて作った遺跡らしい。
いつの頃から建っているものなのかは知らないけど、かなり古そうだ。
岩との隙間から、雑草が伸びていたり、苔も生えている所を見ると、地下水かもしくは内部に水場があるのかもしれない。
遺跡は迷路のようになっているはずなのだが。
「先にいる衛兵の調査してる人が、道なりに明かりを灯してくれてるみたいですね」
「無くても、この遺跡の地図は頭の中にあるから大丈夫なのだけど。 いちいち松明を持つ手間が省けたわね」
こうも減らず口なカノンだが、勉強熱心な事を、俺は知っている。 知りたがりの度が過ぎているとも言えるのだが、それは彼女の長所だと思うようにしている。
そのおかげで助かる事も過去を振り返ってみても、数多い。
「ここ、ロックゴブリン出るから。 気をつけましょ」
名前の通り、岩に身体を覆われた子供ほどの低身長の低知能モンスターだ。
強くはないが、岩に覆われているだけに剣を持った俺みたいな冒険者は嫌がる。
刃がすぐにダメになってしまうからだ。
ダンジョンと同じで、一定の時間が経過すると、どこからか湧いて出てくる。
案の定、奥に進むに道中にロックゴブリンとかち合った。
俺は、予備の大剣を使って戦う。
言っちゃ悪いが、安物なので重いし、馴染んでないしでなかなか思ったように動けない。
これは肩凝るなぁ。




