第26話『行って参ります』
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作戦会議を終えて、俺達一行は遺跡へと向かう。
【チギの遺跡】という場所で、最近になって国直属の衛兵が守りを固めるようになったのだとか。
カノンによると、チギの遺跡は以前は特に規制もなく、自由に出入り出来る所だったという。
遺跡にはたくさんの古代の情報が眠っている。
そのため、研究者や一部のカノンのような知りたがりの魔法使いなどが訪れる事がほとんど。
チギの遺跡に関しては、随分昔に発見されて、その中の情報も図書館に行けば調べる事だ出来るほど出回っている。
「チギの遺跡は、実際に何度も出向いた事があるんだけど」
と、語り出すカノン。
「特に、図書館で調べる事ができる以外の事は、なかったと思うのよね。 もうその筋にの人達にとっては用済みの遺跡っていうか・・・・・・」
「じゃあ、なんで今になってあんなにたくさん衛兵さんが、遺跡の入り口を囲っているんでしょう」
「そこなのよ。 ぜっっっったい何かあるのよ。 秘密の扉が開かれたとか!」
俺達は、チギの遺跡を森の茂みからコソコソと隠れて見ている。
入り口は、一つ。
そこ6人の衛兵が見張りについて、冒険者は近づけないようにしていた。
実際に、カノンは俺にこの話を持ち出す前に直接入り口まで行ったとの事。
その時に「冒険者は近づくな。 鬱陶しい、この荒くれ稼業共が」と、とりつくしまもなしだったらしい。
そのあしらわれ方にも腹が立ち、余計にカノンの探究心に火をつけた。
「なぁ、ホントにあんな作戦でいくのか? 俺やだぞー、もしバレたら罰則モノだ」
「それくらいしないと入れないのよ。 腹ぁ括りなさい」
カノンの提案した作戦は、「奴らの皮を剥いで、なりきり作戦!」とかなんとか。
つまり、あの内の3人をどうにか呼び出して、ボコる。
そして、衛兵の鎧を拝借して被り、なりきって潜入。
そんな簡単に事が運ぶとは思えないのだが、それ以外に案は出なかった。
そもそも俺は、カノン様のご発言に一切の口出しは出来ないのであるが。
「ほら、これ被りなさい2人とも」
カノンが、俺達に渡したのは、紙袋に目と口の部分に穴を開けた【粗末な覆面】だった。
ボコるときに、万が一にも正体がバレない配慮だろう。
「もうちょっとマシなのなかったのかよ」
「仕方ないじゃない。 これが一番安上がりに済むんだもの」
エルミアちゃんは、さっそく被ってみている。
「これ、意外と落ち着くかもしれません!」
猫の尻尾をフリフリさせている。
「エルミアちゃん・・・・・・楽しんでるね」
「はい♪ こーゆうのは冒険者魂が燃えます!」
今から俺達は、悪党になるんですよ?
そんな事を楽しんじゃいけません。
戸惑う俺に、強制的にズボッと覆面を被せるカノン。
「ほら! 帰ったらお酒も飲ませてあげるから。 ちゃっちゃと潜入しちゃいましょ」
!?
「おい、2人ともしくじったら承知しないからな。 早く終わらせて、帰って酒飲むぞ。もちろんカノンの奢りだろ? 気合いいれて盗賊するぞおらーー!」
ちゃんと見返りがあるのなら、先に言ってくれ。
それがあるのと、ないのとじゃ段違いにやる気が上がるってもんだ。
「あんた・・・・・・単純なのはいいけど、そもそも借りを作ってここにいるんだから。 忘れないでよ?」
そう、俺はそもそもカノンに武器の強化費、予備の武器の購入代を支払ってもらってここにいる。
「さぁ、ライゼス。 奴らをおびき寄せるのよ!」
カノンは、そう言って俺を茂みから追い出そうと、ぐいぐい押してくる。
「お、おい。 そのへんの話し合いが雑だったよな? どうやって都合良く3人に注意を引くってんだ」
「そうね。 あんたの腹芸でも披露すれば、変態だと思われて何人かは対処しにくるわよ」
とんでもない事を言い出した。
「てめ! ふざけんなよ、そんな事したらいよいよ俺は・・・・・・――」
「金。 酒」
「行って参る!」




