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第17話『カノン様は横暴です、助かりました』

「足下に気をつけてくださいね。 暗くてごめんなさい」


「いや、悪いのはこっちだ。 カノンの我儘に付き合わせて悪いな」


 といっても、内容は俺のバスターソードの修理なんだけどな。


「いえいえ、カノンさんには色々助けてもらってますから」


「その割には、さっきの反応はなにかしらね~」


「そ、そそそれはともかく、用事とはなんでしょう?」


 追求から話を逸らして、本題に入る。

 シルナもカノンには手を焼いているみたいだな。


「この人の剣を朝までに直してあげて欲しいのよ。 しかも、改良して」


 そう言って、カノンはバスターソードを俺の背中から剥ぎ取って、シルナに見せる。


 刃は火の魔石の熱で所々溶けている。 切れ味も言うまでもない。


 今のバスターソードの攻撃は、【斬撃】ではなく鉄の板で叩くだけの【打撃】。

 ただの溶けた板切れだ。


「あや~・・・・・・。 これは大変ですね。 熱でくにゃくにゃじゃないですかぁ。 もっと剣を大切に使わないと駄目ですよぉ」


「あ~、うん。 こいつもにも申し訳ないと思ってる」


「で、朝までと言いましたが、今から始めてもさすがに改良までとなると、無理ですね。 少なくも昼過ぎにはなってしまいます」


「え、今からやってくれるのか!?」


「もちろんです。 こんな状態で放っておいたらもっと駄目になっちゃいます。 ライゼスさんの愛刀ですよねこのコ」


 武器や防具には、徹底的に一直線に向き合ってくれるのがシルナの良い所。


 カノンの横暴さがあって事なんだろうけど。


「じゃあ、シルナお願いね。 今度、良い素材見つけたら持ってくるわ。 急だけど、よろしくね。 ライゼスの借りを作るチャンスなのよ」


「あはは、そーゆう事なんですねぇ。 じゃあ、お値段の方は――」


「それは、言い値でいいわよ。 全部終わってからで」


「でしたら、腕によりをかけてしまって構わないですね♪」


「もちろん! ライゼスが持て余すくらい強化しちゃって!」


「カノン様!!」


 太っ腹なカノンに俺は跪く。

 かなりの値段にもなるだろうに、それを負担してくれるという事だ。


 シルナの技術をフルに活用した愛刀がどんな風に進化するのか楽しみでしょうがない。

 カノン、いやカノン様万歳だ。



 だが、問題はバスターソードの代わりになる武器だ。


 明日の依頼は難しいものではないが、丸腰というわけにもいかない。

 盗賊やモンスター、他の非常事態に備えても武器を持っておかないと、どもこもならない。


「なにか代わりの武器はっ~っと」


 鍛冶場に視線を巡らせてみるが、未完成の物やまだ手つかずの武器ばかり。

 ここは、鍛冶屋であって武器を売っている場所ではない。


「まぁ、それは明日、武器屋にでも行って適当に見繕いましょ」


 シルナは、「さ~ってと」と、仕事に本腰を入れるために頭にバンダナを巻く。


 起きがけに申し訳ないと思いつつも、俺とカノンは「よろしく」と彼女に言って、店を後にする。



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