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第15話『覗き見されました』

「お前に借りなんてな・・・・・・」


 借りなんてないなんて事もない。


 むしろ、ありすぎる。 


酔っ払った俺の代わりに代金を支払ってくれたり。


受付嬢のセラさんに、酒を止められて泣き喚いている俺にこっそり飲ませてくれたり。

 ダンジョンで目の前の金に飛びついて、罠にかかった俺を魔法で助けてくれたり。(それは結局、カノンがふざけて魔法で映し出した偽の金だったのだが)


 しかぁし! 助けてくれた見返りが面倒な依頼の手伝いばかりなのだ。


 海の底の神殿にある魔法書入手だとか。 


 雪山のダンジョンの最深部に見つかった古代文字を見に行きたいだの。


 どれも、金にならない上にやたらと大変な場所に連れていかれた。

 おかげで、冒険者としての経験と実績は手に入ったのだが。


 でも、俺は基本的に面倒くさい事は嫌いだし、遠くに行くのも嫌だ。 お金が降ってくればいいなぁと願いながら、毎日お酒と美味い飯で、どんちゃん騒ぎをして生きていきたい。


「借りなんて――なにかしら?」


 ニマニマと笑みを浮かべるカノン。


「~~あるけどぉ! だが、なんなんだ! 借りなら毎回返してるだろぉ。 お前に借りを作るくらいなら――」


「あのダンジョンでたぶらかしてきた猫耳の女の子にでも頼る?」


「言い方ぁ! 助けてもらって、成り行きで一緒に帰ってきたんだよ」


「へぇ~。 晩ご飯までご馳走になって?」


「なんでそこまで知ってんだよ!?」


 ストーカーだぞ、それ!

 わざわざ他の冒険者の連中に見られないように、エルミアちゃんからのお恵みを頂いたっていうのに。


 ふふっと笑うカノンは、パチンッと指を鳴らすと俺の肩から、小さな光が彼女に吸われるように寄っていく。


 彼女の人差し指に留まると、それは小さな監視用のホタルムシだった。


「こゆ事♪」


「あっ! お前いつの間に!? そーゆうの犯罪だと思うんだが。 プライバシーの侵害だ! 訴えてやる!」


「どうぞ、お好きに~。 訴えるって、ギルドにかしら? あなたが? 私を?」


「くっ!」


 俺からの印象は別として、ギルドからの信頼はかなり厚いカノン。


 そりゃ、色んな場所への調査依頼を幾多とこなして、魔法使いとしての実力もあり、こんなロクでなしの俺の面倒もたまに見てくれる、そんな彼女を俺が訴えたところで・・・・・・。


 だ~れも気にもしない。


「なにが望みだ?」


「ふふっ。 そうやってすぐ折れてくれるところ好きよ」


 そういって、俺の腕に抱きつき猫撫で声で言う。


「明日の依頼を一緒に連れて行ってほしいの」


「は? 明日行くのは、ただの買い物だぞ? どーせ内容は知ってるだろ」


 その虫けらで覗き見していたはずだ。

 今回請けた依頼内容は、街の外にある村へ食料を届けるというもの。


 連日、モンスターと命の競り合いなどしたくなかった。 だが、働かないわけにもいかない身なので、適当にラクそうなのを選んだ。



「知ってるわよ。 でも、ライゼス。 あなた、そんなのじゃいつになって借金返せなくないかしら」




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