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第12話『借金はまだあります』

 ギルドに帰った俺とエルミアちゃん。


 依頼達成を報告すたるために、受付嬢のいるカウンターへ向かう。


 ちょうど俺の担当をしてくれているセラさんもいたので、ドヤ顔で話しかける。


「どうだね。 見事に達成してきたぞ」


 達成の報告と、手に入れた宝箱の中身を机の上にドカッとのせる。


「お疲れ様でした。 思ったより早いお帰りでしたね。 もう少しかかると思っていたのですが。 でも、無事でなによりです。 あと、その顔やめてくださいムカつきます」


 女性の『本気』のやめてくださいは、かなりメンタルを抉られる。


 すぐに謝った。


「そちらの獣人の女性の方は・・・・・・」


「あ、はい。 エルミアといいます。 あの、アルバスって人のパーティの」


 はぐれた冒険者の名前だろう。


 長くこのギルドにいるが、聞いた事がない名前だな。


 セラさんは、調べ物のようにペラペラと資料をめくり。


「あぁ、最近このギルドに入ったあの大柄の方ですね。 その方は?」


 それを聞いて、俺が説明する。


「ダンジョン内ではぐれちまったみたいでな。 それで――」


 キングドロカラスも一緒に倒した事まで俺が話すと、エルミアちゃんがこそっと耳打ちをした。


「ライゼスさん、それ言っちゃうと報酬が・・・・・・」


「あ」


 2人で倒した事になってしまうと、報酬金が・・・・・・。


「聞きましたよ~。 なにが「あ」なんですかぁ?」


「あ~いや、え~っと」


 今更引っ込みが付かない。


 ここで、俺だけの手柄にするなんて、周りの冒険者にも示しが付かない。

 実際に最低な行為である事も否定できない。


「えっと・・・・・・このエルミアちゃんに手伝ってもらいました」


「はい、わかりました。 では、報酬金は半分コでいいですね。 ちなみにライゼスさんの報酬金は、全額こちらで借金の返済に当てますので」


 わかってますよ。 そんな事。


「あ、ちなみに報酬金はいくらなんだよ。 それで全額払えるんだろうな! 結構強かったんだぞ」


 キングドロカラスの脳味噌こそ単純で、簡単なフェイクにひっかかる程だったが、一撃の攻撃力は経験を積んだ冒険者の俺でさえ焦るほどだった。


 エルミアちゃんの力を借りなくては、もっと苦労していた。


「報酬金は、ギルドの職員の話し合いの結果10万ゴールドでした。 その半分なので、5万ゴールドですね」


 まだ3分の2も残っている・・・・・・だと。


「はい、残り半分はエルミアさんのですね。 ちなみに、この人に渡してはいけませんよ」


「そ、そそそそそんなゲスな事しねぇよ!」


 セラさんが、あまりにも俺の図星を付くので、多少声が裏返ってしまった。 でも、ちゃんと否定はした。 


 報酬を独り占めなど・・・・・・しない。


 エルミアちゃんは、どうしようか俺とセラさんの顔を交互に見て慌てふためいている。


「だ、大丈夫だ。 エルミアちゃん。 俺達には、宝箱で手に入れたお金が山があるじゃないか!」


「そうですね! これだけあれば、きっと――!」


「これ、全部偽物ですよ。 かなり似せていますが、噛むと簡単に歯形が付くので金貨じゃないですね」


「そ・・・・・・そんな」


 宝石といい、金貨といい、なんでダンジョンで手にれた物は偽物ばっかなんだよ!


 他の冒険者からそんな話あんまり聞かないぞ! 


「単に運が悪いんですよ。 ライゼスさんは」


 セラさんの辛辣な一言に、俺は膝からガクリと床に崩れ落ちる。


 ふと、宝箱に一緒に入っていた短剣の事を思い出す。


 だが、お金の事ならともかく武器の事に関してセラさんは全く無知。


「鑑定屋にいってくるっ」


 木製だが。万が一にも高値で売れるかも知れない。


「私もいきます。 気になりますし」


 エルミアちゃんは、俺の後ろについてくる。


「では、また依頼を受けるようでしたら声をかけてくださいね~。 良いのがあったら残しておいてあげますよ」


「セラさんは、優しいのかそうじゃないのか分からん」


「優しいに決まってます。 こんなどうしようもない男を見限らず担当してるんですから」


 それっ! それだよ。 その言葉のトゲが俺の心に傷を残すんです。


 でも、セラさんの言う事は1つも間違っていないんだよなぁ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです。ダメ男だけどどこか憎めないダメ男…たぶん他の後輩冒険者にもそれなりに慕われてそうですね。 今後の展開も楽しみにしています。 [気になる点] 金は柔らかいので噛んだら歯形が付くの…
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