第11話『帰ります!』
二人で宝箱を裁いていると、お金に隠されるように一本の短剣を発見する。
「木の・・・・・・剣ですね」
「木剣だな。 宝石の類いの装飾はされてないな』
でも、作りは繊細なんだよな。 俺には理解出来ないような、古代のなにかを連想させるような模様やらなんやらが、丁寧に施されている。
「全部で木で出来てるから、そんなに高値では売れなさそうだな。 まぁでも、一応頂いたおこうか」
俺は、木の短剣を手に入れた。
「なんかその短剣、かっこいいですね。 神聖な感じします」
「なはは(笑) 俺に神聖なもんなんて似合わんよな。 でも、悪くないってのは同意だな。 軽いし、使いやすそうだ。 なんかの役に立つかもな」
高値で売れたら儲けものだしな。
俺はこれにて、受付嬢のセラから施しを受けた依頼を無事完了した。
エルミアも同じギルドから出発したらしい。
ゆっくりとダンジョンを引き返し、地上に戻る。
「帰りは、馬車使ってもよくね? ちょっとくらい・・・・・・さ。 こんなにお金あるんだし」
行きは徒歩だった。
難なく辿り着いたが、やはりラクに移動する馬車の連中を恨めしく見つめていたのだ。
「これは、借金のアテなんですよね? そんなにポンポン使っちゃ駄目ですよぉ」
「でも、エルミアちゃんも疲れてない? あんなに戦闘の連続だったし」
俺はもうクタクタなんです。
フロア移動する度に、微妙にしんどい坂道や階段を上がるし、当たり前だけどモンスターも襲ってくる。
泥だらけな身体は、歩きながらタオルで拭いて落としたけど。
だが、すでに心は休憩したいと叫んでいるのだ。
「私は歩きでも大丈夫ですよ! ほら!」
そう言って、その場でぴょんぴょんとジャンプして、元気アピールをする。
若いって・・・・・・うん。 無敵だよな。
「えっと・・・・・・じゃあ、歩いて帰りましょうか・・・・・・」
大金を手に入れた帰り道も歩く事になった。
しっかり物のエルミアは、いわや恩人である。
一緒に運んでくれているお金は、ほとんど借金返済分。
凶悪モンスターも、俺の事情を知った上で共闘してくれて。
「ありがとうございます。 天使様。 逆らいません」
「ふあ!? どうしたんですか、急に。 そんな目で見ないでくださいよぉ」
俺は彼女にこれでもかと尊敬の眼差しを送った。
「ナムナムナム~」
「それ、私死んじゃってます!? っていうか、私こそキングドロカラスに襲われてるところ助けてもらったんですから。 これくらい当たり前だと思うんですよ」
「帰ったら、なんでも買ってあげるからな」
「その前に、借金返してくださいね」
「・・・・・・はい」
知り合って間もない子に、すでに尻に敷かれ気味な俺はどうなんだ。
かくして、俺達は自分たちの冒険者ギルドのある街へ帰ったのだ。




