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第10話『宝箱がありました』

「ガァァアアアアア!? グォオオオオアア」


 炎の斬撃による攻撃を受けたキングドロカラス。


 燃える勢いは全身まで行き渡り、地面に墜落。

 のたうち回った末に、絶命した。


 そして、魔力の粒子となって姿を消した。


 のたうち回った場所には、焼き焦げた地面だけが残った。


「おいおい、ドロップアイテムなしかよ」


「やりましたね、ライゼスさん! 魔法使えたんですか」


「いや、あれは魔法っていうか、うーん、まあ一応魔法か。 魔法石の技だよ」


「あ、そうなんですね。 でも、魔法石ってかなり高価な物なんじゃ・・・・・・」


「そうなんだよ! だから出来れば使いたくなかったし、いざとなったら売って金にしようと思ってたんだ。 なのに、あのカラスは意外としぶといし、もういいやってな」


 魔法石は、魔法職じゃくてもお手軽に魔法が使える魔力を閉じ込めてある石の事。

 いろいろと制限やデメリットもあるが、今回のような場面ではとても役に立つ強力なアイテムだ。


「あっ。 枯れ木の扉見てみましょうよ。 開いてるかもしれませんよ」


「おぉ、そうだった。 一番肝心な事を忘れてた」


 討伐対象を倒した事で、依頼の報酬金は確実。

 それに加えて、高値の換金アイテムとかがあれば、更に安心だ。


 扉の取っ手は、さっきはどれだけ回しても、押しても引いてもビクともしなかった。


 それが、今回は呆気なく開いた。


 扉の奥は、少しかがまないと入れないほど、小さなスペース。

 枯れ木の内部全体が空洞になっているわけではないみたいだな。


「せまいな」


「でも、2人までなら入れそうですよ」


 俺が先導して内部に入る。 

 続くように入ってきたエルミアとは、肩が完全に密着してしまっている。


「おい、2人も入ったら狭いだろ」


 そりゃ悪き気はしないけどさ。


「だって、私も見たいですもん宝箱。 あ、中身はもちろん全部ライゼスさんが持って行っちゃっていいですよ」


 エルミアは、俺が借金返済をしなければいけない事を知った上で、共闘してくれた。

 それを忘れないでいてくれたのはありがたい。


 が、自分があまりにも情けなくて涙が出る。


「・・・・・・すみません。 金にがめついおっさんで申し訳ありません」


「あはは。 だったら、次からは借金するまで飲んじゃ駄目ですよ~」


 頭が上がらない。


 宝箱を開けると、いっぱいのお金が詰め込まれていた。


「うおぉぉ。 まさに、俺のために用意されたような宝箱じゃねぇか」


「ピッカピカですね。 全部金貨ですよ。 こんなにたくさんはテンション上がっちゃいますね」


「これなら報酬金なしでも借金返済できて、お釣りもくるはず」


 俺は、すでにお釣りで何して遊ぼうかで頭がいっぱいだ。


 それを見透かしたのかエルミアが言う。


「駄目ですよライゼスさん。 少しは貯金しておこないと。 またやらかした時に困っちゃいますよ?」


「大丈夫だ。 もうあんなヘマはしない。 ちゃんと飲んだらお金を払ってから寝るし、物にラクガキもしません」


「・・・・・・ラクガキなんてしたんですか」


「はい。 それもあって、賠償の請求が増えました」


「馬鹿ですね」

 何にも言えない。



 宝箱の中身を予備の雑嚢に詰め込む。


 だが、それでも入りきらない。


 「あちゃぁ。 こんなに入りきらないな。 いやしかし、他を置いていくなんてありえないだろ。 そんな選択肢はない」


 一部を持って帰って、また来るってのは現実的じゃない。 

 再びあのキングドロカラスが復活するかもしれないし、他の冒険者にも見つからない可能性なんて保証できない。


「俺がもう1人いれば。 せめて、分身の魔法でも使える奴がいれば・・・・・・」


「私がいるじゃないですか」


「え?」


 エルミアが不思議そうに言う。


「いやいや、もちろんそれが出来たらありがたいよ。 でも、仲間はどうするんだ? はぐれたままだろ?」


 エルミアには仲間がいたはずだ。 ダンジョン内ではぐれてしまったのかもしれない。

 だとしたら、せめて仲間と合流する所までは送っていかなくては、男の名が廃る。


「あ、あぁ~。 えっと大丈夫だと思います。 むしろ、ライゼスさんと一緒にギルドに戻った方がいい・・・・・・と思います」


 確かに。 広いダンジョンの中ではぐれてしまっては、探すのも困難。

 集合場所を決めておけば良かったのだろうが、どうやらそうでもないらしいしな。


「エルミアちゃんが、そう言うなら一緒にギルドに戻ろうか。 だったら、その・・・・・・あの」


「はい、宝箱の中身を運ぶの手伝いますよ!」


 エルミアも予備の雑嚢をもっていた。


「ありがどうございまずぅぅぅ」



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