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吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第二章 ラビラント編
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87話 Dragon Knight


「刀を抜いて、リュートを召喚すれば分かりますよ」


 どうやら、鞘から抜けば自動的に召喚するようにできている様だ。


「いいだろう、やってくれ」


「わかりました」


 サクヤが鞘から刀を抜く。


 刀身は赤くはない。

 それどころか黒い。

 どこかの漫画のように真っ黒な刀身だ。 

 これはこれでかっこいいが、これでは紅夜叉丸どころか黒夜叉丸だな。



 しかしそう思ッたのも束の間の事だ。

 黒い刃は、みるみるうちに紅く燃え上がりはじめた。


「なるほど……な」


 刀身は紅く燃え、その炎は竜の姿へと変わっていく。

 まるで柄から炎の竜が生えているかのようだ。

 これなら紅夜叉丸と名付けたくもなるか。


 燃え盛る炎の竜の剣を構える全身黒装束の剣士。

 幻想的な姿が地下の一室に映し出された。


 が、しかし……



「うほほーい!」


 ……何だそりゃ。


「ボク、リュート。よろしくね♪」


 何もかも台無しだな。


 先程までは、サクヤが炎の竜の剣を持つ騎士の如く幻想的な空気が地下の部屋を包んでいた。

 だが今は、リュートとやらの能天気な挨拶で、全て消え去ってしまった。


「うゎお! 子猫じゃん」


「す、すいません、まだ子供なんで」


「……そのようだな」


 これで転生者という事は、元々が子供なのか……

 ちょっと予想外だったな。


「名前なに? クロ? クロなの??」


 お前はルーナか。

 どいつもこいつも、どストレートな名前しか思いつかんのか?


「クロムだ」


「何それ? かっけー!」


 ガキンチョ言葉を話す炎のドラゴンね……

 見た目は凄いが、残念美少女も真っ青の残念ドラゴンだな。


 

「元は何歳だったんだ? 名前は?」


 俺がそう聞くと、リュートはサクヤのほうを向いた。

 リュートが頷くと、またこちらを向き直し話し始めた。


「赤城竜斗、小学2年生だったんだ」


「漢字は、色の赤にお城、ドラゴンの竜に北斗の斗、らしいです」


 リュートの答えにサクヤが補足を加える。


 竜斗か……

 まさかリュートが本名だとは思ってなかったが、よく考えれば日本人の名だな。

 しかし竜斗とか咲夜とか、イマドキの名でいいよな。

 俺なんて(以下略)


 まあ、今はクロムだ。

 リュートも「かっけー」って言ってるくらいだし、良しとするか。



「ところでだ。こんな狭い部屋で燃え続けてたら酸欠になるんじゃないのか?」


「いえ、大丈夫ですよ。魔法の炎のようですから」


 なるほどな。

 それなら狭いところでも問題なしか。


「しかし何だな……召喚しないと会話が出来んとなると、炎のドラゴンもいささか不便だな」


「いえ、出来ますよ」


「なにっ?」


「出来ます。刀をちょっとだけ抜くと、会話出来ますよ」


 ああ、鯉口を切るとかいう感じだな。

 って言うか……


 あれ??

 じゃあ、わざわざ姿を見せなくても、それでよかったってことか?

  

「でも最初ですし、姿を現すのが礼儀だろうと思いまして……」


 そういう事か。


「それに……やっぱり最初なんで、恰好付けたかったんです」


 ……そういう事か。


 なんだかんだ言っても年相応だな。

 恰好が大事か。

 やはり俺くらい歳を重ねて落ち着かないと駄目だな。

 と、元フリーターが偉そうに言ってみる。


 それはともかく、大して実りある会話はなかったな。

 分かったことと言えば……

 転移者と転生者は、残念イケメンと残念ドラゴンだってことだけだ。






「早かったじゃねぇか、もう話は終わったのか」


「まあ、一応な」


 地下から上がって来ると、ヴィオはお茶を片手に皿のケーキを突いていた。

 残念ながら、ケーキをつまみに黒炎酒ブラヴォドとはいかなかったようだな。


 ちなみに何切れ食べたのか分からんが、ルーナはソファーで苦しそうに横になっている。 

 

「これからどうすんだ?」


「別にこれといって用事はないな」


 今からダンジョンへ、というのも何だしな。

 街をぶらついて、情報収集でもするか。


「用がないなら宿で一杯――」

「せっかくですから、街を散策してみてはいかが?」


 遮ったね……

 ミラベルが睨みながらヴィオの言葉を遮った。


「サクヤ。案内してあげたらどう?」


「いいですよ」


 サクヤの案内付きか……それもいいな。


「街を散策するのですか?」


 ソファーに横になっていたルーナが、いつの間にか起き出していた。

 さっきまで苦しそうだったのに、今は涎が出そうになっているのは気のせいか?


「言っておくが散策だぞ」


「どういう意味なのです?!」


 どういう意味も何も、ルーナの場合は街の散策イコール食べ歩きだからな。

 

 まあ、今腹いっぱい食ったようだし、そうは食わんだろ。

 多分だが……



 恨めしそうな顔のヴィオと、その横で苦笑いしているミラベルを残し、俺とルーナ、そしてサクヤは街へと繰り出した。

タイトルは、SEKAI NO OWARI「Dragon Night」より拝借

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