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吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第二章 ラビラント編
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83話 こちら残念少女になります


「僕の召喚魔が転生者なんです」


 ……マジか?

 何なんだいったい。

 アレか?

 この世界への転生は日本人だけで、それも召喚魔に限るとか、そういうルールでもあるのか?


「召喚、出来るか?」


「いや、ここではちょっと……」


 何だ、往来では何か問題があるようだな。

 大きさか、それとも見た目か?


「僕の召喚魔は、ドラゴンなんです。それも……炎の」


 炎のドラゴンだと?!

 …………かっこいいな。


 俺も充分かっこいいけどな!


「それはさすがにここでは無理そうだな」


「無理とまでは言いませんが……目立ちますし」


炎のドラゴンがどれほど炎なのかは分からんが、人の多い往来で召喚するのは、さすがに気が引けるようだ。


「あとでどこかで召喚しますんで、それまでは……」


 まあ、楽しみに待つとするか。


「それより……」


 それより、何だ?


「ルーナさん、背中で寝てますけど?」


「ああ……いつもの事だ。気にしないでくれ」







 道をしばらく進むと、郊外と中心街を隔てる外郭が見えてきた。


「もうすぐ門があります。クロムさん、そろそろ元のサイズに戻ったほうがいいですよ」


「ああ、分かってる」


 その前に背中の眠り姫ルーナを起こさんとな。



「おいルーナ、起きろ」


「うーん、ムニャムニャ……とうぅ!“フエタ・ゾ・アメショトチャトラ”


 ……うん、知ってた。

 本日すでに二回目だしな。

 たぶん“火弾機銃掃射”フエゴ・デ・アメトラジャドラの事だろうが……


「アメショ? 茶トラ?? 増えた???」


 今は日本語が分かるサクヤがいるんだよな。

 しかし、何故ルーナの寝言は日本語に聞こえるんだ?

 いや、日本語が分かるから日本語に聞こえるのか。


「猫の夢ですかね?」


 そんな訳ないだろ。

 茶トラはともかく、この世界にアメショなんておらんぞ。


「気にするな。俺の呪文を言い間違えてるだけだ」


「呪文、ですか?」


「ああ。今のは“火弾機銃掃射”フエゴ・デ・アメトラジャドラだろうな」


「スペイン、語……ですか?」


「よく分かったな」


「少しかじったことがありますから……」


 まさか某人気漫画のせいじゃないだろうな?

 ……俺の事だが。



「うーん…………あれ? クロムが人間になってるのです!」


 はあぁ???

 もしかしてサクヤを俺と勘違いしてるのか?


「えっ? ええっと……」


「何を言ってるんだ。俺はここだぞ」


 確かにサクヤは全身黒ずくめだが、普通間違うか?


「あれ? ほんとだ。じゃあ、あなたは誰なのです?」


「えっ? いや、あの……」


 いや、さっき自己紹介しただろ。

 お前の脳みそは寝たらリセットするのか?

 初っ端から残念美少女っぷりがだだ漏れだな。

 サクヤも困惑してるぞ。


「サクヤだよ! さっき自己紹介しただろ」


「ん? ……ああ、そうなのです。サクヤ君なのです」


 なんだ?

 忘れていた割に、さっそく君付けだな。



「ルーナ、そろそろ門が近いそうだ。小さくなるから背中から降りろ」


「そうなのですか? わかったのです」


 ルーナは仕方なさそうに俺の背中から降りた。

 旅の間、ずっと俺の背中だったからな。

 自分で歩くのは久しぶりなんじゃないか?


「あ、あの……」


「何だ、サクヤ?」


「いつもこうなんですか?」


「何のことだ?」


 ちなみに、ルーナが残念なのはいつもの事だぞ。


「やり取りが、です」


 やり取りだと?

 何が言いたいのかさっぱり分からんな。


「今まで見てきた契約者と召喚魔は、良くて対等です。でも、クロムさんたちは……」


「俺の方が上に見える、ってか?」


「……はい」


 まあ、その通りだけどな。


「今は子猫の姿だが、俺はこう見えて30過ぎのオヤジだ」


 フリーターだったがな。 


「で、俺の契約者かいぬしは……お前が今見たままの通りだ」


「…………分かりました」


 分かったのかよ。

 やはり残念感が溢れ出ていたようだな。


「兄妹のような存在なのですね」


 ……違う、全然違う。

 何をどう聞いたらそういう解釈になるんだ?


 何だかサクヤこいつも相当抜けてるところがありそうだな。

 大丈夫か?

 ラビラントに着いて早々だが、先が思いやられるな……

タイトルは、こちら文学少女になります/小嶋 陽太郎 より拝借

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