↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第一章 ズッカ編
72/126

72話 黒毛野牛上塩まる焼680レオネ

 ルーナの家に来た。


 この村の家は皆、丸太小……いや、ログハウスのような造りだ。

 分かりやすく言うとアルプスの少女的な感じだ。

 少し行くと森があるから、木は簡単に手に入る。

 煉瓦造りよりははるかに効率的だろう。

 もちろんルーナの家も例に漏れず、同じような造りをしている。


「ここがわたしとアウロラの部屋なのです」


 はしごの様な急な階段を上がると、そこがルーナとアウロラの部屋だ。

 まあ、言うなれば大きな屋根裏部屋だな。


 部屋にはデカい乾草のベッドが一つ。

 ここでルーナは、アウロラとずっと一緒に寝ていたのだな。

 そのせいで、俺は毎日ルーナと寝る羽目になっているという訳だ。



「ルーナ! おやつを準備したわ、降りてらっしゃい」


 ルーナの母が下から声を掛けてきた。

 

「クロム、おやつだって♪ 下に行こう」


 そうだな。

 いくら契約者かいぬしとはいえ、女の子の部屋をあまりじろじろ見るのも何だしな。



 一階に降りると、テーブルの上に焼いたばかりのクッキーが皿に乗っていた。

 山盛りに。


「さあルーナ、たくさんおあがり」


 どうやらルーナの大食いの元凶は、母親にあるような気もするぞ。

 という事は……


「「いただきまーす♪」」


 ルーナとアウロラは、そろってクッキーを食べ始めた。


 えーっと……

 大食い正統派美少女かな?


 ルーナはもちろんだが、その大食らいのルーナに負けぬ勢いで、アウロラもクッキーをほおばっている。

 どんなに美少女でも、やはり姉妹だな。


「えーっと、クロムちゃんだったわね? クッキーは食べれるかしら?」


「御馳走になろう」


 クッキーは頂くが、ちゃん付けはやめて欲しいな。

 あとでルーナから伝えてもらうとしよう。




「ところで……だ」


 皿のクッキーが半分になったころ、ルーナの父親が真面目な顔で切り出した。

 そういえば、ずっとここにいたようだ。


「借金をすべて返済したと言っていたが……本当なのかい?」


 ルーナに言っているようだが、食っている時に言っても聞いてないぞ。

 父親なんだから知ってるだろ?

 

 ちなみにクッキーは美味いぞ。


「本当だ。二度とここにジャコモが来ることはない」


 仕方がないので俺が代わりに答える。


「しかし、この短期間で6万レオネもの大金を返すなんて……」


 そんなことを言われても、返したものは返したのだ。


「一体どうやって……」


 何て事はない。

 スライムと蟻と猿を倒しただけだな。

 簡単だったぞ。


「それに、高位召喚を成功させるとは……」


 だから、成功したから娼婦になってないんだろ?

 

「それも喋る子猫とは……聞いたこともないぞ」


 聞いたことはなくても、目の前にいるしな。


 しかしさっきから完全に独り言だぞ。

 俺は全く答えてないし、ルーナはガン無視でクッキー食べてるし……


 しかしこのクッキーは美味いな。

 ルーナの母親はお菓子作りが得意なのかな?

 その母親も旦那の話をスルーしている様だが、そういう家庭なのか?

 というより、旦那自体がスルーされてるな。

 ルーナの父親はステルス機能でも付いてるのか?


 いや待て。

 たまにルーナの存在が希薄になるのは、父親譲りなのか?


「しかし、冒険者とはなぁ……」


 何なんだ?

 娼婦になるか、高位召喚を成功させて冒険者になるか、の二択だったんだから仕方ないだろ。

 まさか、娼婦の方が良かったとか言う気じゃないだろうな。


「えーっと……クロム君、だったね? ルーナはこのまま冒険者を続けるつもりなのかな?」


「さあな。どうするか悩んでるようだが?」


「……そう、か」


 ふむ。

 どうも冒険者を続けて欲しくないような言いぶりだな。




「おーい、だんだんと肉が焼けてきたぞ!」


 イヴァンがノックもせずに家の中に入って来た。

 失礼な奴だ。

 まあ、田舎にはありがちなのかもしれんがな。


「クロム行きますですよ! 黒毛野牛ブラックバイソンの丸焼きなのです!!」


 どうやら俺たちがルーナの家で休んでいる間に、村の者で黒毛野牛ブラックバイソンの丸焼きの準備をしていたようだ。



 村の中心部に行くと広場があり、集会所のような建物も建っていた。

 もちろんその建物も、丸太造りだ。


 広場の真ん中では、黒毛野牛ブラックバイソンが炭火によって丸々一頭焼かれていた。

 焼けた肉のいい匂いが辺りの漂っている。


「うふ♪ うふふふふっ」


 ル、ルーナさん、大丈夫ですか?

 怖いんですけど……


「美味しそうなのです♪」


 そ、そうだね。美味そうだね。



「おお、ルーナ!」


「あ! 若長……と、長老」


 ルーナに声を掛けてきた男が若長、そしてその後ろにいるのが長老だな。


 若長とは単なる村での呼び名だろう。

 男は、若長と呼ばれるにはそこまで若くは見えない。

 いわゆる村の青年団長的なものだろう。

 日本でも青年団員という名の40代がごろごろいるからな。


「まさか、ルーナが黒毛野牛ブラックバイソンを土産に帰って来るとはな」

「ふぉふぉっ、ルーナよ、良い土産じゃ。ありがとうよ」 


 長老は、まさしく長老という風貌で、杖まで持っている。

 どこから見ても長老だ。


「皆の者! 今日の黒毛野牛ブラックバイソンはルーナの土産じゃ。感謝して頂くがよいぞ!」


 長老の言葉を皮切りに、村を上げての黒毛野牛ブラックバイソンの丸焼きパーティーは開始された。





「はい、クロムもどうぞ」


 そう言って、アウロラは焼かれた肉の乗った皿を俺の前に置いた。


 ルーナ?

 ルーナはもちろん、最前線で肉を頬張っていて戻ってこんな。

 さすがに今日ばかりは、村人たちに声を掛けられたら答えてはいるようだ。

 肉を食いながらだが……


「食べないの?」


 ん?

 いや食べるぞ、かなり美味そうだしな。


 おっ! マジで美味いぞ!

 塩味だけだが、それが肉の旨味を引き立てている。

 先日ズッカで食った肉より美味いかもしれん。


「美味しい?」


「ああ、美味いな! アウロラは食べないのか?」


「食べてるよ。まだまだいっぱいあるしね♪」


 さすがにルーナよりは節度があるようだ。

 ルーナより美人だからかな?


「ねえ? 何でお姉ちゃんの召喚魔になったの?」


 何でって言われても……

 答え難い質問だな。


 まさかドジっ娘だからとは言い難いしな。


 今やドジっ娘より、大食いと寝言の方がメインだがな……

タイトルは、大塚 愛「黒毛和牛上塩タン焼680円」より拝借

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。