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吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第一章 ズッカ編
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71話 お姉妹の日


「お姉ちゃぁーーーん!!!」


 村へ着くと、ピンクの髪の美少女が叫びながら駆けてきた。

 “お姉ちゃん”と言っているからには、きっとルーナの妹なのだろう。

 これが女の子でなくオヤジだったら“お姉ちゃん”の意味も、また違うのだろうが……


「アウロラ! ただいま」

「お姉ちゃん!」


 間違いなく妹のようだ。


 髪の色は、よく見るとオレンジ掛かったピンク色をしている。

 日本では曙色とか東雲色と言われる色だ。

 今更ながら日本人の色彩表現は素晴らしいよな。


 もう日本人じゃないけど。

 というより、人ですらないけど……


 そんなことより、妹はかなりの美少女だ。

 正統派美少女と言えばいいのだろうか。

 いや、ルーナが正統派じゃないと言ってるわけではないぞ。

 確かに残念美少女だが……


「お父さんが、もうお姉ちゃんは戻ってこないって言ってたから……」


「大丈夫! 戻って来たのです」


 抱き合う正統派美少女と、残念美少女。


 何故だろう?

 感動の再会なのに、俺の表現だと感動も何もない気がするが、気のせいだという事にしておこう。


「ルーナ……お前……」

「ああ、ルーナ、ルーナ!」


 妹の後ろから遅れてやって来たのは、どうやらルーナの両親のようだ。

 母親は結構な美人さんだな。

 父親もなかなかのイケメンだが、頼りない感じがしなくもない。

 借金のイメージのせいだろうか?


「ルーナ、大丈夫だったの? 娼婦にはならなくて済んだの?」


「お母さん! 大丈夫なのです。高位召喚出来たのです」


 抱き合う美人妻と残念美少女……


 いや、やめておこう。

 俺の言葉では、感動のシーンが台無しになりそうだ。



「高位召喚って……この子猫が高位召喚魔、なの?」


 母親は、ルーナの隣のちょこんと座っている子猫……

 つまり俺を見て、そう言った。


 まあ、いつもながら当たり前の疑問だな。

 俺が俺じゃなかったら、そう思うだろう。


「ルーナの召喚魔、クロムだ。よろしくな!」



「「「えっ! 喋った?(♪)」」」



 約一名、初めてのルーナと同じ反応の奴がいたようだが……

 さすが姉妹だな。


「当たり前なのです。クロムはこう見えて、高位召喚魔なのです」


 いや、高位召喚魔が全部話せる訳じゃないぞ。

 その言い方だと、家族が勘違いするじゃないか。


 と言うより、今さりげなく“こう見えて”とか言わなかったか?

 契約者かいぬしだとしても失礼だぞ!


 失礼なのはお互い様だが。



「それに借金も全部返済したのです。ねえ、クロム!」


「ああ、そうだな」


「もうジャコモさんは来ないのです!」


「ど、どうやって……? 冒険者になったからといって、まだ半月もたっていないのに……」


 父親がそう言うのも当たり前だ。

 たとえ高位召喚に成功して冒険者になったとしても、半月で6万レオネを返済するなんて、普通は無理だろう。


 普通ならな。


「クロムのおかげなのです! クロムがいっぱい魔物を倒したおかげなのです」


「いや、まあ、とにかくルーナの言う通り、借金は全額返済したから安心して――」

「猫さん! 猫さんは強いんですか?」


 アウロラが俺の前にしゃがみ込み、顔を近づけてきた。

 

「小さいのに魔物をやっつけちゃうんだ、凄いね♪」


 い、いやぁ……それほどでも♪ 


 おっと……

 美少女に褒められて、ついデレってしまった。


 え? なに?

 ルーナもさっき褒めてた?


 まあ、ルーナは別だ。

 大食い残念美少女だし……



 大食いと言えば、さっき狩った黒毛野牛ブラックパイソンはどうするんだ?


「おい、ルーナ。さっき狩った――」

「おぅう!!」


 な、なんだ?


「思い出したのです。黒毛野牛ブラックパイソンなのです♪」


 だから今、俺が言おうとしてただろ。


黒毛野牛ブラックパイソンを捕まえてきたのです。村のみんなで食べるのです!」


「何っ! 黒毛野牛ブラックパイソンだとっ?」

「ルーナ一人でか?」


 感動の再会を横で見てい、たムックとイヴァンが驚いて話しかけてきた。

 まわりにいた村人も驚いているようだ。


 どうやらコロロでは、黒毛野牛ブラックパイソンは一人で狩れるような魔物ではないらしい。


 コロロ基準ではそうかもしれないが、俺基準では黒毛野牛ブラックパイソンなんて群れごと狩れる代物なのだが……


「クロム! 二匹とも・・・・出すのです」


 本当は三匹だがな。


「はいよ……ほら!」


 異空間から黒毛野牛ブラックパイソン二匹・・出した。

 二匹だけな。


「おおっ!」

「これをルーナ一人で?」

「二匹ともかなり大きいぞ」

「凄いな……」


 周りの村人は口々に感嘆の声を漏らしている。


 実際に倒したのはルーナではなく俺だがな。


「今晩は、村のみんなで黒毛野牛ブラックパイソンの丸焼きなのです♪」


 ルーナは家族との再会より、牛の丸焼きの方が嬉しそうだな。

 まあ、ルーナならそんなものか……


「クロム、みんな喜んでるのです!」


 いや……

 一番喜んでいるのはルーナ、お前だ。

タイトルは、おしまいの日/新井 素子 より拝借

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