↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第一章 ズッカ編
68/126

68話 ルーナ、冒険者辞めるって……よ?


「金は黙ってもらっておくぜ。どうせ何言っても置いていくんだろうからな」


「ああ、そうしてくれ」


 ヴィオの分7万レオネを渡すと、黙って……でもないが、受け取った。


「だが、金はあるのになんで急な仕事を受けたんだ?」


「ああ、昔からの知り合いに頼まれてな」


 昔から、ね……

 ヴィオは元々はこの辺の者ではなさそうだ。

 昔の知人と言っても、ズッカの者ではないのだろう。


「それより知ってるか?」


 何をだよ……


「カラコーゾフ兄弟が行方不明らしいぜ」


「ああ、知ってる。さっきもザンバと話したぞ」


「知ってるならそれでいい。この間の件が絡んでるとも言えそうだが、しょせん憶測だしな」


「そうだな」


 奴らがルーナを狙った理由も、奴らが行方不明な原因も、何を言った所でしょせん想像でしかない。


「だが分からないからこそ、気を付けなよ」


「ああ……そうだな」


 いくら危険が常の冒険者稼業でも、ルーナを危険な目にあわせる訳にはいかんからな。




「ねえ、クロム……」


「ん? どうしたルーナ」


 静かなので寝てると思ったが、珍しく起きていたようだな。


「冒険者って……危険なのですか?」


 えーっと……何をいまさら?


「普通はそうだな」


 冒険者の仕事といえば、魔物退治に護衛、迷宮ダンジョンでのお宝探しなんかだ。

 どれを取っても危険と隣り合わせだ。

 それに……“冒険”者と言うくらいなのだ。

 冒険には危険は付き物だろう!


「今までも危険だったのですか?」


 うっ!

 …………そう言われると、どうだろう。

 危険と言えば危険だったのかもしれないが、大した危機は感じてないな。

 というより全く感じてないな。

 はっきり言って余裕なレベルだ。


「ま、まあ……今まではな」


「じゃあ、これからは危険になるのですか?」


 そう来たか。

 しかしそれは……


「何とも言えんが、今までは大した危機は無くても、これからもそうとは限らん」


 その辺レベルの魔物なら俺にとっては危機でもなんでもない。

 しかし、俺より強い魔物や魔族はいるはずだ。

 強力な魔物や魔族と対峙したら、いくら俺でも危険だろう。


「うーん……そうなのですか…………」


「何が言いたいのだ? 何か考え事か?」


「うーん………………」


 はてな?

 ルーナが考え事というだけで珍しいのに、歯切れも悪いとは……

 何か変な物でも食ったか?


 まあ、ルーナが何を食った所で、問題はなさそうだがな。



「もしかしてルーナは、冒険者を続けるかどうか悩んでるんじゃないのか?」


 ふむ。

 確かにヴィオの言う通りかもしれんな。

 実際、ルーナはなりたくて冒険者になった訳ではない。

 借金を返すために冒険者になったのだ。

 そして、その借金はもう返済済みだ。

 やりたくもない冒険者を続ける必要は、最早無い。


「そうなのか? ルーナ」


「……うーん、とね。……どうしよう?」


 ヴィオの予想は正解のようだな。

 只今お悩み中という訳か。


「どうしようと言われても、ルーナ次第だろう」


「そういう言い方はどうかな? 決めかねてるから悩んでんだろ!」


 ……それもそうか。

 ヴィオの言うとおりだ。


「別に冒険者なんていつ辞めてもいいんだし、のんびり相談して決めたらいいだろ」


 確かにそうだな。

 何かの商売のように、一度やめたら再開に苦労する商売でもないしな。

 冒険者稼業なんて、いつでも始めれるし、いつでも辞められる。


 いや……

 もしかしたら、家に帰りたいのか?

 借金返済も終わって、張り詰めたものが切れたのかも知れんな。


 いわゆるホームシックなのかな?



「ルーナ。どうだ、一度村に帰ってみるか?」


「えっ?」


「借金も返したんだ。家に帰ろうが、どこに行こうが何の問題もないぞ」


 それにジャコモの事だから、娼婦じゃなく冒険者になったなんて言ってはいないだろう。

 ルーナの家族は、ルーナが娼婦になって、二度と帰ってこないと思っているに違いない。


「一度帰って、元気な姿を見せて、現状を報告するのもいいんじゃないのか?」


「いいのですか?」


 逆に何が問題なのだ?

 娼婦じゃないんだ、冒険者が家に帰っても何の咎めもないぞ。

 それとも何か?

 ルーナの親は「冒険者なんてやくざな稼業の奴は家に敷居は跨がせん!」とか言っちゃう人なのか?


 いや言わないよな。

 そもそもが自分の謝金が原因なんだしな。


「いいに決まってるだろう!」


 俺の返事に、曇り気味の表情だったルーナに笑顔が戻った。


「じゃあコロロに帰ってみるのです♪ 帰ってどうするか決めるのです!」


 うむ、それがいい。

 

 やはりルーナには笑顔が似合うな。

 飯を食ってる時はいつも笑顔だが……


「そうと決まれば、早速今からでもコロロに向かうとしようか!」


「「えっ! 今から?」」


 ん?

 ルーナとヴィオは何を驚いているんだ?

 まだ昼前だぞ。

 コロロなんて俺の手に掛かればあっという間だぞ。


 いや、走るから足だな。

 そもそも猫だから手はないし……


「一応、大鍋亭には戻るか。おかみさんには伝えなきゃないしな」


 あとは昼飯を待たないとな。

 おかみさんに……いや、屋台で何か買うか。


 昼飯がないと、ルーナの笑顔が消えそうだしな……

タイトルは、桐島、部活やめるってよ/朝井 リョウ より拝借

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。