57話 ばすたいむあいず
……
…………
………………どうしてこうなった。
「こちらがお客様のお部屋になります」
薔薇の咲き誇る、ライトアップされた庭園を通り、VIPルームとやらに案内された。
VIPルームと言うだけあって、室内は贅沢な造りだ。
居室には大きなダイニングテーブルのセットと、ふかふかソファの応接セット。
寝室には豪華なベッドが4つ。
浴室は5人は入れそうな大きな湯船が備え付けられていた。
あれだ、あれ。
温泉旅館とかにある、はなれの特別室みたいなやつだ。
あれの洋風版だな。
泊まったことなんかないけど……
「お食事はいかがなさいますか? お部屋でも、本館のレストランでもお取り頂けますよ」
そうだな……
本館で食事をするとなると、マナーとか色々ぼろが出そうだ。
「皆疲れているので、部屋で取りたい。なるべく急いで頼むぞ」
お腹を空かした美少女がいるからな。
「かしこまりました。VIP専用のコース料理となりますが、メインは肉と魚のどちらが宜しいでしょうか?」
肉だな……お腹を(以下略)
「肉で頼む、俺の分もな。あとは酒だ。麦酒と蜂蜜酒のオレンジ割り、それに林檎酒だな。」
「かしこまりました。では急いでお持ちします」
「ああ、それと……料理はすべて持ってきてくれ。給仕はいらん、こちらでやる」
「は、はい。かしこまりました」
給仕はそう言って一度退出していった。
しかしやたらと“かしこまり”過ぎじゃないか?
どうでもいいけど。
給仕がいなくなるまで俺以外は黙っていたが、ようやく皆、ほっと一息ついたようだ。
「お腹すいたのです」
開口一番これか……
さすが腹ぺこ残念美少女だな。
しばらくすると、部屋に料理と酒が運ばれてきた。
「お料理とお酒はこちらにすべて用意致しました。給仕は不要という事なのこれで失礼します」
「ああ、ご苦労」
「必要がございましたら、そちらの魔道具でお呼びください。では、ごゆっくり」
やっと、本当にいなくなったな。
「もういいのですか? もう食べていいのですか?」
もう腹ぺこ残念美少女を通り越して、飢えた残念美少女だな。
「ああ、かまわん。存分に食べろ」
「はーい♪ いただきまーす」
……落ち着いてな。
「グラシアもラエルも沢山食べて飲んでくれ」
確かにその時、俺はそう言った。
そう言ったがな…………
まさか、こうなるとは思わんだろ?
ルーナはともかく、グラシアとラエルだぞ?
「クロム、こっちに来るのです! モフモフさせるのです」
「私にもモフモフさせて下さいね♪」
「二人ともずるい! 私もモフモフしたい!!」
モフモフモフ―― 交代。
モフモフモフ―― 交代。
モフモフモフ―― 交代。
うむ、酔ってるな。
沢山飲めとは言ったが……
「お風呂に入るのです♪ みんなで入るのです!!」
「いいですね♪ みんなで一緒に入りましょ」
「お風呂大きいからね。いい提案ですー♪」
ああ、いいんじゃないか?
みんなで楽しく入ってくれ。
ただし少々酔ってるようだから気を付けてな!
「では俺は少し、ひとりでのんびりさせてもらおう」
「何を言ってるのです! クロムも入るのです!」
何を言っているとは、俺の台詞だ。
俺が一緒に入る訳にはいかんだろ!
「いいですね♪ クロムも一緒に入りましょ!」
「クロムも入ろうね! いい提案ですー♪」
「いや……しかし……」
おいおい、俺は、男だぞ。
猫かも、召喚魔かもしれんが、元30過ぎの立派な男性だぞ!
それなのに、一緒に風呂だと?
酔っ払ってハイテンションになり過ぎだぞ! お前ら。
「一緒に入るのです。命令なのです!」
いやルーナとラエルだけならまだしも……グラシアまで……いるんだが。
「いや……しかし……」
「いやも、しかしも、かかしもないのです! 命令なのです!」
……
…………
………………まじかよ。
「お風呂おっきいーのですー♪」
「泡風呂ですね♪」
「気持ちいいー♪」
…………
「グラシアのおっぱい結構大きいのです!」
「やーねぇ、ルーナ。そんなことないわよー」
「私よりルーナのおっぱいが大きい……」
………………
「グラシアのおっぱい柔らかいですー」
「ルーナ! やめてよ、もう!」
「ルーナより胸が小さい……」
……………………
「クロム! 何やってるのです。湯船に一種に入るのです!」
「私が連れてきますね」
「胸……小さい……」
おい、やめろ!
グラシア、抱くなって!! 裸だぞ!
胸が……生乳が…………
……
…………
…………………どうして……どうしてこうなった…………
タイトルは、ベッドタイムアイズ/山田 詠美 より拝借




