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吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第一章 ズッカ編
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36話 すべてがモフになる


「終わったようだな」


 柘榴猿カーバンクルの処理が終わり、残った残骸もドーリが魔法で燃やしたようだ。


「魔石と魔臓は俺が預かるが、問題ないか?」


「問題ないな」

「よろしくお願いします」

「……ああ」


 ザンバたちに異論はないようだ。


「はーやーく、帰ろーぜー!」


 ヴィオは……どうでも良さそうだな。


「ヴィオ。わかったから、静かにしていろ」


「へいへい」


「ではザンバにドーリ、後を頼んだぞ。夕食は後で届ける」


 ドーリにはヴィオがいろいろ説明をしていたようなので、何かあってもドーリが何とかしてくれるはずだ。

 

 えっ、ザンバ?

 どうせルーナと同レベルの理解力だ、ザンバに説明しても意味はないな。


「ヴィオ、もういいぞ! ルーナとグラシアも、帰るぞ!」


「よーし、帰ったら酒だな」

「りょーかい! なのです」

「ザンバ、ドーリ、後はよろしくね」


 皆が魔法陣の上に乗ると、ヴィオが呪文を唱える。



門よ、開けアペリーレ・ポルタ!」



 …………はい! ヴィオの店に戻りました。


 一瞬で光に包まれその光が消えると、もうそこは今朝出発したヴィオの店の中だ。



「ホーッ! ヴィオ、おかえり」


「おお、ただいま! トリヴィア」


 相変わらず黒フクロウの姿なのに、女性というのが違和感たっぷりだ。

 俺の中だけの価値観だが……


「こんばんは。お邪魔してます」


 ラエルもいたのか。


「レネットさんに頼まれて夕食をお持ちしました」


 テーブルには暖かいままの食事が並んでいる。

 そして、酒も並んでいる


「魔法で冷めないようにしておきました。お酒は黒炎酒ブラヴォド林檎酒カルヴァドス麦酒エール蜂蜜酒ミードのオレンジ割りを用意しておきました」


 さすが魔道士の卵だけある。

 魔法で温かいままの料理が食えるのだから、この世界は便利でいいな。


「あと、ザンバさんとドーリさんの分は、お弁当にしてこちらに」

 

 肉を挟んだパンにライスコロッケアランチーニフライドポテトフリッツ、シチューの入ったスープ缶まである。

 これで酒があれば、何の文句もないだろうな。


「それに、お酒は火酒ウイスキーを準備しておきました」 


 至れり尽くせりだな。

 もはや、野営というにはおこがましいくらいだ。


「じゃあ送ってやるか! おっと、その前に……」


 ヴィオが何やら四角い器具を取り出した。

 

「あー、チェックチェック。 ドーリ、聞こえるか?」


 そのまま四角い器具に向かって話し出した。

 どうやら、遠話装置のようだ。


「こちら、ドーリだ。聞こえるぞ」


「いまからグラシアと一緒に料理を送るぞ」


「了解した」


 こうやって見てると、まるでトランシーバーだな。


「んじゃグラシア、済まないが料理を持って転移してくれ」


「はい。わかりました」


 グラシアが料理を持って準備をしていると、ラエルがヴィオに話しかけてきた。


「あの……私も一緒に送ってくれませんか? 後学の為にヴィオさんの空間魔法を体験したいんです!」


「ん? ああ、いいぜ。でも体験したくらいじゃ勉強にならないと思うけどな」


「いいんです! お願いします」


 どうもラエルは、ヴィオに憧れているようだが、魔道士としては凄い奴だが、人としてはどうかと思うぞ。 




「グラシアもラエルも準備はいいな。 門よ、開けアペリーレ・ポルタ!」


 料理を持ったグラシアとラエルは、光に包まれたあと一瞬で消える。


「ドーリだ。着いたぞ」


 遠話装置が光り、ドーリの声が聞こえてきた。

 グラシアたちは問題なく森に着いたようだ。


「そうか、戻るときは適当に声を掛けてくれ」


「了解した」



「さてと、食いながら連絡を待とうぜ!」


 いや……ヴィオの場合、飲みながらと言ってくれ。




 ほどなくドーリから連絡が来て、グラシアたちを呼び戻した。 

 ラエルは感激のあまり顔が紅潮して、少々興奮気味のようだ。


「凄いです! あちらの魔法陣も完璧過ぎるほどです。こんな――」


 なにかいろいろ言っているが、ようするに“ヴィオの魔法は素晴らしい”と言いたいのだろう。

 

 魔法は凄いよ、魔法はね。

 だが、紐パン魔道士だぞ。いいのか? 憧れの対象がそいつヴィオで。


 

「ラエルもここで食事をしていったらどうだ?」


 食事は大勢の方が楽しいぞ。

 前世はいつも一人の食事だったからな。


「せっかくですが、姉さんエフィルも待ってますので……」


 そうか、エフィルを一人寂しく食事させる訳にはいかんな。

 俺も前世は――(以下略)


 それにしてもラエルは礼儀正しいな。

 それに比べてウチの子ルーナは……


「何か顔に付いてるですか?」


 付いてるよ、口の周りにたくさんな!


「何でもない、食事を続けてくれ」


 しかしルーナはよく食うな。どこに栄養が行ってるんだ?

 背でも頭でもないことは確かだが、かといってヴィオのように、胸に栄養が行っている風でもないな。

 ……謎だな。 




 ラエルは帰ったが、グラシアも参加しての夕食という名の飲み会は続く。

 

「ところで、クロムさん! この間の約束は覚えていますか?」


 はて? グラシアと何か約束をしたか?

 

「モフモフさせてくれる約束でしたよね?」


 えっ! いやあれはグラシアが勝手に……


 ……

 ……

 捕まった……



 モフモフ、モフモフ、モフモフ――



「うふ♪ 気持ちいいっ♪」


 もしかしてグラシアはツンデレいや、クーデレ気質ですか?



「あー! わたしもモフモフするのです!!」

「なんだ、気持ちよさそうだな! オレにもモフらせろ」

「ホーッホ♪ クロム、モテモテですね」


 ちっ! トリヴィアの奴、馬鹿にしやがって……



 グラシアに続きルーナ、そしてヴィオにまでモフられる。

 大概にして欲しいものだ。


 これが普通に人間なら、ハーレムなんだがな。

 いや、チートだからチーレムかな?


 でも所詮、猫だしな…………


タイトルは、すべてがFになる/森 博嗣 より拝借

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