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吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第一章 ズッカ編
19/126

19話 冒険者たち ザンバと二人の仲間

「アチョッ!」

「アチョッ!」


“風の刃”!フィロ・デ・ビエント


「アチョッ!」

「アチョッ!」


“風の刃”!フィロ・デ・ビエント



 俺とルーナは今、アント腹部ケツを切り取ってる。

 ちなみに変な掛け声は、ルーナがククリナイフでアントを切っている声だ。


「しかし面倒だな」


「アチョッ!」

「アチョッ!」


「……うるさいし」


 謎の掛け声の必要性がイマイチ分からん。

 しかし魔物を捌くのも躊躇しないとは、なかなかどうしてルーナさんの凶暴説もあながち間違いではないようだ。



 その時、遠くから声が聞こえた。



「ルーナさーん! 猫さーん!」「おーい! ルーナ、クロム、どこだー!」


 聞き覚えのある声だ。

 ひとつはグラシア、もうひとつはバンダナ男ザンバだな。


「あれ? グラシアさんの声だよね。おーい! こっちなのです!」



 茂みの中から馬を引き連れたグラシアとザンバ、あとドワーフの……名前なんだっけ? ああ、ドーリだ、が顔を出した。


「ああ、もう終わっちまったか」

「だから言ったのに馬を借りてまで来て、支払いどうするのよ」

「……」


「いや、手伝えることがあったらと思ってな。ってグラシアだって心配しててだろ」

「心配しててのはザンバじゃない! 私はルーナさんと猫さんの戦いぶりが見たかっただけです!」

「……」


 いやドーリも何か言えよ。


 どうやらザンバ達は、俺たちの助っ人をしようと馬を借りてまでここに来たようだ。

 別に戦いの助っ人など必要もなかったが、丁度いいところに来た。馬の借り賃もあるだろうから手伝い(バイト)をさせよう!


「いいところに来たぞ。金は払うからアント腹部ケツを切ってくれ」



「本当か! これでグラシアにぼやかれなくて済むな」

「いいわよ。手伝うわ」

「……」


 だからドーリも何か言えよ。


 グラシアは剣を、ザンバは大型のナイフを、ドーリは戦斧バトルアックスを抜きアントを切断し始めた。

 ルーナも負けじとククリナイフでアントを切断しているが、俺は休ませて貰おう。 


  

 しばらくすると洞窟の前には、アントの腹部の山が出来上がった。

 100は大きく超えている。

 これなら助っ人バイト代を出しても問題ないな。


「すげえ量だな。で、これどうするんだ? マジックバッグにも入らんだろ」


 ザンバよ、君のバッグとは違うのだよ、君のとは。


 どこかで聞いたような台詞が脳内を過ったが、言葉にはしなかった。

 言っても分からんだろうしな。


 俺は結局ザンバには何も答えず、アントの残骸を異空間に放り込んだ。



「「消えた?!」」「……?!」



 だからドーリよ、驚いたら声ぐらい上げてくれ。


「俺が異空間に入れただけだ」


 3人の羨望の眼差しが痛いな。


「さて、帰るとするか」

「おいクロム、待てよ! 巣を破壊しなきゃその分の金が貰えないぜ」


 おっと、忘れてたな。

 せっかくだから、さっき見たアレをやってみるか。



「お前ら、耳を塞いどけ。“獅子の咆哮ルギド・デ・レオン”」



 ヴォォォォォォォ――


 吠える必要もなかったが、一応吠えてみた。

 様式美おやくそくは重要だからな。


 洞窟のみを目標に局所的に絞った衝撃波は、一直線に進み洞窟を一気に破壊した。



「さあ、終わったぞ。ルーナ、帰るか」

「うん、そうだね」



「「「…………」」」



 固まるなよ、置いていくぞ。

 あとグラシアは口閉じた方がいいぞ、美人が台無しだ。

 

 

「なんだ、これ。高位召喚魔ハイスペックとかの話じゃねえぞ!」


 じゃあ今度から、“超”高位召喚魔ウルトラハイスペックとでも呼んでもらおうか。


「こんなの見たことないわよ」


 見たことないと言われても、俺はさっき見たばかりで、それをパクっただけだが。

 

「……凄い」

 

 お、やっと喋ったか。


「もういいか、先に行くぞ」


 呆けている奴らを待ってられん。

 俺はルーナを乗せて、先に出発することにした。



「おいおい、置いていくなよ!」


 ザンバたちはようやく我に返って馬に跨り、俺のあとを追いかけてくるが、残念だが待ってやるほど俺は優しくない。


「ルーナ、飛ばすぞ!」



 ……また寝てやがる。

 俺は高速移動型ベビーカーじゃねえぞ!


タイトルは、冒険者たち ガンバと15ひきの仲間/斎藤惇夫 より拝借

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