異変
おかあさんおとうさん
げんきですか?
ぼくはすこしげんきがありません。
なぜならおおきくてつよいおともだちがみんなでぼくのいのちをねらっているからです。
「マスター、いい加減現実逃避はやめたらどうかしら?」
空きれい。
「事実は事実として受け止めなきゃ。あなたはこの世界のほぼ全てのプレイヤーに狙われている。OK?」
OKなはずがないだろうが。
「あー!!!そもそもなんで俺が指名手配みたいな真似されなきゃなんねぇんだよ!!!
Lv7だぞLv7!!ひよっこもいいとこだわ!!!あれで言ったらまだニビシティにすら行けてねぇわ!!!
もうやだー、うぅぅ……」
「マスター感情の起伏が豊かね」
ナツさんそれ煽ってるようにしか聞こえないよ……
「幸いにもクエストの中でマスターの名前は出ていなかったし、きっと他のプレイヤーもまさかLv7が黒スキルを持ってるだなんて考えないはずだわ。
だから、自分からスキルを使うような真似をしない限りはバレないと思うの」
「要はそれスキル使うなってことだよね?」
「端的に言うとそうなるわね」
へー新手の縛りプレイじゃん♪
「じゃねぇわ!!!」
「まぁ絶対に使うなとは言わないわ、死んだら元も子もないんだから。本当にピンチの時には使ってもいいからね。もしそれで見られたらそいつをkillしちゃえばいいのよ♪」
うちのナビ過激派すぎるだろ。
「確かに時間制限あるみたいだったし、使いどころは自然に窮地の時になりそうだけどさ。
とりあえずあんま見たくないけど、現状把握しとかなきゃいけないからステと装備画面出してくれる?」
「やっとやる気出してくれたのね。了解マスター」
口の端を歪ませてそれに答える。
Lv 7
職業 旅人
HP 26
MP 18
SP 25
物攻 1
魔攻 1
物防 1
魔防:1
技術 1
素早さ 2
運 2
閃き 4
未振り分けPP 12
メインウェポン:一般兵の細剣
サブウェポン:
レンジカバーウェポン:木の棒
頭:
胴:旅人の服
腕:
手:
腰:
脚:皮のズボン
足:皮の靴
装飾品:
装備アビリティ なし
所持スキル
ファースト:鑑定
セカンド:火球
オールイン:隔世
いくぶん見れる感じになってないか?なってないよね。
でもいくつかが微妙に変化している気がする。
「ちなみに装備補正加えるとどんな感じ?」
Lv 7
職業 旅人
HP 26
MP 18
SP 25
物攻 4
魔攻 1
物防 6
魔防 2
技術 1
素早さ 3
運 2
閃き 4
「ナツさん、なんで運と閃きが少し上がってるの?」
「いいところに気がついたわね。
運と閃きは他のステと違って装備でほとんど上がらない分、戦闘の中や、普段の生活の中で成長したりすることがあるの。
マスターの閃きが上がったのは、戦闘力が低いのをある程度策でカバー出来たと評価されているからだと思うわ。運はおそらくシークレットクエストを達成した副産物じゃないかしら?」
「そっか、あとHPとMPの成長率が違うんだけどそれはどういうこと?」
「HPとMPは、それも戦い方や、就いている職業によって成長の度合いが変わってくるのよ。
マスターの場合、魔法よりも物理攻撃が多かったのもあってそうなってるんじゃないかしら?」
「へー、なんとなく分かったよ。
とりあえず戦ってLv上げて強くなれってことなんだね?」
「ずいぶん簡素な言い方だけど、そういうことになるわね。それはそうとマスター、PPの振り分けはどうするの?」
「うーん……『隔世』に頼らない戦い方をしなきゃいけないわけだよね?てことは、ある程度別のスキルも必要になってくるだろうし、だからといってステ上げも疎かにできない」
「そうね、ただ1番はマスターが楽しむことなんだから、あまり深く難しく考え過ぎるのもどうかと思うわ」
全プレイヤーに狙われるかもしれないのに楽しめるのもどうかと思うよ。
「そうだね。決まったら言うから、休んでていいよナツさん」
「了解マスター」
その後結局30分ほど悩んで俺のステはようやく決定した。
Lv 7(装備スキル補正込)
職業 旅人
HP 30
MP 18
SP 27
物攻 7
魔攻 1
物防 6
魔防 2
技術 1
素早さ 6
運 2
閃き 4
所持スキル
ファースト:鑑定
セカンド:物理攻撃アップLv1,素早さアップLv1,火球
オールイン:隔世
聞いてくれ。
まずスキル物理攻撃アップLv1と、素早さアップLv1をステの底上げのため、PP5ずつを使用して取得。よりにもよってなぜ敬遠されがちな素早さかというと、俺の紙のような物防、魔防ではたった一回の攻撃で死んでしまうこともある。そこで、回避を中心に攻撃を組み立てようじゃないかいう緻密な戦略を基に考えたのだ。決して他のプレイヤーに追われた時の保身ではない。
さらに残った2PPをHPとSPにまわし、盤石の布陣というわけだ。
「なんの面白みもないわね」
くっ!!このナビ人が気にしてるところを的確に抉ってきやがる……
「面白みっていうのは自らの強さにすら飽きた強者のための娯楽であ……
「じゃぁこれで登録しとくわね」
最近俺の扱いが酷くなった気がする。
「じゃぁ一段落ついたし、ログアウトして一息入れてからまた戻ってくるよ」
「了解。ママが恋しくなったのね?」
「ちげえよ!久しぶりに現実の空気が吸いたくなったんだよ!」
「はいはい、じゃぁいってらっしゃい」
ん?
「ナツさん、そういえばこれどうやってログアウトするの?」
「メニュー画面の右下に表示してあるでしょ?そこから出来るはずよ」
ちょっと待ってくれ。
そんなもの表示されてない。




