俺が世界で唯一のスキル持ちだなんて言えない
プロットもなく、見切り発車で始まったこの物語が曲がりなりにも続いてるのは、皆様のおかげだと思っています。
せめて面白さで還元できるように精進します。
目が覚めると、鳥のさえずりが聞こえた。
マズい!!!!!!
急いで起き上がると、寝癖を撫でつけながら1階に下りる。
「おはようございます。トータさん」
エリスの爽やかな笑顔が罪悪感を掻き立てる。
「本当ごめん!昨日そのまま寝ちゃって……」
「全然大丈夫ですよ。一応部屋には行ったんですけど、熟睡されてたので起こすのも申し訳ないかなぁって。父も寝かしといてやれって言っていましたし」
「そうだ!ブロンコさんは?」
「今日は休みをとったみたいで、今花に水をあげてるはずですよ。もうそろそろ戻ってくると思いますが……」
「その……フェリシュは……
入口のドアが豪快に開く音がした。
鼻歌交じりにブロンコさんが入ってくる。
「おおぉぉぉ!!トータ!!!!お前俺に黙って粋なことしてくれたじゃねぇか!!!」
こいつ!こいつ!と、ブロンコさんは俺の髪をくしゃくしゃにする。
「父が帰ってきてから色々話しました。今までのこと。今自分達が思っていること。それから将来のこと。最初はお互いの意見がすれ違ってしまって話し合いになりませんでした。でも、フェリシュを見せたら父が別人のように泣……
「あーうるせぇうるせぇ!!誰だって触れられたらまずい部分ってのがあるんだよ!なぁトータ!」
バシバシと肩を叩く力が無駄に強くて咳き込む。
「でもお前らには感謝してるんだぜ。
どっかで俺はあいつの死を受け止めきれていなかったのかもしれん。
見ないようにしていたっていうほうが正しいかな。
エリスが必死に乗り越えようとしているのに、俺は忙しさを言い訳にして逃げてたんだ。情けねぇよな、父親なのに」
「ブロンコさん。たった2日だけど、あなた達に会えて、いっぱいいろんなことを話して、俺本当に楽しかったんです。
何も知らない自分が口出しちゃいけないかもしれないけど、きっと天国のお母さんだって落ち込んでる2人より笑ってる2人のほうが好きに決まってます。
だから……もう2度とお互いがお互いを悲しませるような無益なことはやめてください。
楽しいのが1番です!!!」
あれ、変なこと言ったかな?
「がはははは!鼻垂れ小僧が一丁前に語りやがる!」
「ふふふ、トータさんありがとうございました。カッコよかったですよ?」
俺とブロンコさんが顔を見合わせる。
「おめぇ!俺の大事な1人娘になにしてくれてんだ!!!」
「なんもしてないですよ!!!」
膝枕なんて言ったら間違いなく殺される。
でも、この空間がなにより心地よかった。
やっぱり俺はこの2人が大好きだ。
その後エリスが作ってくれた朝食を皆で囲み、出発の時が来た。
「トータさん、昨日の夕飯はお弁当にしておきました。よかったら旅の途中で食べてください」
なんて出来た子なんだろうか。
「ありがとう、大事に食べさせてもらうよ」
「おめぇこの後どこ行くつもりだ?この辺りだと、マルスタットが1番大きい街だと思うが」
マルスタット?
「マスター、始まりの街よ」
始まりの街ってことは、もしかしたら他のプレイヤーはそこがスタート地点なんだろうか?
「とりあえず色々情報とかも仕入れたいし、まずはマルスタットに行こうか!」
「おう、それがええ!それとトータよ、これはお前が決めることだが、よかったら俺の武器や防具を持っていかんか?」
正直今後を考えると、ここで装備が整えられるのはでかい。
ステが低いのをある程度カバー出来るのは大きな強みだ。
「ありがとうございます。
とても魅力的ですが、俺はこの服や靴を頂けただけで十分満足です。元々が裸同然でしたから、これでも出来過ぎなくらいです」
「そうか、なんとなくお前ならそう言うと思っとったがな。
まぁやると決めた以上、世界一の男になってまた飯でも食おうや!!」
「ちょっとお父さん言い過ぎ!」
皆で笑った。
「じゃあ俺行きます!!」
見上げた空は何処までも高くて青い。
きっとなんだって出来る、そんな気さえした。
ピピッ
緊急クエスト発生
対象:全プレイヤー
【黒スキル持ちを討伐せよ】




