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WORLD BREAKER  作者: 香月 悠生
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共に戦いし者

目の前にマシュマロがある。



そしてなぜか今俺はそれに顔を埋めている。

別に意識してやってるわけではないが、埋めている。


俺は酷く腹が減っていた。



ぱくっ



「ひゃうっっ!!!!!!」



ごすんと頭に鈍い衝撃が走る。


な、なにごとだ!!

バロンがまだ生きているのか!?

油断している隙を狙うとは卑怯な!

くそっ!態勢を立て直せ!



顔を上げると、頬を赤らめたエリスと目が合った。



「エリス!敵襲だ!!あいつら寝込みを襲ってきやがった!!!」


俺は周囲に目を配る。

エリスは目を逸らす。


おいなにやってる!

逃げないと死ぬぞ!




「マスター最低」



耳元でナツさんの蔑んだ声が聞こえた。







「で?夢の中でエリスの太ももをマシュマロと勘違いして噛みついたと。

エリスの善意につけ込んで破廉恥なことをするなんて。マスター見損なったわ」


意識がなかったのに役損過ぎるだろ俺。


「まぁわたしが進んでしたことですから……トータさんもあまり気になさらないでくださいね?」



「まぁエリスがそう言うなら仕方ないわね。バロンも倒したし、今回は大目にみてあげるわ」


大目にみるのはお前じゃない。


「それはそうと見てください!」


エリスは見覚えのある白い花を差し出した。


これはもしかして……


「フェリシュ?」


はい!とエリスは微笑む。


「おぉぉぉぉ!!!!やったじゃんか!!!!!」


「はい♪トータさんのおかげです」


「いやいや皆で頑張ったおかげだって!あとは……」


エリスはこくりと頷く。


「わたしが父に気持ちを伝えます。きっと……また以前のように……」


「大丈夫だって!ブロンコさんは必ずエリスの言葉を真正面から受け止めてくれる。それがどんな結果になったとしても、今回エリスがやろうとしたことはなに一つ間違っちゃいないよ」


「さっきまでニヤニヤしながら膝枕されていた人の言葉とは思えないわね」


「うるさい」


皆笑った。

さっきまでの緊張感が嘘のようだった。


俺は仰向けに寝転ぶ。

空は茜色に染まっていた。



「そういえばさ、バロンを倒した時ってどんな感じだったの?俺意識は最後までなんとか保ってたんだけど、いまいち自分がなにをしたのか分かんないんだよね」



しばしの沈黙の後、エリスが切り出す。


「なにが起こったのか、わたしには全く分かりませんでした。突然トータさんの姿が変わってしまって……」



「変わったって……どういうこと?」


「まるで誰かがトータさんに乗り移ったような感じでした。それと同時にトータさんの目が蒼くなって……歯が鋭くなったんです」


待て待て待て、化け物かよ俺は。


「ふふ、それに翼も生えていたわね。ここからは私が話すわ」


ナツさんが落ち着いた声で話し出す。


「マスターのスキル『隔世』は、当初あまりにも謎が多すぎた。そりゃそうよね、前例がないんだもの。私は周りの仲間にもそれとなく訊いてまわったけど、これといって有益な情報は得られなかった。

でも最初に『隔世』が発動した時、マスターは声を聞いたって言ってたわね?」


俺は黙って頷く。


「それで私は、『隔世』が何者かを召喚するか、もしくは何者かがマスターに憑依するスキルだと仮説をたてた。でも、何者かを召喚するスキルなら、互換性のあるスキルがこの世界にいくつか存在するのよ」


それじゃあ……


「ええ、断言は出来ないけど、後者の可能性が高いと私は思っていたわ。そして今回の発動。マスターが意識を保っていたおかげでその一部始終を私は見ることが出来た」


「じゃあ一体誰が……」







吸血鬼ヴァンパイア



それがマスターと共に戦った者の名よ」



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