実力発揮!
読んでくださっている方々、評価してくださった方々いつもありがとうございます。精進します。
村の有志が立てたのであろう比較的新しい看板に、インパクトのある大きさで「この先モンスター出没注意」と記されている。
ただそれを見なくても、入口からすでに鬱々とした空気が漂っていて、時折モンスターの遠吠えらしきものが聞こえてくる。
「いよいよですね」
気丈な言葉とは裏腹に、エリスは小さく震えていた。
「大丈夫!いざとなったら俺のこのサウザンドミレニアムゴッドブレードが火を吹くから」
さっき拾ったただの木の棒をぷらぷらさせながら、俺はあえて真剣な表情をしてみせた。
少し緊張がほぐれたのか、エリスはふふっと笑う。
「それじゃあ行こうか!必ずブロンコさんのためにフェリシュを採って帰ろう!」
アルムの森に入ると、入口で感じた嫌な空気が鋭さを増した。
風が吹くたびに揺れて擦れる樹々の葉が、陽の光を受けて煌めき、魔物がいるのに幻想的な雰囲気すら感じる。
「フェリシュは1番奥にしか咲いていませんが、アルムの森はそこまで広くないので、だいたい30分も歩けば着くと思います」
「そっか、じゃぁそこまで案内してもらえる?」
「任せてください。小さい頃からよく遊んでいたので、ここは庭みたいなものですから」
「ありがとう。ナツさん、アルムの森に棲息するモンスターって調べられる?」
「もう調べてあるわ。表示するわね」
目の前に図鑑のような分厚い書物が表示されて、ページがパラララと高速でめくられ、何ページかがピックアップされる。
【リトルゴブリン】
属性:無
ランク:G
詳細のコマンドは暗くなっている。画像もないのが残念だが、おそらく一度でも戦わないと選択出来ないのだろう。
まだいるようなので、指でスライドさせていく。
【吸血コウモリ】
属性:闇
ランク:F
【フォレストウルフ】
属性:木
ランク:F
【ミニトロール】
属性:無
ランク:E
全部で4体か……注意すべきは、最もランクの高いミニトロールだろう。
名前の響き的に1番戦いたくないのは吸血コウモリだが。
全体的に最序盤にしてはモンスターのランクが高いような気もするが、このクエスト自体の推奨Lvが10以上だったのを思い出した。
ふとエリスを見ると、目をキラキラさせてウィンドウを覗き込んでいる。
「すごいです!トータさんのナビさんはすごく頭がいいんですね!」
「あなたに褒められても嬉しくないわ」
一瞬場が凍りついたが、近くの木陰から漏れたモンスターの唸り声が空気を一変させる。
現れたのは、狼らしきモンスター1体だった。間違いなくフォレストウルフだろう。
下手に戦いを長引かせて仲間を呼ばれると厄介だ。
ここはこちらから仕掛け……
フォレストウルフはいきなりエリスに飛びかかった!
まずい!!!!!!
しかしエリスは落ち着いて飛びかかったフォレストウルフをいなす。
さらに反転し腰のナイフを素早く抜くと、砂埃を舞い上げて斬りかかる。
フォレストウルフは一瞬断末魔の声をあげたあと、すぐに絶命した。
エリスの少し乱れた息遣いだけが辺りに響く。
なんだ今のは……目の前で起こった一連の流れがまだ頭で処理しきれない。
「怖かったぁ……」
エリスはへなへなとその場にへたり込んだ。
申し訳ないが、俺のほうが数倍怖かった自信がある。
そんなことより……
「なんでそんなに強いの?」
「全然強くなんかないです。小さい頃父に少しだけ武術を教えてもらっただけです」
そっか!それで強くないなら俺はゴミ以下だね!
ていうか格好だけじゃなくて実力でも女の子に負けてるなんて情けなさすぎる。
自分のほうがエリスのお荷物になりそうな気しかしない。
「マスター、今の戦闘でLvがあがったわ」
女の子にモンスターを倒してもらってLvアップするっていうのは一体なんの罰ゲームなんだろう。
「あの……Lvアップキャンセルとか……
「ないわ」
「ですよね」




