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WORLD BREAKER  作者: 香月 悠生
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アルムの森へ




エリスは俺が思っていた以上にきちんとした動きやすい格好だった。

腰には小型のナイフらしきものまで装備している。


「あんまり見ないでください。恥ずかしいです……」


可愛い子は何をしても可愛いというのは本当なんだと初めて実感した。


「ごめん、思ってた以上に気合入ってるなぁって見入っちゃった」


「へへ、お荷物にならないよう頑張ります。トータさんはゆっくり準備してきてください。わたし外で待っていますので」


「えっと……もう俺準備終わってるんだけど」


エリスの顔がみるみるうちに赤くなる。


「ごごごごごめんなさい!わたしそうとは知らずに、つい失礼なことを!」


「いや、いいんだよ。大丈夫。そりゃそうだよ、こんなちょっとコンビニ行ってくるわ的な格好でモンスターと戦うなんておかしいって、自分でも思ってるから」


「全然おかしくなんかないです!

わたしちょっと父の倉庫に行って使えそうな武器をとってきます。トータさんは外で待っててください。」


「あ、ありがとう」


なにからなにまで情けないが、絶対に失敗出来ない以上、ここは恥を捨てて、使えるものは使っておいたほうがいいだろう。


玄関の扉を開くと、強い陽射しが目に飛び込んできた。

ずっと室内にいたせいか、余計眩しく感じる。

目が慣れてくると、ここがどこかの村だということがわかった。

そこまで大きい村ではなさそうだが、活気ある人々の声があちこちから聞こえてくる。


普通のゲームならなんでもない風景なのに、VRの世界だとすごく新鮮に感じる。

スタート地点が人気ひとけもなんにもない荒野だったから、尚更そう思うのかもしれないけど。


エリスが小走りで駆け寄ってくる。あまり冴えない表情だったので、結果はなんとなく予想出来た。


「ごめんなさい。鍵がかかっていました。

鍵の場所、わたし分からないんです。父に訊くわけにはいかないし……どうしよう……」


「しょうがないよ、エリスのせいじゃない。あればラッキー、なくて普通って思わなきゃ。ほら、日が高くなる前に出発しよう?」


「はい……お役に立てなくて申し訳ないです。その分頑張ってトータさんをサポートしますね!」


「ありがとう。格好だけみれば俺がサポートする側にしか見えないのがちょっと残念だけどね」


「ふふ、大丈夫!トータさんならきっとかっこよく悪いモンスターを倒してくれます。根拠はないけどわたしが保証します!」


そう言ってエリスはいたずらっぽく笑った。


「エリスが言うなら間違いないね」


つられて俺も笑う。


「フェリシュが咲いているアルムの森は、ここから南西に2kmほどの場所にあります。道中はそこまで活発なモンスターはおらず、苦労せず進めると思います。」


「問題はアルムの森か」


「はい。村に入ってきた情報では、モンスターの凶暴化は最奥にいる1体のモンスターが原因と言われています」


まぁいわゆるボスだろう。


「分かった。要はそいつを倒せばいいんだね?」


「多分そうだと思います。あ、でももし危なくなったらすぐに逃げてくださいね。トータさんの命が1番大事ですから」


俺は黙って頷いた。

もちろん建前でしかない。

なんとなく俺の戦闘はやるかやられるか、カッコつけて言えばDead or Aliveなような気がする。まぁステの関係上それが当たり前といえば当たり前だが。



エリスの言った通り、道中は攻撃的アクティブモンスターは全く出現しなかった。

少しLvを上げておきたかったが、いかんせんエリスの前で無抵抗なスライムっぽいやつや、かわいい瞳のうさぎみたいな無害なモンスターは倒せない。


そうこうしているうちに(エリスと会話を楽しんでいるうちに)、樹々が鬱蒼と生い茂る『アルムの森』が見えてきた。


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