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第二十九章:鋼鉄の到来

栃木県。地方都市の公民館。衛藤慎一郎総務大臣の遊説会場だった。


衛藤は、演説を終えて控室に戻っていた。


「大臣、お疲れ様でした」


秘書が、お茶を差し出した。


「ああ」


衛藤が受け取る。


その時――


SPの一人が、慌てて入ってきた。


「大臣!」


「どうした?」


衛藤が眉をひそめた。


「この近くに、エイリアンが現れたとの情報が入りました」


SPが報告した。


「エイリアン?」


衛藤の顔が、僅かに強張った。


「はい。約五キロ先です。こちらに向かっている可能性があります」


SPが続けた。


「すぐに避難を」


秘書が進言した。


「近くに陸上自衛隊の駐屯地があります。そこに避難すれば、自衛隊が守ってくれます」


「自衛隊?」


衛藤の顔が、歪んだ。


「馬鹿を言うな!」


衛藤が声を荒げた。


「自衛隊に戦争でもさせる気か!」


「しかし、大臣――」


「国内で自衛隊が武器を使用すれば、批判が起きる」


衛藤が遮った。


「野党が、ここぞとばかりに攻撃してくるぞ」


衛藤が立ち上がった。


「東京に戻る。すぐに空港に向かうぞ」


「了解しました」


SPたちが動き出した。衛藤は、控室を出た。廊下には、警護のSPたちが並んでいる。


「車を回せ」


衛藤が指示を出した。


数分後――


黒塗りの車列が、公民館を出発した。先頭と最後尾に警護車両。中央に、衛藤大臣を乗せた車。合計三台の車列。


高速道路を使えば、空港まで三十分ほどだ。


車内で、衛藤は腕を組んでいた。


「エイリアンか……」


衛藤が呟いた。


「まさか、本当に私を狙っているのか?」


秘書が、前の座席から振り返った。


「大臣、警視庁から警告がありました。大臣が次のターゲットになる可能性があると」


「分かっている」


衛藤が苛立った声で言った。


「だが、私には警護がついている。それに、p2hmもある」


衛藤が窓の外を見た。


「あの巨大ロボットがあれば、エイリアンなど――」


その時。


前方の警護車両が、突然横転した。


ガシャン!


激しい衝撃音。車が道路に横倒しになる。


「何だ!」


衛藤が叫んだ。


運転手が急ブレーキをかけた。衛藤の車が、停止する。


「大臣、伏せてください!」


SPが叫んだ。


その瞬間――


何かが、衛藤の車の上を飛び越えていった。


巨大な影。


そして――


後方の警護車両も、攻撃を受けた。


ドォン!


車が吹き飛ばされる。


「くそっ、エイリアンだ!」


SPが拳銃を構えた。衛藤は、窓から外を見た。


そこには――


異形の姿があった。PASの装甲を纏った、エイリアン。華田凛と榎本大輝が融合した、最強の個体。機械と生物が一体化した、悪夢のような姿。


「ギャアアアアアアアアッ!」


エイリアンの咆哮が、響いた。


前方の警護車両から、SPたちが降りてきた。全員が、自動小銃を構えている。


「撃て!」


一斉に、銃声が響いた。


弾丸が、エイリアンに命中する。


だが――


PASの装甲が、弾丸を弾いている。効かない。


「くそっ!」


SPたちが、連射を続ける。だが、エイリアンは平然と歩いてくる。


そして――


一人のSPに飛びかかった。


「うわあああっ!」


SPの叫び声。


エイリアンの腕が、SPを薙ぎ払った。


体が、宙を舞う。


地面に叩きつけられ、動かなくなる。


「撤退しろ!」


別のSPが叫んだ。


だが、エイリアンは容赦しなかった。次々と、SPたちを攻撃していく。数分で、前方の警護車両のSPたちは全滅した。


後方の警護車両も、同様だった。


そして――


エイリアンが、衛藤の車に向かってきた。


「大臣、逃げてください!」


運転手が叫んだ。


エンジンをかけ直そうとする。


だが――


エイリアンの腕が、車のボンネットを掴んだ。


そして――


持ち上げた。


「うわああああっ!」


車内で、衛藤が叫んだ。


車が、傾く。


エイリアンが、車を投げ飛ばした。


ガシャン!


車が横転する。


窓ガラスが割れ、破片が飛び散る。衛藤は、シートベルトに吊るされた状態で、頭から血を流していた。


「う……うう……」


衛藤が呻いた。運転手と秘書も、怪我を負っている。車のドアが、外から引きちぎられた。エイリアンが、中を覗き込んでいる。


「ひっ……」


衛藤が、恐怖に震えた。


エイリアンの腕が、衛藤に伸びてくる。


もう、終わりだ。


衛藤は、目を閉じた。


その時――


轟音が響いた。


ドォン!ドォン!


大口径の銃声。


エイリアンの体が、衝撃で揺れた。エイリアンが、振り返った。


そこには――


二機の巨大なロボットが立っていた。p2hm、1号機と2号機。爆発反応装甲を纏った、鋼鉄の戦士たち。


「衛藤大臣、無事か!」


1号機の外部スピーカーから、桃源の声が響いた。


衛藤は、呆然とp2hmを見上げた。


「た、助かった……」


衛藤が呟いた。


p2hmが――


間に合った。


「真田たち、大臣を回収しろ!」


桃源の声が響いた。


機動隊バスから、真秀、花山、夢見が飛び出してきた。


「大臣、こちらへ!」


真秀が衛藤に手を伸ばした。衛藤は、真秀の手を掴んだ。車から引っ張り出される。


「運転手と秘書も!」


花山と夢見が、二人を助け出した。


「急いでバスに!」


真秀たちは、三人を機動隊バスに運んだ。バスの中には、簡易的な医療設備がある。


「応急処置をします」


バスに待機していた救急隊員が、三人の治療を始めた。


真秀は、バスの外に出た。


そこでは――


p2hm二機とエイリアンの戦いが、始まろうとしていた。


「桃源、巽」


真秀が無線で呼びかけた。


「ああ」


桃源の声。


「準備はいいか?」


「いつでも」


巽の声。


エイリアンが、咆哮した。


「ギャアアアアアアアアッ!」


そして――


p2hmに向かって、走り出した。


最後の戦いが――


始まった。

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