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第十六章:地下の悪夢

同じ夜。


廃工場の周辺。三台の車が、静かに停車していた。


真秀は、車から降りた。花山と夢見も、後に続く。


三人とも、防弾ベストを着用し、自動小銃を携えている。


「ここが、最後か」


真秀が、廃工場を見上げた。


錆びた外壁。割れた窓ガラス。何年も使われていない様子だ。


「係長、本当にここなんですかね」


夢見が、不安そうに言った。


「どう見ても、人が住んでる感じじゃないですけど」


「分からない。でも、ここしか残ってない」


真秀が答えた。


一週間前。


警視庁本部。


弓山美怜が、防犯カメラの解析結果を報告していた。


「係長、芹沢幸次郎の足取りが追えました!」


弓山が、モニターに映像を映し出した。


「この工場地帯に入っていくのが確認できます」


画面には、痩せた男性の姿が映っている。


芹沢幸次郎だ。


「その後は?」


真秀が尋ねた。


「それが……」


弓山が眉をひそめた。


「この工場地帯、防犯カメラがほとんどないんです。芹沢がどの建物に入ったのか、特定できません」


真秀は、地図を見た。工場地帯には、十数件の建物がある。


「一件ずつ、確認するしかないわね」


真秀が決断した。


そして現在。


真秀たちは、一週間かけて工場地帯を捜査してきた。一件ずつ、不審な点がないか確認する。だが、どの工場も、ただの廃墟だった。


そして――


最後に残ったのが、この廃工場だ。


「さあ、行くぞ」


真秀が、工場の入口に向かった。花山と夢見が、左右を警戒しながらついてくる。


少し離れた場所には、トレーラーが停まっている。


その荷台には――


p2hmが、格納されていた。


桃源信之は、p2hmのコックピットに座っていた。無線で、真秀たちの声を聞いている。


「桃源、聞こえる?」


真秀の声が、スピーカーから響いた。


「ああ、聞こえてる」


桃源が答えた。


「これから突入する。もしエイリアンが現れたら、すぐに来て」


「了解。いつでも動ける」


桃源は、コントロールパネルを確認した。p2hmのシステムは、起動状態だ。いつでも、出動できる。


真秀たちは、工場の入口に立っていた。


錆びた鉄の扉。真秀が、そっと開けた。


キィィィ……


軋む音が、静寂を破った。三人が、工場内に入る。自動小銃を構え、周囲を警戒する。


工場の一階。


広い空間が広がっている。


かつては、何か製造していたのだろう。古い機械が、あちこちに放置されている。


だが――


「誰もいない……?」


夢見が呟いた。確かに、人の気配がない。真秀も、拍子抜けした。ここも、ただの廃墟なのか。


だが――


その時、真秀は気づいた。


音。


微かな、音。


「静かに」


真秀が、二人を制した。


耳を澄ます。


機械音。


モーター?


いや、違う、何か、別の音。


「地下……」


真秀が呟いた。


「地下から、聞こえる」


花山と夢見も、耳を澄ました。確かに、足元から音がする。真秀は、周囲を見回した。


そして――


工場の奥に、階段を見つけた。


地下に続く、階段。


「あそこよ」


真秀が指差した。


三人は、階段に向かった。自動小銃を構え、慎重に進む。


階段の入口。


暗い。


真秀が、懐中電灯をつけた。光が、階段を照らす。


「警戒を怠るな」


真秀が、一歩を踏み出した。


その瞬間――


ドォォォン!


爆発音が、地下から響いた。工場全体が、揺れた。


「何っ!」


真秀たちが、身構える。


そして――


階段の奥から、何かが飛び出してきた。猛烈なスピードで。


真秀は、それを見た。


異形の姿。


人間のような、だが人間ではない。細身の体躯。長い腕。大きな頭部。


そして――


その顔は、華田凛だった。いや、かつて華田凛だったもの。


エイリアンと化した、華田。


「わあああああっ!」


夢見が叫んだ。


エイリアンが、階段を駆け上がってくる。


真秀が、自動小銃を構えた。


「撃て!」


三人が、一斉に発砲した。銃声が、工場に響き渡り、弾丸が、エイリアンに命中する。


だが――


エイリアンは、止まらない。傷ついても、すぐに再生する。


そして、一階に飛び出した。


エイリアンが、咆哮した。


「ギャアアアアアアッ!」


その叫び声が、夜の闇に響いた。


トレーラーの中。


桃源が、その声を聞いた。


「来たか!」


桃源が、コントロールスティックを握った。p2hmが、トレーラーから飛び出す。重い足音を響かせながら、廃工場に向かって走る。


工場の壁を、p2hmが破壊して突入した。コンクリートの壁が、崩れ落ちる。p2hmが、工場内に姿を現した。


「真田、下がれ!」


桃源の声が、外部スピーカーから響いた。


真秀たちが、後退する。エイリアンが、p2hmを見た。


そして――


再び、咆哮した。


p2hmが、エイリアンに向かって拳を振り上げた。エイリアンも、p2hmに飛びかかった。二つの巨体が、激突し、p2hmの腕と、エイリアンの腕が組み合った。


力と力の、ぶつかり合い。


戦いが、始まった。

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