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第十四章:復讐の連鎖

深夜。


都内の高級病院。VIP専用の個室に、榎本大輝が入院していた。


広い部屋。最新の医療機器が並び、大きな窓からは夜景が見える。


榎本は、ベッドに横たわっていた。点滴が腕に繋がれている。


あの夜から、三日が経っていた。


華田凛が、目の前で殺された夜。


自分が、見捨てた夜。


榎本は、天井を見つめていた。


眠れない。


目を閉じると、華田の叫び声が聞こえる。


「大輝!置いていかないで!」


榎本は、目を固く閉じた。


ごめん、凛。


ごめん。


だが、後悔しても、もう遅い。


その時――


窓を叩く音がした。


コン、コン。


榎本が、窓の方を見た。


そこには――人影があった。


女性の影。


榎本の目が、見開かれた。窓に、顔が映っている。


華田凛の、顔。


「りん……?」


榎本が、か細い声で呟いた。


華田が、微笑んでいる。


その笑顔は、生前と変わらない。


優しく、美しい。


「大輝……」


華田の声が、ガラス越しに聞こえた。


「会いたかった……」


榎本は、ベッドから起き上がろうとした。だが、体が動かない。薬の影響で、体が重い。


華田が、窓を開けた。


スルリと、部屋の中に入ってくる。その動きは、まるで猫のように滑らかだった。


「凛……本当に、凛なのか……?」


榎本の声が、震えた。


華田が、ベッドに近づいてくる。白いドレスを着ている。髪は長く、風になびいている。


だが――


何かが、おかしい。


その目。


暗い。


感情が、ない。


「大輝……」


華田が、榎本の手を取った。その手は、冷たかった。


「愛してる……」


華田が、榎本に顔を近づける。


「ずっと、愛してる……」


榎本は、涙を流した。


「ごめん、凛。俺、お前を見捨てた。許してくれ……」


「いいの……」


華田が、微笑んだ。


「許すわ……だって、愛してるから……」


華田の唇が、榎本の額に触れた。


そして――


華田の口が、裂けた。まるで蛇のように、顎が外れ、口が大きく開いた。


その中には、無数の鋭い牙が並んでいる。


「あ……あ……」


榎本が、恐怖で声を失った。


華田の顔が、崩れていく。人間の皮膚が剥がれ、その下から異形の姿が現れる。


「凛……お前、誰なんだ……」


榎本の叫びが、部屋に響いた。


だが、もう遅い。


エイリアンと化した華田が、榎本に襲いかかった。


その牙が――


榎本の股間に、食い込んだ。


「ぎゃああああああああっ!」


榎本の絶叫が、病院中に響いた。血が、シーツを真っ赤に染める。


エイリアンが、引きちぎった。


榎本の生殖器が、失われた。


「助けて、助けてくれ――」


榎本の叫び。


廊下で待機していたボディガードたちが、ドアを蹴破った。


「何事だ!」


三人のボディガードが、部屋に飛び込んでくる。エイリアンが、振り返った。


血塗れの口。


獣のような目。


「撃て!」


ボディガードたちが、拳銃を発砲した。だが、エイリアンは素早かった。


窓に飛びつき、そのまま外へ。十階の高さから、飛び降りた。


ボディガードたちが、窓から外を見る。


だが、エイリアンの姿は、もう闇に消えていた。


「救急を呼べ!」


一人のボディガードが叫んだ。


榎本は、ベッドで痙攣していた。意識は、ある。だが、下半身からの激痛が、全身を襲っている。


「凛……凛……」


榎本が、うわ言のように呟いた。


医師たちが駆けつけ、緊急処置が始まった。榎本大輝は、一命を取り留めた。


だが――


彼の生殖器は、永遠に失われた。


所変わって。


都内の廃工場。人気のない場所に、その施設はあった。


外壁は錆び、窓ガラスは割れている。


だが、その地下には――


最新の研究施設が広がっていた。


培養タンク。解析装置。手術台。


すべてが、芹沢幸次郎の研究のために用意されたものだ。


芹沢は、モニターを見つめていた。画面には、エイリアンのデータが表示されている。


第一世代。北条隆史。


第二世代。森田健太。


第三世代。榊原真。


第四世代。華田凛。


すべて、芹沢が作り出した生物兵器だった。


だが――


「まだ、足りない」


芹沢が呟いた。


「p2hmに対抗できない。頭部が弱点だ」


芹沢は、p2hmとエイリアンの戦闘映像を見ていた。頭部を引きちぎられ、活動を停止するエイリアン。


「頭部を強化するか……それとも……」


芹沢が考え込んでいると――


「それなら、私に良い考えがありますよ」


声が聞こえた。


芹沢が振り返る。


そこには、一人の男が立っていた。


芹沢の協力者。


パワードスーツ企業の技術者。


「あなたか」


芹沢が言った。


「どうした?」


男が、不敵に笑った。


「芹沢さん。あなたのエイリアンの弱点、私なら解決できます」


「どうやって?」


「簡単なことです」


男が、芹沢に近づいた。


「人間の機械技術と、あなたの生物を融合させればいい」


芹沢の目が、鋭くなった。


「融合……?」


男が、不敵に笑った。


その笑みには、何か恐ろしい計画が隠されているようだった。


芹沢も、その笑みに応えるように、口角を上げた。


二人の影が、研究施設の薄暗い照明の中で揺れていた。



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