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私のカタチ 2 彼女に関するすべてのことを  作者: tetsuya
第3章 いつか、この冬が終われば
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37/50

37 暴力

 私が冷静だったとは言えない。声もかけず、卑猥な動きをしている裸の尻をいきなり蹴りつけた。立ち上がる隙を与えず何度も蹴りを放ち踏みつける。手加減などしなかった。荒事の経験などないのだから手加減のしようなどないのだが、枕元にゴキブリを見つけてしまったときのような嫌悪感で我を忘れていた。赤いものが飛び散るのが見えて、はっとした。

 よく見れば、ほんの子供だ(どうでもいいことだが、二人とも男だった)。うずくまって丸くなって、「殺さないで」と悲鳴を上げている。

「おまえらは何だ。殺されるようなことをしたのか」

 がくがく震えるばかりでまともな答えが返ってこない。

「おまえらに興味があるわけじゃない」

 くるみの写真を見せた。

「この女を見たこと無いか」

 知らないらしい。

「いつからここを使ってる。お前ら以外に出入りしてる奴はいるのか」

 さっぱり要領を得ない少年たちの話をまとめると、彼らの属する学内のグループが代々使ってきた場所らしい。そう頻繁に利用しているわけではないが、グループ以外の者と出くわしたことはない、と。

 役に立ちそうもない少年たちを追い払った。

 バイクが遠ざかっていき、静かになった。自分の呼吸音以外聞こえなくなって、ようやく我に返った。

 私は獣のように息を荒げていた。

 アドレナリンの波が静かに退いていく。部屋に充満した悪臭に気づく。放棄された建物の腐臭と、オスどもの吐き出した体液の臭い。吐き気に襲われ、建物の外に駆け出した。

 しばらく、水辺の草の上でうずくまっていた。

 おまえ、何してんだよ。

 そんな独り言が口をついて出る。くるみに向けたつもりだったが、自分のことかもしれない。

 何してるんだっけ。

 くるみが何者かに連れ去られたとして、その何者かがここに来た可能性はある。警察は気づいているだろうか。また煙たがられるが、一言云っておいたほうがいい。科学捜査で何かが見つかる可能性はある。

 仮に犯人がここを通ったとして、そのあとどういう行動をとるだろう。まっすぐ港や空港へ向かわず、山中の廃墟を利用する理由はなんだろう。

 すぐに答えが見つかりそうになって、あわてて考えるのを止めた。だが、明白なことだ。

 警察は地面を掘り返した痕跡を探すことになるだろう。

 くるみの死体を見つけるために。


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