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私のカタチ 2 彼女に関するすべてのことを  作者: tetsuya
第2章 終わりの夏、夏の終わり
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28 それ、どんなプレイ?

 居場所を聞き出すや否や仕事を放り出し、エカシにろくに説明もしないまま軽トラで飛び出した。

 南下するにつれ雨がつのる。

 湿原から水が溢れ出し、かぼそい国道は飲み込まれていく。相変わらず路上には誰もいない。周囲も森か湿原か、人の気配を感じるといえば牧場ぐらいで、観光客なら「広大な北の台地! ステキ!」となるのだろうが、こんなときはただ寂しく恐ろしいだけだ。空は少しも明るくならないまま、ただ時間だけが過ぎていく。海に近づくにつれ、風雨はむしろ強まっていく。

 路上広告をいくつか通り過ぎた後に、レストランの看板が見えてきた。やたらに広い駐車場の奥に、何年も前に見捨てられたような廃墟があった。くるみのバイクが倒れているのが見える。持ち主の姿はなかった。

 赤錆びた看板が、空に飛び立とうというみたいに身もだえしていた。駐車場はすっかり水没して、周囲の湿原とつながってしまっている。くるみの携帯にコールしながら、その姿を探す。

 見つけた。

 雨も風も避けられていない、ただ危険なばかりの軒下に、薄いレインジャケットにショートパンツ姿のくるみが立ち尽くしている。顔面蒼白どころか、露出した肌は暗青色だ。 

 私も真っ青になったかもしれない。

 あわてて車を止めたら、くるみに盛大に水しぶきがかかった。声もかけずに車内に引っ張り込む。

「正気か? おまえ、いろいろめちゃくちゃだぞ。どうしたんだよ」

 呆れたことにくるみはクスクスと笑い出した。

「どうしてだと思う?」

 そう言って笑う。私には答えようがない。

 そんなことより、タオル、着替え、まっすぐ帰ると時間がかかりすぎる……どうしようか。

「とりあえず、脱げ」

「え、こんなとこで? それ、どんなプレイ?」

 くるみ、爆笑。

 笑っている場合ではない。くるみは冷蔵庫で一晩寝かせたみたいに冷え切っているのだ。まもなくガタガタと震えだした。私のジャケットを脱いで着せてやるが焼け石に水、見るからにヤバイ感じだがどうすることもできない。

 とにかく、K市市街に向かって急いだ。海が見えた。ビジネスホテルらしきものが視界に入ってくる。スパとサウナつき。コインランドリーも中にあるかもしれない。

 チェックインの時間には少し早かったらしいのだが、無理を言って空いている部屋に泊めてもらった。

 抱きかかえるようにして部屋に連れて行き、湯を張ったバスタブにほうりこむ。

 エカシに事の成り行きを伝えなければならないが、くるみのそばを離れたくない。はんぶん意識が飛んでいるらしいのだ。目を離すと溺れてしまいそうで怖かった。

 結局、風呂に入れている間つきっきりになってしまった。

 まっすぐ病院に駆け込んだほうがよかったかな。

 そんなことを思いながら、すみずみまで身体を拭いた。 

 素裸の上にガウンを着せて、ベッドに横たえたら、やがて寝息をたてはじめた。

 会ったらさんざん文句を言ってやるつもりだったのに、結局いいように振り回されてしまう。

 エカシに電話してざっと状況を説明した。エカシは思いのほか冷静で、うわずっていた私も少し落ち着きを取り戻した。

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