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婚約破棄されて前世の記憶を取り戻したので……美味しいお酒を造ります!  作者: しんこせい


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楽しみ方

あとがきに大切なお知らせがあります!

ぜひ最後までご覧になってください!


 飲んべえなバルボアには『スピリットラガー』を、真面目なエッカにはオレンジジュースを渡す。


 まずはバルボアがビールの上に焼酎をかける、ホッピーの外だけを足すようなスタイルで焼酎を飲む。


「くーっ! こいつはいい! ビールの炭酸の入った焼酎を飲んでる感じじゃ!」


 軽く焼酎を飲んでから、軽くステアしてビールに馴染ませてから飲んだ。


「こんなキツいビール、今までに飲んだことがない! これほど強くなるんなら、酒好きは皆喜ぶぞ!」


「既存のお酒に足していくスタイルもありね」


 既存のお酒の度数を上げるために使う。

 これは実は前世でもあった手法である。


 有名なのは酒精強化ワインと呼ばれる種類のワインだ。

 これは簡単に言えば、ブランデーを足すことで度数を上げたワインである。


 大航海時代、そのまま樽で運んでいては腐ってしまうワインをなんとかして腐らせぬようにできないかと、中に蒸留したブランデーを入れたことで誕生した。


 基本的に度数を上げると、お酒は保存がしやすくなる。


 ビールの場合は炭酸が入っているために長距離運搬には難があるが、ワインなどにこの焼酎を足して度数を高めればより遠距離へ運ぶことができるようになるのは間違いない。


 そして焼酎単体で運ぶのなら、更に話は簡単だ。

 今回は樽ではなく瓶単位での販売になるだろうが、一度しっかりと封をすれば蒸留酒は味が劣化することなく長期の保存が可能である。


 ビールのように揺らさぬよう気をつける必要もなければ、ワインのように温度管理が不適切にしてしまうことで中で望まぬ熟成が進んでしまうこともない。


(考えてもみなかったけど……蒸留酒ならうちの王国全土に留まらず、隣国にだって卸せるかもしれないわね)


 ビールの販売は樽の密閉に難があるために製造場所からある程度近い場所で済ませる必要があった。

 だがこの蒸留酒であれば、商いの範囲を王国全土に広げるのもさほど難しくないだろう。


 ただ飲みたいからと思い始めた蒸留酒事業は、思っていたよりもずっと可能性に満ちたものなのかもしれない。


 焼酎にオレンジジュースを注ぎ混ぜてから飲んだエッカは、目を見開かせながらオレンジジュースハイをジッと見つめていた。


「甘っ!? ……これはすごい発明ですよアナスタジア様。ジュースで割ればその味を損なうことなくそれをお酒にできてしまいます」


 エッカが言うとおり、甘さは蒸留酒のアルコール感を上手く消してくれる。


 前世でのカクテルなんかはまさにそれであり、シロップや果汁などを入れて作られたカクテルの中にはアルコールをほとんど感じなくなるものも多かった。


 でもしっかりお酒なので何杯も飲んでいると普通に酔う。


 加減がわからず飲み過ぎて、マスターに呼んでもらったタクシーで帰らざるを得なくなったのも、今では良い思い出……いや、普通に今でも黒歴史であった。


「蒸留酒はアルコール感をどうやって消すかがポイントだからね」


「そうか? これほど直に酒精を感じられる酒、わしならどれだけ高い値付けをされようと買おうと躍起になるがな」


「私もお酒好きだから気持ちはすごくわかるけど、やっぱり間口をいかにして広くするかが大切だから」


 要は需要と供給の問題だ。

 ある程度需要がなければそもそも商品として売れてくれない。


 今回は前回のように慣れ親しんだビールだからと手に取ってもらうことはできない。

 その需要を作るところから始める必要がある。


 アルコール感の強い酒は一部のマニアが好むだけだが、アルコール感が弱ければお酒が得意ではない、それほど飲まないという人達も手に取ってくれるようになる。


(マニア向けの商品を作るという戦略もあるけど……それは焼酎じゃなくてウイスキーでやればいいし)


 まずアナスタジアは焼酎を、蒸留酒という新たなお酒として市民権を得るために普及させるつもりであった。


 結果的に手に取ろうと思う人が増えるほど需要が増えるので、蒸留酒自体に高めの値付けも行いやすくなる。


 プレーンな味わいであり様々なものに割って楽しむことができる焼酎は、きっと皆に受け入れてもらえるはずだ。

 そしてそれを行うための土壌も、アナスタジアには既に用意できている。


「その辺りは馬グループの居酒屋で普及させていくつもりよ」


「おお、話に聞く居酒屋か! わしらドワーフ達も首を長くして開店を待っておるからからな!」


 貴族向けの『馬公爵』、大衆向けの『馬美人』、そして今度ニブルヘイムで開店予定の『馬美人』二号店。

 これらは全て『馬グループ』という形で一纏めにしてしまうことにした。


 『馬グループ』の居酒屋の流行りようと言ったらそれはすごいもので、現在貴族の社交パーティーでは居酒屋風メニューを出せることが一種のステータスとなっているほどらしい。


 既に流行を生み出していると言っても過言ではないこの『馬グループ』に、焼酎で新たな革命を起こす。

 それも楽しみではあるが……


「まずは皆で、焼酎の完成を祝いましょう! 私は次は緑茶ハイにしようかな」


「あ、そうしたら自分は水割りで」


「わしは今度はワインで割るぞ!」


 三人の飲み会はその後も続き、途中から参戦したドワーフ達によって酒盛りが更に進んでいき……次の日の朝まで飲み明かしてしまったアナスタジアは、ほうぼうからめちゃくちゃに叱られるのであった……。

新作の短編を書きました!

↓のリンクから読めますので、ぜひ応援よろしくお願いします!

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