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 それから,嶋は自分のメンバーたちに映画撮影に協力する旨を伝えた。すると、皆がビックリしていたが、「仕方ない。ここは一肌脱ごう」と湯川が言い、他の全員も賛同してくれたので、嶋はホッとした。

 早速、嶋たちはリビングへ行く。

「皆、聞いてくれ! ミステリー研の皆さんも、この撮影に協力してくれるそうだ!」

 伴がサークルのメンバーにそう話す。

「え、ホントかい?」

 小山内が驚いて言った。他の三人のメンバーもビックリしているようだった。

「ああ。なんと彼らにも配役を与えることにした。警察官二名と屋敷の使用人とメイドと、あと……」

「あと?」

「……夫婦の子どもといった具合だね」

「なるほど。それで、犯人は変わるのかな?」と、小山内が訊く。

「いいや、犯人はそのままだよ」と、伴は言った。

「分かった」と、小山内が頷く。

「それで、ええっと……」

 それから、嶋が口を開く。「その、今言った配役で、僕たち五人のうち誰が何のキャラを演じればいいのかな?」と、嶋は伴に訊いた。

「ああ、それは好きなキャラを演じてくれて貰って構わないよ。それはそちらで決めてもらってもいい?」と、伴が言う。

「分かりました。そしたらとりあえず、僕たち五人は自分のキャラクターを決めよう!」

 そう言って、嶋はメンバーたちと話し合う。

 話し合いをして、湯川と中森が警察官。嶋が使用人で、加賀谷がメイド。そして、夫婦の子どもを桜庭が演じることに決まった。

 伴にそれを伝えると、彼は「分かった」と頷く。それから、「桜庭さんは、環奈の役の「妹」という設定にしよう」と、彼は言った。

「はい!」と、桜庭は返事をする。

「妹ね~。桜庭ちゃん、よろしく~!」

 箕輪が桜庭に微笑んで言った。

「よろしくです」と、桜庭も箕輪に言う。

「ところで、もう台本はできてるの?」

 それから、大門がそう伴に訊いた。

「いや、まだだよ。これから追加キャラのセリフや行動などを書くよ。今日中に仕上げるつもり。撮影は明日以降になるかな……」と、伴は話す。

「オーケー。大人数の撮影って、なんかワクワクするな!」と、大門は嬉しそうに言う。

「ねー。ウチも楽しみ!」と、箕輪も笑顔で言った。

「私も」と、鷲尾が言う。

「僕たちはドキドキだね」

 嶋がメンバーたちに言った。

「うん」と、加賀谷が頷く。他のメンバーたちも頷いた。

「よし! そしたら、今から新しい台本を書くから、他の皆は自由に過ごしてください!」

 それから、伴が皆にそう言った。

「あ、伴さん。僕、手伝いますよ」

 嶋は伴を見て言った。

「え、いいのかい?」

 伴はビックリして言う。

「もちろんです。他に誰かお手伝いしてくれる方いませんか?」

 それから、嶋が一同を見回してそう訊く。

「あ、はい!」

 手を挙げたのは、脚本担当の箕輪であった。

「環奈……」と、伴が声を上げる。

「一人でやったら、また顰蹙(ひんしゅく)を買うかもしれないからね。脚本担当のウチが手伝ってあげる」と、箕輪が笑う。

「ありがとう。助かるよ」と、伴が彼女にお礼を言う。

「でも、ミステリーってあまり分からないわよ……」と、箕輪は言う。

 伴は首を振る。「平気」と、伴は言う。

「脚本がいるなら、安心ですね」

 嶋がそう言うと、皆が笑った。その方がこの作品を作るにしても、安心だろうと嶋は思った。

「もうすぐ三時か。ちょっと休憩したらやろうか」

 それから、伴が言った。箕輪と嶋は頷く。

「あ、皆さん、コーヒーでも淹れましょうか?」

 そう言ったのは、小山内だった。

「いいねー」と、伴は嬉しそうに言う。

 小山内は早速キッチンへ行き、やかんでお湯を沸かした。

「あ、私も手伝う」と、鷲尾が言ってソファから立ち上がり、キッチンへ向かう。

「カップ十個もあります?」

 湯川がキッチンにいる二人に聞こえるように言った。

 鷲尾はすぐに食器棚を開け、マグカップを数えた。

「形の違うものですけど、二種類のマグカップが五個ずつありますよ」と、彼女は言う。

「へー」

 それから、鷲尾はマグカップを十個取り出した。

「コーヒーはインスタントのですけど、いいですよね?」

 小山内は全部のカップにスプーン一杯の粉を入れながら言った。

「それしかないんだろう? だったら、訊く必要もないだろう?」と、大門が笑う。

「そうだね」と、小山内も笑う。

 大門はシャツのポケットからタバコを一本取り出し、それを口に(くわ)える。ズボンのポケットをまさぐりライターを見つけると、そのタバコに火を点けた。

「あ、ウチにも一本ちょうだい」

 それから、大門の隣に座っていた箕輪が彼にそう言った。

「はいよ」と、彼はタバコの箱を渡す。

「ありがとう」と言って、箕輪は箱からタバコを一本取る。彼女はそれを咥えるなり、すぐに大門がそのタバコに火を点けた。二人は煙を吐いた。

「ちょっと、ここで吸わないでよ!」

 タバコを吸っている二人に気付いた鷲尾が言う。

「そうだよ。吸うなら、外へ行ってきてくれ!」と、小山内も二人に注意をする。

「やだよ。外寒いもん……」と、大門が言う。

「そうだよ。ウチら凍死(とうし)しちゃうよ……」と、箕輪も同調する。

「俺は別に構わないけど、ミステリー研の皆さんがどう思うかだな」と、伴が言った。

「僕は平気ですよ」と、嶋が答える。

「俺も」と、中森が言った。

「あたしも」と、桜庭が言う。

「私はちょっと……嫌かな……」

 それから、加賀谷が申し訳なさそうに言った。

「ほら。お二人さん、外で吸ってきなさい」

 伴が大門たちを見て言った。

「はいはい」

 そう返事をして、大門は立ち上がる。それから、箕輪も立ち上がり、二人は玄関の方へ向かった。

「お待たせしました」

 鷲尾が黒色のトレーにコーヒーを載せて、ダイニングにやって来た。彼女はそこにいる嶋たち五人にコーヒーを配った。

「すみません。ありがとうございます」

 嶋は鷲尾にお礼を言う。

「いえいえ」

 そう言って、彼女は今度リビングへ行く。リビングの方では小山内が伴たち五人の分のコーヒーを配った。

「小山内、ありがとう」

 そう言って早速、伴はコーヒーを一口(すす)る。「はあ、うまい」

 それから、小山内や鷲尾もソファに座り、コーヒーを飲んだ。ダイニングにいる嶋たちもコーヒーを飲んで一息吐いた。

 しばらくして、大門と箕輪が外から戻って来た。

「外さみぃ~~」

 大門がシャツを手でこすりながらリビングへ入って来た。

「ウチも凍えそうだった」と、箕輪も言って後に続く。

 二人はリビングのストーブの前で温まる。それは大きな石油ストーブであった。そのストーブのおかげでリビングやダイニングは暖かく感じられた。

「コーヒーちょうだい」

 それから、大門が言ってソファに座る。箕輪もそこへ座った。

 小山内が立とうとして鷲尾が立ち上がり、彼を制した後、キッチンへ行く。彼女はやかんを再沸騰させ、インスタントコーヒーが入ったカップにお湯を注いだ。それから、彼女はカップを二つ持ってテーブルの二人の前に置いた。

「サンキュー」

「由姫、ありがとう」

 二人は彼女にお礼を言って、コーヒーを啜る。「はあ」と、二人は息を吐く。

「あったまるね」と、大門が言う。

「ね」と、箕輪が頷く。

「ねえ、これからオレらは何する?」

 それから、大門が皆にそう訊いた。

「うーん、どうしようかね……」

 小山内が考えるように言う。

「本来なら撮影の予定だったけど、撮影しないとなればそうだなあ……」

 鷲尾もそう言って考える。

「あ、早いけど、もうスーパーに買い出しに行く?」

 それから、小山内が思い出すように言った。

「早くね? でも、それ以外でやることなさそうだな。だったら、そうするか?」と、大門が皆に訊く。

「うん。私も賛成!」と、鷲尾が言った。

「よし! そしたら、僕たち三人は買い出しへ行こう!」

 小山内がまとめるように言った。

「あ、待てよ……」それから、小山内はあることを思い出す。「ミステリー研の人たちはどうするかな?」

「え? ああ……。ここでゆっくりしてもらえばいいんじゃない?」と、大門は言う。

「うん。そうなんだけど、もし一緒に買い出しに行くのなら、一緒の方がいいかなとか思うんだけど」

 小山内がそう言うと、「それなら聞いてみて、一緒に行くなら一緒に行けばいいんじゃない?」と、鷲尾が言う。

「そうだね」と、小山内は頷く。

「私、聞いてみるよ」

 それから、鷲尾がそう言った。

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