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「すみません!」
嶋は中に聞こえるように大声を出す。「部長さんはいらっしゃいますか?」
大声で呼ぶと、玄関の方へ一人の男がやって来た。先程の黒髪マッシュの男だった。
「はい? って、まだいたの?」
彼は眉間に皺を寄せる。
「あなたが部長さんですか?」と、嶋が彼に訊ねる。
「うん。部長の伴だけど」
「すみません、名乗り遅れましたミステリー研部長の嶋です。あの……一つお願いがあって」
「お願い?」
「はい。船が来る間、我々をここへ泊めて頂けないでしょうか?」
嶋が困った顔でそう話すと、「は?」と、伴は呆れた顔をした。
「なんで?」
「実は、泊まる場所が本当は利尻だったのですが、もう船もないみたいで……。色々とこの辺りの宿泊施設も探したのですけど、どこも満室みたいで……」
「はあ……」
「無理を承知でお願いできませんか? もちろん、皆さんの邪魔はしませんので……」
嶋がそう話すと、伴が口を開いた。
「分かった。一旦、皆にも確認するからちょっと待ってて」
伴はそう言って、奥の部屋へ行く。奥から「皆に話がある」という声が聞こえた。彼は皆に事情を説明する。しばらくして、伴が玄関へ戻って来た。
「皆、いいって」
それから、伴は笑顔でそう言った。
「ありがとうございます」
嶋がお礼を言う。
「やったー」
「良かった!」
などと皆がめいめいに言って喜んでいる。
「さあ、どうぞ」
そう言って、伴が五人をリビングまで案内する。
「お邪魔します」と言って、嶋たちはリビングへ入った。そこには演劇サークルのメンバーである大学生の男女が四人いた。
「こちらがミステリー研究会の皆さんだ」と、伴がメンバーたちに紹介する。
「突然のお邪魔で申し訳ないです。僕はミステリー研部長の嶋篤史です」と、嶋が自己紹介する。それから、加賀谷、中森、桜庭、湯川の四人も順番に自己紹介した。
その後、演劇サークルのメンバーが自己紹介する。
「伴純也。演劇サークルの部長です」と、伴が名乗る。
「僕は小山内充と言います。副部長で、カメラマンでもあります」
それから、黒髪短髪で黄色のニットに黒のズボンを穿いた男が、自分のカメラを見せながら言う。
「オレは大門亮太朗っす。俳優やってます」と、最初に玄関で出くわした茶髪のツーブロの男が話す。
「箕輪環奈でーす。演劇サークルの脚本を担当してまーす。よろしくね」と、彼女ははにかんで言った。茶髪のポニーテールで赤色のカーディガンを羽織り、黒のロングスカートを履いている。
「鷲尾由姫です。私も俳優です。よろしくおねがいします」と、黒髪ショートで青のセーターに白のズボンを穿いた女子が言ってぺこりと頭を下げた。
「よろしくお願いします」と、嶋が言った。
「とりあえず、自己紹介は終わったわけだけど、さてどうしよう?」
それから、伴がそう言う。
「どうしようって、伴。僕たちは映画を撮るんでしょ?」
小山内が伴にそう言った。
「ああ、もちろんそのつもりだが、ミステリー研の皆さんは何します?」
それから、伴が嶋たちに訊いた。
「僕らは……」
嶋はそう言いかけて黙る。まさかこのような展開になるとは思っていなかったので、特に何をするとか考えていなかった。まあ、合宿の目的は他にあるのだが……。
「とりあえず、俺たちが使っていい部屋があれば、そこを借りたいのですが……」
そう言ったのは、湯川だった。皆が彼を見る。
「そうだな……。そこのダイニングはどうだい?」
それから、伴はリビングの隣にある部屋を指して言う。
「ああ、そこでいいです。いいよね、部長?」
そう言って、湯川が嶋に訊ねる。
「あ、うん。そうだね」と、嶋は頷く。ダイニングに座ってなら作業はできそうだなと彼は思った。
「よし! それじゃあ、ミステリー研の皆さんはダイニングで。我々はこっちのリビングで撮影をしよう!」
伴はまとめるように言った。皆が頷いた。




