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「おいおい、どうするんだよ……」
それから、中森がそう言った。
嶋は考える。とりあえず、自分たちが本来行くべきはずのペンションの管理会社に連絡することにした。
プルルルル プルルルル ガチャリ。
「あ、もしもし」
嶋が電話をすると、
『お電話ありがとうございます。○○管理会社でございます。本年の営業は終了しております。来年一月三日より営業再開でございます――』
という女性の無機質な声のアナウンスが流れるだけだった。
「はあ、ダメだ。年末だから管理会社やってないみたいだ……」
嶋はため息交じりに皆にそう言った。
「え、そんなぁ……」
加賀谷が落胆して言う。
「それじゃあ、俺らどうするんだよ! せっかくここまで来たのに……」
中森が大げさに言う。
「どうって言われても……」と、嶋は呟く。
「どこか別の宿を探すしかないんじゃないの?」と、加賀谷が提案する。
「そうだね」と、嶋は頷く。
「でもさ」と、湯川が口を開く。皆が彼を見る。
「さっきの電話でもあるように、年末だからやってなかったり、受け入れるのが難しいってこともあるんじゃない?」
確かにと嶋は思った。
「とりあえず、調べてやっていそうなところに連絡してみるしかないよね」
加賀谷が言う。
「うん」と、嶋は頷く。
「けどさあ、とりあえず寒いから、今すぐにでも中入りたいよね……」
それから、桜庭がそう言った。
皆が頷いた。その後、全員がそのペンションに目をやった。
嶋がそのペンションの扉をノックした。
「はい」と中から男の声がして、先程の黒髪マッシュの男が出てきた。
「君たちか。どうしたんですか?」と、彼は訊いた。
「少しの間、中へ入らせてもらえませんか?」と、嶋は彼に言う。
「え?」
「外寒いんで……。この辺でいいんで」と、嶋は玄関を指す。
「うーん……。まあ、少しだけですよ」と、彼は頷いた。
「ありがとうございます」
嶋がそうお礼を言うと、他の四人も中へ入って来た。
「あの、すいません。トイレ借りてもいいですか?」と、中森が言った。「あたしも」と、桜庭も言う。
「どうぞ」と彼は言って、二人にトイレの場所を教える。その後、彼は奥へ行ってしまった。
「はあ、あったかい」
加賀谷が嬉しそうに言う。ペンションの中は暖房器具がついているようで暖かかった。
それから、嶋と加賀谷と湯川の三人はスマホで近くの宿泊できる場所を調べた。近くに宿は何軒かあったが、営業していない所がほとんどだった。
少しして、中森と桜庭が戻って来た。
「今夜、泊まれるところはありそう?」
桜庭が三人にそう訊いた。
「いや、それが、泊まれるところがなさそうなんだよ……」と、嶋は答える。
「え? マジで!?」と、中森が残念がる。
「そうなんだ……」と、桜庭が呟いた。
「それじゃあ、一度、利尻に行った方がいいってこと?」
それから、中森が訊ねる。
「うん、それがいいんだろうけど……」
嶋がそう言いかけて、湯川が口を挟む。
「オレたちが乗ってきた船って、確か今日の最終船だったはず……」
「え? それじゃあ、船はもう来ないの?」
「そうだね。次に船が来るのが来年の……確か一月四日だったはず」
「来年!?」中森が目を丸くする。
「え? ウソ……。そんな先なの?」
桜庭も残念そうに言う。
「マジか。詰んだな」
そう言って、中森は苦笑する。
「部長はなんでそんな大事なことを間違えるんだよ!」
それから、中森が嶋に怒りをぶつける。「しかも、鍵だって忘れるし!」
「ゴメンって……」
嶋は中森に謝る。自分のせいだと嶋は悔いる。
「中森くん、そこまで言わないでよ」
加賀谷が助け舟を出すように言った。
「そうだよ。部長が確認しないのも悪いけど、のこのこと着いてきた私たちにだって非はあるよ」と、桜庭も嶋を庇うように言う。
「まあ、確かに」と、中森は納得して言う。
「それよりも、これからどうするか?」
その後、湯川がそう言った。彼が一番冷静であった。
「うーん……」
嶋は考える。しかし、彼は何も思いつかなかった。
「一つ方法がある」
それから、湯川が言った。皆が彼を見る。
「何?」と、中森が訊く。
「あまりいい方法ではないかもしれないし、彼らの承諾が必要だが――ここへ泊らせてもらうんだ――」
湯川のその一言に、皆が呆気にとられた。
「ここへ?」
口を開いたのは、桜庭だった。
「そう」と、湯川は頷く。
「そんなことできるの?」
「無理を承知で、頼むしかないだろうね」
「そっか。そうだよね……」と、加賀谷が納得して言った。
そうする以外、方法はないだろうと嶋も思った。
「……分かった。僕が話してみよう」
それから、嶋がそう言った。全員が頷いた。




