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嶋たち五人は燃えているペンションの前で立ち尽くしていた。
外は寒いが、幸い(幸いと言っていいのか)建物がストーブの代わりのようなので、皆それほど寒さを感じていなかった。
嶋は伴のところへ駆けつけた。先程窓から飛び降りたのである。彼は死んでしまったのではないかと思ったが、どうやらまだ息はあるようだった。
嶋は一度、安堵した。しかし、このまま雪の中に放置すれば、彼は死んでしまう可能性が高いと嶋は思った。もちろん、嶋たちもこのまま外へいたら凍死の可能性もある。それまでに船が来てくれればいいのだが……。
ふと、上空でガタガタと音がした。嶋はそちらへ目をやると、一台のヘリコプターが飛んでいた。どうやらこちらへ向かってきているようだった。
ヘリはゆっくりと下降し、燃えているペンションの辺りに着地した。
「おーい!! 大丈夫か!!」
そのヘリから一人の警察官がやって来て言った。黒髪で短髪の男だ。
「嶋さんは、どなたです?」
それから、その黒髪の警察官がそう訊いた。
「僕です」と、嶋は手を上げる。
「ああ、君か! 二日前に連絡をくれた人ね。殺人があったって聞いてるけど、これは一体どういうことだい?」
それから、その警察官が燃えているペンションを見て目を丸くする。
「犯人が、中で灯油をばら撒いて火を点けました……」
嶋は申し訳なさそうにそう説明した。
「そうか……。で、その犯人は?」と、その警察官が訊いた。
「あそこに倒れている奴です……」と、嶋は倒れている人物を指す。
見るなり警察は目を見張る。
「彼、あの二階の窓から自分で飛び降りたんです……」
嶋がそう話すと、「そうか……」と警察は頷き、伴のもとへ駆け寄る。彼の脈を診て、「どうやらまだ息はあるようだな……」と、警察は言う。
それから、その黒髪の警察官がもう一人の坊主頭の警察官に話す。
「ドクターヘリを一台要請しよう」
「了解です」
坊主頭の警察官がそう言って、無線機でドクターヘリを要請した。
その後、黒髪の警察官が伴を含めた人数を数えた。
「嶋さん、ここにいるのは全員で六人かい?」
黒髪の警察官が嶋にそう訊く。
「ここにいるのはそうですが、まだ中に生きている人が二名います!」
嶋が真剣な顔でそう言うと、「何っ!?」と、二人の警察官が驚いた。箕輪と鷲尾もビックリする。
それから、二人の警察官は顔を見合わせ、急いでペンションの中へ入って行った。
数分後、二人の警察官がそこから出てきた。その後、ケチャップや赤ワインで汚れている服を着た加賀谷と中森も出てきた。
二人を見て、嶋ら三人はホッとした。
実は、加賀谷と中森は殺されたフリをしていたのだった。(二人を殺したのは嶋という設定である。)
「これで、本当に全員ですね」
それから、黒髪の警察官が嶋を見て言う。
「はい」と、嶋は頷く。
再び黒髪の警察官が人数を数えた。「全員で八人ですね」
「はい、そうです」と、嶋は頷く。
「了解! ドクターヘリを要請したので、そちらに患者ともう一人乗ってもらって、病院へ向かってもらおう。後の人たちはこちらのヘリで警察へ……」少し考えて、「いや、今日のところは一旦、ホテルかどこかに泊まってもらおうか……」と、その警察官が言った。
「分かりました」
嶋はそう言う。それから、「誰が伴さんの付き添いをする?」と、彼は皆に訊いた。皆、話は聞いているが下を向いている。
「いなければ、僕が付き添うよ」
嶋がそう言うと、何人かが頷いた。
「それじゃあ、嶋さん、頼んだよ!」
黒髪の警察官がそう言った。「はい」と、嶋は返事をする。
それから十五分程してドクターヘリがやって来た。中から救急隊員が出てきて、二人掛りで伴を抱えた。伴がそのヘリに乗った後、嶋もそれに乗った。すぐさまドクターヘリは離陸する。
「さあ、君たちもこちらに乗りたまえ」
黒髪の警察官がそう言って、他の六人も警察のヘリに乗り込んだ。すぐにそのヘリも離陸した。
*
伴を乗せたドクターヘリは稚内の市立病院に到着した。病院へ着くと、彼は集中治療室へ運ばれた。しばらくして、伴の無事が確認された。同伴していた嶋はその報告を聞いて安堵した。
それから、嶋のスマホが鳴る。湯川からだった。
「もしもし?」
『もしもし、オレだけど、今警察署の近くのホテルに皆が着いたよ』
「そっか」
『そっちはどう?』
「伴さんなら無事だよ」
嶋がそう告げると、「そうか。それなら良かった」と、湯川は言った。
「ホテルの場所のURLを送るから、すぐに来いよ。病院からも近いみたいだから。お前も疲れただろう?」
「分かった。湯川、ありがとう。すぐに行くよ」
そう言って、嶋は電話を切る。しばらくして、湯川から皆がいるホテルのURLが送られてきた。病院から徒歩十分ほどの所にそのホテルはあった。
「また明日来ます」
嶋は看護師にそう一言いって、その病院を出た。
嶋はスマホの時計を見る。日付は一月二日に変わっていた。時刻は午前一時四十分だった。
嶋はとても眠かった。皆のいるホテルまで直行した。




