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 その翌日の午前九時頃、嶋ら七人全員は伴のいる病院に到着した。嶋が受付で用件を伝えると、すぐに看護師が彼のいる部屋へ案内してくれた。

 全員が病室に入る。伴はベッドで眠っていた。

「伴くん!」

「純也くん」

 鷲尾と箕輪が二人して彼を呼ぶ。しかし、彼は目を覚ます気配がなかった。

「……どうやらまだ意識は戻らないらしい」

 それから、嶋がそう言った。

「え……」と、鷲尾が残念そうに言う。

「そうなんだ……」と、箕輪も落胆して言った。

 それから、二人は黙る。嶋たちも黙って彼の方を見ていた。

「ねえ、どうして伴くんは飛び降りたりなんかしたの?」

 ふと、箕輪が皆に聞こえるように言った。

「さあ?」と、嶋は首を傾げる。

「それと、ペンションに灯油を撒いて火事にしたのはどうして??」

 箕輪が疑問を口にする。

 だが、皆、下を向いて黙っていた。嶋が口を開いた。

「それは多分、伴さんは、()()()しようと考えたんだと思うんだ……」

 嶋がそう言うと、戦慄(せんりつ)が走ったかのように皆がビックリする。

「み、皆殺し……」

 鷲尾が呟くように言う。嶋は静かに頷いた。

「犯人――伴さんは多分、最初から()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と僕は思うんです。大門さんや小山内さんを殺したのもそのためです」と、嶋は話す。

「それじゃあ、私たちも……?」と、鷲尾が言う。

「おそらく」と、嶋は頷く。

「そんなあ……」

 箕輪が手で顔を隠して言う。

()()()()()()()()()()()。それから、()()()()()()()()()。全員殺そうと思ったに違いありません」と、嶋は言う。

「え?」と、加賀谷が驚く。

「ウソ!?」と、桜庭もビックリした。

「どうして俺らも狙われることになったんだ?」と、中森が訊く。

「多分、犯人にとって僕たちミステリー研は()()()()()だったんだよ」と、嶋は言う。

「邪魔?」と、中森が訊き返す。

「だってほら、僕たちは間違ってあそこへ行ってしまったからね。泊まらせてもらったとはいえ、本当はあの場所にいるべきじゃなかっただろう? だけどいるものだからどうやって始末しようかと考える。中森、もしお前が犯人だとしたら、どうやって始末する?」

 嶋がそう中森に質問する。

「それは……」と、中森は考えて「俺も()()()()()()()()()()()()()()かな……」と答えた。

「だろう? それが一番確実な方法だ。つまり、犯人はそうして全員を殺害する。それから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだんだと思う……」

 嶋は真顔で言う。

「でも、失敗したという訳か……」と、湯川が口を挟む。

「そう」と、嶋が湯川を見て言う。「中森と加賀谷は上にいたが、桜庭と湯川と僕の三人は一階にいてまだ起きていた。だから、すぐに臭いにも気付けたし、彼を追い詰めることもできた。伴さんは灯油を撒いたことを僕に気付かれ、自分の部屋に入った。けれどそこは()()()だった。だから、()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 嶋はそう話すと、一度口を閉じた。

「最悪で最低な犯人だな……」

 湯川が舌打ちして言った。皆が彼を見る。

「どうしてそういうこというの?」と、桜庭が湯川を見て言う。

「だって、そうだろう? こんな奴……」

 湯川はそう言って伴の首に手を掛ける。

「おい! 湯川、やめろ!!」

 慌てて嶋が彼を注意する。「まだ生きてるんだって!」

 嶋にそう言われて、湯川は手を離す。

 ふいに、伴が咳き込んだ。皆が彼を見る。

「伴くん!」

 鷲尾が声を掛ける。

「わ、悪かったな……」

 伴は目を開けてそう呟いた。どうやら皆の話を聞いていたようである。

 伴が目を覚ましたことで全員が驚いた。もちろん、湯川もビックリしている。

「良かった……」

 嶋がホッとして言う。鷲尾も微笑んで頷く。

「全部聞いていたよ……。()()()()()()

 伴は七人をゆっくり見て言った。

 箕輪と鷲尾は困惑した顔をしていた。犯人が彼であるということよりも、彼の意識が戻ったことをまだ実感していない様子であった。

 再び伴は口を開いた。

「しかし、嶋くん。()()には驚いたよ……」

()()?」と、嶋が訊き返す。

()()()()()()()()()()()()()だよ」

「ああ」

「まさかアレが()()だったとはね……」

 伴は感心してそう言った。

「フフフ」と嶋は笑う。それから、中森や加賀谷らミステリー研全員が笑った。

「アレは僕が考えたものです。()()()()()()()()()()()()というか……」

 嶋はそう言ってにやりと笑う。

「なるほど……」と、伴は頷く。「うまいなあ」

「でも、その後すぐに()()()()()()が見つかりました……」

 嶋がそう言うと、「ウソ!?」と、中森が言った。「そうなの?」と、加賀谷も言う。

「それは何だい?」と、伴が訊く。

「カメラです」と、嶋は言う。「小山内さんの持っていたあのカメラに映っていたんです」

 嶋はそのカメラで動画が撮られていたことを伴に打ち明けた。すると、伴はビックリした顔をした。嶋は話を続ける。

「その動画に犯人らしき人物が映っていました。犯人は小山内さんを殺害した時、あるものを落としたんです」

「あるものって?」と、伴が訊く。

「小さな銀色のモノでした」

「銀色のモノ……?」

「そうです。何だと思いますか?」

 嶋が伴に質問する。

「さあ?」と伴は首を傾げるので、嶋は答えを言う。

「おそらくアイコス――電子タバコです!」

 嶋がそう言うと、「あ!」と、そこで伴は思い出した顔をした。

「その後、犯人は現場に戻ってそれを拾いに来てます」

「マジか……」

「どうですか? 心当たりはありませんか?」

 嶋が伴にそう訊くと、彼は口を開いた。

「ああ……そうだ。小山内を殺した時、俺はそれを落としたことに気付かなかったんだ。だから、後でそれを吸おうとしてポケットにないことに気付いたんだ。それで慌ててあの部屋に戻って拾ったんだ」

「そうでしたか」

 嶋は一呼吸置く。再び彼は口を開いた。

「しかし、大門さんを殺害した犯人があなただと、すぐにはピンときませんでした……。一体、誰が殺したんだろうと考えました。探し物をしている時にあるものが無いことに気付いたんです」

「あるもの?」と、伴は訊き返す。

()()()()()()()()()()です……」と、嶋は答える。

「それが何?」と、伴は訊く。

「カラオケ室にあったライターが消えていたのは、()()()()()()()()()()()()()()()……ですよね」

「そうだけど?」

「どうしてあなたはそれを持って行ったのか? それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からです! あなたは電子タバコを吸っていて、最初からライターなんて持っていなかった。どうしてもライターが必要になった。だから、あなたは大門さんからライターを借りる必要があった。そこであなたは大門さんをカラオケ室へ呼び出すことにした。雑談でもしながら一緒にタバコを吸おうなどと言ったんでしょう。そして二人でタバコを吸い、その後あなたはすぐに彼を殺害した……。それから、凶器を捨てに部屋へ戻った。凶器は窓から捨てたのでしょうね。ライターはその後にでも回収したんでしょう……」

 嶋がそう話すと、「なるほど」と、湯川が納得して言う。

「合ってます?」と、嶋は伴に訊く。

「ああ、その通りさ」と、伴が言った。

「でも、どうしてサークルのメンバーを殺害しようと思ったんです?」

 それから、加賀谷が伴にそう訊く。

「それは……」と、伴が口を開く。「()()()()()()()()()()()……。皆、部長の言うことも聞かないし、俺がやりたいって言った脚本もすぐ駄目だしする。おまけに皆、色々と好き勝手言って正直うんざりだった……。」

 伴がそう話すと、箕輪や鷲尾は申し訳なさそうな顔をする。

「だから、俺は皆を殺してやろうと思い、あることを思いついた」と、伴は言う。

「それが今回の合宿ですか?」

 嶋がそう訊くと、「ああ、そうだ」と、伴は頷く。

「なるほど」と、嶋は言って黙る。嶋は同じ部長として少し分かるような気がした。だが、流石にメンバーを殺したいほど憎いと思うことはない。


 少しして、ガラガラとその病室の扉が開いた。皆ビックリしてそちらを見ると、この間の警察官が二人立っていた。鈴木(すずき)という黒髪短髪の警察官と、三浦(みうら)という坊主頭の警察官であった。

「お取込み中、失礼ですが、伴さんのお加減は?」と、鈴木は訊いて驚いた顔をする。

「目を覚ましたんですね。それなら話が早い。伴純也さん、あなたを殺人の容疑で逮捕します」

 彼にそう言われ、「あーあ」と、伴は残念そうに言う。

 嶋たちは目をぱちくりさせる。それから、全員が笑った。

「平気なら、署までご同行お願いします」と、鈴木は言った。

 伴は頷く。

「あ、それと。ここにいる七名の方にもお話をお聞きしたいので、署で事情聴取をお願いできますか?」

 それから、三浦にそう訊かれ、嶋たち全員がはいと返事をした。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。


皆さん、こちらの作品はいかがでしたでしょうか?


今回のテーマは、「冬歌ミステリー」でした。

なぜ冬歌ミステリーかというと、以前、「男女六人殺人事件」という作品を書いた際、「夏歌」をテーマにミステリーを書きました。私は以前にも書きましたが、J-popが大好きです。その時は、夏だったこともあり、夏歌をテーマに小説を書けないかと考え、作品を完成させました。今回は、夏歌があるなら、冬歌ミステリーもあってもいいじゃないかと考え、「平成レトロ」なども織り交ぜながらこのような作品に仕上がりました。


それから、今回のミステリーでもやはりクローズドサークルを書きたかったので、季節は冬。冬の孤島として、北海道の礼文島を採用しました。年末年始という閑散期。そして、時代も「令和」(まさに今)の時代にしてみました。

「ミステリー研究会」も使ってみたかった要素の一つだったので、今回、挑戦してみました。

「男女六人殺人事件」よりも登場人物が多いです。登場人物が多いので、読みやすさを考えて今回は最初に「人物紹介」の欄を加えてみました。


皆さん、犯人は当てられましたか?

犯人を当てられた方、お見事です!


そうじゃない方も楽しんでいただけたら、幸いです。


長くなりましたが、最後にいいねや感想等など頂けたら励みになります。

改めまして、どうもありがとうございます。

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