↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/30

27

 嶋、湯川、桜庭の三人は寝ようにも寝られないので、一階のリビングへ行った。気が付けば、伴も部屋へ戻っていた。嶋と湯川はソファに腰掛ける。

「コーヒーでも淹れるね」

 桜庭が気を利かせてコーヒーを用意してくれた。

「ありがとう」と、嶋は彼女に言った。

 三人は黙ってコーヒーを啜る。コーヒーを飲んで嶋は少し気分が落ち着いた。二人もホッとした表情をしていた。

 しばらくして、二階から悲鳴が聞こえた。箕輪の声だった。

 嶋たち三人はすぐに二階へ上がり、彼女の部屋の前まで行く。

「嶋です。箕輪さん、どうしたんですか!?」

 嶋が扉をノックして訊いた。

 すぐに内側の鍵が開く音がし、中から箕輪が顔を出した。

()()()()……()()()()()!!」と、彼女が恐る恐る言った。

()()()?」と、嶋が訊き返す。

「これよ、これ!」と、箕輪はそのカメラを持って言う。「カメラ」とは、()()()()()()()()使()()()()()()()()だった。

「動いてるって……?」

 嶋がそう訊くと、「ほら、ここ()()()()でしょ?」と、箕輪が言った。

 そのカメラを見ると、ランプが赤く点滅しているのが確認できた。どうやらそのカメラは「録画中」のようであった。

「なるほど……。でも、どうして悲鳴を上げたりなんかしたんです?」

 それから、嶋が箕輪に訊いた。

「いや、それは……。ちょっとカメラをいじろうとしてたの。そしたら録画されていたから、思わずビックリして……」

 箕輪はそう話す。

「そうですか。あ、箕輪さん、ちょっとこのカメラをお預かりしてもいいですか?」

 嶋がそう訊くと、「ええ、好きにしてちょうだい」と、彼女は言って嶋にそれを渡した。

「ありがとうございます」

 嶋はそれを受け取ると、彼女にお礼を言う。

「あ、失礼しました。おやすみなさい」

 それから、嶋はそう言ってそこから離れる。湯川と桜庭も箕輪にペコリとお辞儀をした。

「おやすみなさい」と箕輪は言って、すぐに扉を閉め、鍵を掛けた。

 嶋たち三人は再びリビングへ戻った。

「嶋くん、なんでそのカメラを預かったの?」

 ふと、桜庭が嶋にそう訊く。

「これが、僕たちが探していた()()だよ!」

 嶋はにやりと笑って言う。

「証拠?」と、桜庭が訊き返す。

 それから、「ああ、そうか!」と、湯川が気付いて言った。

「このカメラは録画され続けていたんだね」と、湯川は言う。

「そう。ということはもしかすると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ね」

 嶋は得意げに話す。

「そっか!」と、桜庭が納得する。

「ちょっと見てみよう」

 嶋はそう言い、カメラの録画ボタンを止めた。そして、録画された動画を再生した。嶋ら三人はその動画を観る。

 その動画は約四十時間分も録画されていた。その長さは約二日分にも及んでいた。

 嶋たちは動画を飛ばし飛ばしに観る。

 動画は最初、(多分)小山内が録画を始めている。少しして、扉をノックする音がした。その音にビックリした小山内は慌てていたようで、持っていたそのカメラを床へ落とした。カメラは落ちたまま動画を映していた。それはベッドの方を向いている。

 その後、廊下の明かりが中へと入る。どうやら扉が開いたようである。それから、そこへ誰かが入って来た。ややあって、ガンという音がした。

 その音で嶋たち三人はビックリする。

「多分、ここで小山内さんは犯人にマイクで殴られたんだ……」

 嶋がそう説明する。湯川と桜庭が頷く。

 そして、バタリと倒れた音がした。小山内が倒れたのだろう。それから、一度犯人が映る。犯人は倒れた小山内を背負うように持ち上げた。が、暗くて犯人の顔は見えなかった。

 その後すぐである。犯人の胸ポケットから何かが落ちた。

「ん?」

 嶋は一度、動画を止める。「今、何か落ちたよね?」

「何だろう?」と、湯川が目を凝らす。

 それは小さくて分からないが、()()()()()に見えた。

 嶋は再生する。犯人はそのままその部屋を後にする。

「この後、犯人はカラオケ室へ行ったんだね」と、湯川が言う。嶋と桜庭が頷く。

 それから動画はしばらく変化がないので、嶋は早送りした。ややあって、その部屋に誰かがやって来た。だが、暗くてやはり顔は見えない。

「あ!」と、嶋は声を上げる。

 その人物は先程その部屋に落としたそれを拾い、すぐにそこを出て行った。

「銀色の何か……」と、嶋は呟く。

「それが犯人を探す手がかりか……」

 それから、湯川がそう言った。嶋は頷く。

 その後、動画はしばらくなにも起こらなかった。動画の半分くらいになると、箕輪がやって来て彼女がその部屋で過ごしている様子が映った。それ以外で特に変わったことはなかった。そして、動画終盤に彼女が床に落ちていたカメラを拾う。点滅していることに気付いてビックリした顔をし、悲鳴を上げる。その後、二階にやって来た嶋たちがカメラに映る。

 動画はそれで以上だった。

「もう一度、犯行のところだけ見せてほしい」

 湯川が言った。嶋は頷く。

 それから、動画を最初から再生し、再び犯行のシーンを見る。

「ストップ!」と、湯川が言う。犯人の胸ポケットから銀色の何かが落ちたところである。

 三人は目を凝らして見る。

「うーん、これは……」と、湯川が考えながら言う。

 ふと、桜庭が表情を変えた。

「ねえ、これって、()()()()()じゃない?」と、彼女が言った。

「あ!」と、嶋も気付く。

「そうか!」と、湯川も顔色を変える。

「それを持っていたのは、()()()しかいない……」

 湯川はそう言って、にやりと笑う。

「間違いない。犯人は……」

 嶋は二人を見て言った。


「ねえ、二人とも何だか()()()()……?」

 少しして、桜庭がそう言った。

 確かに先ほどから焦げ臭いにおいがするなと嶋は思っていた。

「あ!」

 それからすぐに嶋は気づく。その臭いはカラオケ室の方からしていた。

 嶋は急いでカラオケ室へ向かう。見ると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ウソ!?」

 嶋はその光景に驚愕する。それからすぐに犯人の仕業だと思った。

 湯川と桜庭もそこへやって来る。

「え?」

「どうして……」

 二人もその部屋の様子に唖然とする。

「ここだけじゃない!」

 それから、湯川が二階を見て声を上げる。二階の廊下に、()の姿があった。

「二階もか!」

 嶋もそちらを見てそう言って、すぐに階段を上がる。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「おい! 何やってるんだ!!」

 嶋が怒声を上げる。

「フフフ……フィナーレだよ……」

 伴はそう言って、手に持っているライターで廊下に火を点けた。すると、火はバッと廊下一面に広がる。

「やめろ!!」

 再び嶋が大声で叫ぶ。

 それから今度、伴は自室へ行った。急いで嶋は彼の部屋の前まで行く。

 伴は部屋へ入ると、再び部屋に灯油を撒き、火を点けた。

「何やってるんだ!! やめろ!! おい!!」

 嶋は叫び、彼を止めようとした。嶋が助けようとした途端、伴は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ビックリした嶋はすぐに窓際へ寄り、その部屋の下を見た。伴は雪に埋まるようにそこへ倒れていた。嶋は彼の姿を呆然と見ていた。

「嶋くん!」

 桜庭の呼ぶ声がした。気づくと、彼女は部屋の前にいた。

「おい! 嶋、何やってるんだ!」

 それから、湯川が言った。彼は桜庭の隣にいた。

「伴さんが……飛び降りたんだ!!」

 嶋がそう伝えると、「マジか……」と、湯川が静かに言う。

「それより、早くここから皆で出るぞ!!」

 それから、湯川が言う。部屋の中の火は勢いよく燃えている。嶋は頷いた。

 嶋たちはすぐに箕輪と鷲尾の部屋をノックした。

「ペンションで火災が起きた」というと、彼女たちはすぐに部屋を出てきた。それから、五人はコートやジャンバーを持って外へ出た。

 外は寒かった。嶋はスマホで気温を確認すると、マイナス四度だった。雪が降っていないだけましであるなと彼は思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。