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嶋たち三人はカラオケ室をもう一度調べることにした。
カラオケ室に入り、嶋は電気をつける。
「わ!」
二つの死体が目に入り、嶋は思わずビックリする。その声で中森と湯川もびくりとする。
「脅かすなよ……」と、中森は嶋に言う。
「ゴメンゴメン」と、嶋は謝る。
異臭のする部屋で三人はそこを調べる。何か手がかりになるようなものはないだろうかと嶋は思い、その部屋をくまなく探す。
嶋はふとテーブルに目をやる。テーブルには、誰かが吸ったであろう灰皿とタバコの箱が置いてあった。おそらく大門のタバコに間違いないのだが……。
「あれ?」と嶋は不思議に思い、首を傾げる。
「ん? どうしたんだ?」と、中森が嶋を見る。
「変だなぁ……」
「何が?」
「ここにライターがないんだよ……」と、嶋は言う。
「ライター?」
そう言って、中森はテーブルを見る。湯川もそちらを見た。
「この前ここを調べた時には、あったように思ったんだけど……」
嶋が言うと、「確かに」と中森が言った。
「もしかしたら、誰かが持って行ったとか?」と、湯川が言う。
「おそらく。犯人が持って行った可能性もある……」と、嶋は言う。
「あと、気になる所といえば、大門さんたちがいたあの部屋なんだけどな……」
それから、湯川がそう言った。
「今、箕輪さんがいる部屋だね?」
嶋が言うと、うんと湯川は頷いた。
「彼女に占領されちゃってるなら、すぐには入れそうもないね……」
中森が残念そうに言う。二人は同時に頷いた。
「後で見せてもらおうか……」と、湯川は言う。「もちろん、女子の部屋はうちの女子メンバーに協力してもらって確認してもらおう」
湯川がそう言うと、「ああ、その手があったか」と、中森が思い出して言う。
「うん、そうだね」と、嶋も頷いた。
「それより、部屋で少し休憩しないか?」
それから、湯川が二人にそう提案した。
嶋はスマホの時計を見る。二時を過ぎた頃である。
「そうだね」と、嶋は言った。中森も頷く。
三人は二階へ上がり、中森と湯川の部屋に入った。
湯川は真っ先にベッドへダイブした。中森はもう片方のベッドに座った。その間に敷いてあったマットレスに嶋は腰を掛ける。
「やっぱり、三人だと部屋が狭く感じる」と、中森が愚痴をこぼす。
「悪いね」と嶋は謝り、「でも、なんだか修学旅行みたいでいいじゃないか」と笑う。
「だから、もしオレか中森のどちらかが犯人だったら……」
湯川がそう言いかけて、「ないない」と、嶋は手を振る。湯川と中森が笑い出す。
「なんだか疲れた……」
それから、中森が横になって言った。
「雪掻きをしたからかな」と、嶋は言う。
「ああ、多分そうだな」と、中森が欠伸をして言う。
「オレは眠くなってきた。少し仮眠しよう」と、湯川も欠伸をして言った。
嶋も先ほどの雪掻きで少し疲れていた。彼も少し寝ることにした。
(あ、寝るなら、鍵閉めておかなきゃ……)
嶋は思い出し、立ち上がる。扉の前まで歩き、すぐにその鍵を閉めた。それから、嶋はマットレスに横になり目を瞑った。
*
ふと、加賀谷は目が覚めた。彼女は気が付くと、リビングのソファで眠っていた。
数時間前、外でメンバーたちと雪掻きをしていたからか、どうやら疲れてしまっていたらしい。近くのソファに桜庭も同じように寝ていた。
それから、加賀谷は気付く。そこに――――鷲尾がいなかった。
すぐにどこへ行ったのだろうと思ったが、加賀谷たちが寝ている間に部屋へ戻ったのだろうなと思った。
リビングはしんとしていた。先ほどまで三人で音楽を聴いていた。音楽も止まっていた。もしかすると、鷲尾がそれを止めて行ったのかもしれないと加賀谷は思った。
それから、加賀谷は壁の時計に目をやる。気づけば四時を回っていた。
相変わらず暇だったので、加賀谷はなんとなくテレビを点けた。ぼんやりとテレビを観る。
喉が渇いたので、コーヒーを淹れることにした。
コーヒーを飲みながらテレビのニュースに目をやる。ふと、画面上部に『地震速報』と表示された。
「え!? 地震!」
加賀谷は思わず声が出る。しかし、揺れは感じなかった。
テレビ画面には、地震情報の字幕が表示される。加賀谷はそれを見る。
石川県能登半島 珠洲市 M7.6 最大震度7
ややあって、ニュースキャスターが地震速報を口頭で説明し始めた。
「石川か……。大変!!」
加賀谷は画面越しにそう呟いた。
しばらくして、桜庭がテレビの音で目を覚ました。それから、「どうしたの?」と彼女が寝起きの声で訊いた。
加賀谷はすぐに地震があったことを説明する。
「あ、そうなんだ……。それは大変だね……」
桜庭は欠伸をし、目を擦りながら言った。
「ねー。でも、この辺りは全く関係ないみたいだけど」と、加賀谷は言う。
「あー、そっか」
それから、桜庭が思い出して言う。「ここ、北海道だもんね」
「うん」
「でも、お正月から地震って不謹慎だね……」
「ホントだよね」
「あれ? そういや、鷲尾さんは?」
それから、桜庭は彼女がいないことに気付いて加賀谷に訊いた。
「あー、多分、部屋じゃないかな?」と、加賀谷が答える。
「多分って?」と、桜庭が訊き返す。
「私も寝ちゃってて。起きたらいなかったの。私たちが寝ている間に部屋に戻ったんじゃないかと思うの……」
加賀谷がそう話すと、「そっか」と、桜庭は頷いた。
「あ、あたしもコーヒー飲もうかな」
桜庭はそう言って、ソファから立ち上がりキッチンへ行く。彼女はコーヒーを自分で淹れると、再び元いたソファに座った。コーヒーを啜りながら桜庭もテレビを観る。
「ねえ、私思うんだけど、鷲尾さんは犯人じゃないと思うんだ」
ふいに、加賀谷がそう言った。
「え? なんで?」と、桜庭が訊く。
「だって、私たち二人とも寝ていたけど、襲われなかったじゃない?」と、加賀谷は話す。
「確かに」
「もし彼女が犯人なら、私たちを襲ってもおかしくないでしょ? だけど、私たちが襲われなかったってことは違うってことなんじゃない?」
「そうかもしれないけど、犯人は元々私たちミステリー研は殺したりしないんじゃないの?」
それから、桜庭がそう言う。
「あ、そっか……。そういうことも考えられるのか……」
思い出して加賀谷は言う。
「まあ、あたしも犯人じゃないと思いたいけど、どうかなあ?」
桜庭がそう言って、にやりと笑う。
「…………」
加賀谷は黙る。
「ねえ、それより、伴さんが怪しくない?」
それから、桜庭がそう言った。
「伴さんが?」と、加賀谷が訊き返す。
「ほら、さっき散歩に行くって言って、三十分くらい外出してたでしょ?」
そこで、加賀谷は思い出す。
「あー、確かに。どこへ行ってたんだろう?」
「夕飯の時に、どこへ行っていたのか訊いてみようよ」と、桜庭が言った。
「そうだね」と、加賀谷は頷いた。




