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お昼を食べ終えて、加賀谷と桜庭が食後のコーヒーを淹れた。皆がダイニングやリビングでコーヒーを飲みながらくつろいでいた。壁の時計は午後一時を過ぎた頃だった。
「はあ、暇だな~~」
伴が退屈そうに言う。先ほどまで彼は漫画を読んでいたが、どうやら飽きたらしい。
「散歩でもしてこようかな」
ふと、伴がそう言った。
嶋、中森、湯川の三人が伴を見る。それから、中森が口を開いた。
「散歩?」
「ダメかな?」と、伴は訊き返す。
「外は出ない約束だったよな?」と、中森は嶋に確認して訊く。
「基本的にはそうだけど」と、嶋は言った。
「どこにも行かないさ。少し外の空気を吸うだけ」と、伴は言った。
「まあ、少しくらいなら。あ、外は雪降ってますから、気を付けて下さい」
嶋がそう言うと、分かったと伴は言ってダイニングを出て行った。
「あ、そうだ! ウチ、部屋の移動しなきゃ!」
それから、箕輪が思い出してソファを立ち上がり、二階へ上がって行く。嶋もそれを思い出して二階へ上がった。
嶋は自分が寝泊まりした部屋へ入り、ベッドのマットレスと布団などを抱え、中森たちの部屋まで運んだ。寝るときはそれを床に敷こうと彼は思った。荷物は持っていくと邪魔になると思ったので、そのまま部屋に置くことにした。
一方、箕輪は荷物を一式持って大門たちがいた部屋へ運んだ。それが済むと、彼女はそのままその部屋へ籠り、鍵を掛けた。
嶋は部屋の移動が終わると、一階へ降りてリビングへ行った。
リビングへ行くと、音楽が流れているのが聞こえた。三人の女子が部屋にあるCDラジカセで音楽を聴いていた。どうやらJ-popのようだ。確か男性五人組のアイドルの曲だったなと嶋は思い出す。三人は曲を聴きながら話をしていた。
「五人の中の誰が好き?」と、加賀谷が訊く。
「あたしは、ニノかな」と、桜庭が答える。
「私はショウくん」と、加賀谷が嬉しそうに言う。「鷲尾さんは?」
「私は……マツジュンが好き」と、鷲尾が笑顔で答えた。
「皆、バラバラなんだね! 箕輪さんは誰が好きなんだろう……?」と、加賀谷が言う。
「さあ?」と、鷲尾が首を傾げる。
「あ、嶋くん!」
それから、加賀谷が嶋に気付く。彼女は「ねえ、嶋くんはこの中だったら、誰が好き?」と訊いた。
「え? 僕は別に興味はないんだよね……」
嶋がそう答えると、「そうなんだ」と、加賀谷は残念そうに言った。
「あれ? 箕輪さんは?」
それから、桜庭が嶋にそう訊く。
「彼女なら部屋を移動した後、そのまま部屋に閉じ籠ってしまったよ」
嶋がそう話すと、「あ、そうなんだ……」と、桜庭は呟くように言った。
「ところで、伴さんは戻って来た?」
それから今度、嶋がそう訊いた。
「いやー」と、加賀谷が言う。「まだだね」と、桜庭も言う。
「そっか」と、嶋は頷く。
「二人とも、何してるんだろう……」
それから、鷲尾が呟くように言う。
その後、嶋はダイニングへ向かう。そこに中森と湯川がいた。二人はスマホをいじっていた。
「二人ともちょっといいかな?」
嶋が二人に声を掛け、ダイニングテーブルの席に着く。
「どうしたんだ?」と、中森が言ってスマホを置く。湯川も嶋を見る。
「……犯人、誰だと思う?」
それから、嶋が二人にそう訊いた。
「犯人が分かったのかと思った」
中森は言って笑う。湯川も苦笑した。
「いやいや、まだ分からないよ。ただ少し整理する必要があるなと思ってね」
嶋がそう言うと、「整理ね……」と、中森は呟く。
「どこから整理するんだ?」と、中森が訊く。
「まずは、大門さんが殺された夜からかな」と、嶋は言う。「大門さんはカラオケ室で発見されたから、犯行現場はカラオケ室で間違いないよね」
「そうだな」と、中森が頷く。
「となると、大門さんはカラオケ室にいた、ということになるんだけど。犯人に呼び出されたのかな?」
「そうじゃないかな?」と、中森が言う。
「それじゃあ、呼び出した犯人は……」
嶋が言いかけて、
「三人の証言から一番怪しいのは、彼と接触している箕輪さんになるよね」
と、湯川が口を挟んで言う。
「そうなるね」と、嶋は頷く。
「それじゃあ、箕輪さんが犯人?」と、中森が訊く。
「もしそうだとして、次の小山内さんを殺害する理由は?」
それから、湯川がそう訊き返す。
「さあ? 多分、彼女に小山内さんを殺す理由はないと思う」と、嶋は答える。
「それじゃあ、鷲尾さんが犯人?」と、中森が訊く。
「小山内さんと接触しているのは、彼女だけみたいだからその可能性もある。けど、彼女が大門さんを殺す理由はあるのかな?」
再び湯川がそう訊く。
「それも違う気がする……」と、嶋は言う。
「となると、伴さんが犯人か?」
それから、中森がそう言った。
「彼の可能性もあるね」と、嶋は言う。
「正直、あれだけのアリバイじゃ、三人とも犯行は可能に思える……」と、湯川は言う。「それか本当に伴さんが言っていた通り、箕輪さんと鷲尾さんの二人の仕業とも考えられる。だけどそうなると、なぜ二人がそれぞれを殺害したのか? という考えに行きつく……。そこに関しては何とも言えないけど」
「やっぱり証|拠が少ないのかな……」
それから、嶋は呟くように言う。
「そうだね。何か犯人だと断定できる決定的なモノがあればいいんだけどね……」
湯川がそう言った。
少しして、玄関のほうでガチャリと扉の開く音がした。どうやら伴が戻って来たようだった。
「あ、帰って来た!」と、嶋は声を上げる。
伴はリビングとダイニングに一度顔を出した。その後、彼は二階へ上がり、自室へと入った。嶋はスマホを見る。時刻は一時半を過ぎていた。




