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「誰が殺した……ねえ」
湯川がオウム返しする。「少なくとも、オレらの中にはいないと思う。そうだろ?」と、湯川は言う。
「うん」と、嶋は頷く。他の皆も頷いた。
「となると、やっぱりあの三人の中の誰かだろう……」
湯川はリビングの方を見て言った。
全員がそちらを見る。リビングには伴、箕輪、鷲尾の三人がいた。
「まあ、もしかすると、あの三人以外の可能性も否定できないけどね……」
それから、湯川はそう付け加えてにやりと笑う。
「え? ああ……」
嶋は一瞬困惑したが、その後すぐに湯川が言いたいことが分かった。それはミステリーのトリックの一つ。
「実は、死んだ人が犯人でした……みたいなパターンね」
嶋がそう言うと、「そうそう」と、湯川は首を縦に振った。
「まさかね」と、嶋は苦笑する。
「警察が来るまでの間、僕たちミステリー研にできることがある」
少しして、嶋が口を開いた。
「何?」と、中森が嶋を見て訊いた。他の三人も嶋を見る。
「それは……推理すること」と、嶋は言った。
「推理?」と、加賀谷が訊き返す。
「そう。つまり、僕たちで犯人を見つけるんだ!」
嶋は冷静に言った。
「部長、面白いこと言うね」
湯川がそう言ってにやりと笑う。
「大丈夫なの? それで私たちその犯人に殺されたりしない?」
加賀谷が心配そうに訊く。
「まあ、そこは気を配る必要はあるね」と、嶋は忠告するように言う。
「そうよね……」と、加賀谷は呟いた。
「それより、犯人を見つけるって言うけど、どうするつもりなんだ?」
それから、中森が嶋にそう訊く。
「まずは現場検証だな」と、嶋は言った。
湯川が頷いた。「分かった」と、中森は言う。加賀谷と桜庭も頷いた。
嶋たち五人は再び現場であるカラオケ室へ向かった。
嶋が先頭で扉を開け、五人はその部屋の中へ入る。嶋は早速、電気を付けた。先程と同じ光景がそこに現れる。
そこには、二つの遺体があった。大門と小山内のものである。
「やっぱり臭うな……」
二つの遺体があるので、部屋は少し異臭がした。臭うので、嶋はその部屋の扉を開けたままにした。
嶋は鼻を摘みながら近くにあった小山内の遺体に近づいた。遺体は頭部が血まみれであった。それから、嶋は大門の方も見る。そちらも同じように頭から血が出ていた。
「頭部から血が……。おそらく犯人は何か硬い物で頭部を殴ったに違いない……」
嶋は皆に聞こえる声で言った。
「硬い物?」と、中森が訊く。
「そう。例えば、バールのようなものとか」と、嶋が言う。
「バールのようなもの……」
そう言って、中森は考える。
「あ」
ふと、湯川が思い出す。「ここって、カラオケ室だったね」
そう言って、湯川はにやりと笑う。
「この部屋にあるバールのようなものといえば……」
「ああ、そうか!」と、そこで嶋も気付く。「この部屋にあるものといったら、マイクだ!!」
嶋は大声で言った。
「そっか!」
そこで中森もそれに気付いた。
「それじゃあ、凶器はマイクってこと?」
それから、加賀谷がそう訊く。
「その可能性は十分高いね」
嶋は得意げにそう言った。
すぐに皆でマイクを探す。
「おいちょっと待て……」
それから、湯川が口を挟んだ。
「ん?」嶋は首を傾げる。
「マイクが二本とも消えてるんだ……」




