16
夕飯はシチューとガーリックトーストだった。
ダイニングとリビングに分かれて、全員がそれらを黙々と食べる。皆、映画の撮影で疲れているようだった。
「ねえ、今日もカラオケする?」
ふいに、箕輪がそう皆に訊いた。
「カラオケって……。あの部屋に死体があんだぞ。できるわけないだろ……」
伴が彼女を見て言った。
「ああ……そっか」
すぐに箕輪は思い出したらしく、残念そうに言う。
「やるなら、ゲームとか?」
その後、小山内がそう言った。
「ゲームいいね! 皆でやろうよ!」と、伴は嬉しそうに言う。
嶋と中森が頷く。
「ゲームか……。いいよ、やる!」と、箕輪も賛成する。「由姫もやるでしょ?」それから、彼女は鷲尾を見て訊いた。
「えー、私、ゲーム苦手なのよね……」
鷲尾は恥ずかしそうに言う。
「そう。じゃあ、やらない?」
「うん、私はパスで」
「そう。あ、加賀谷ちゃんと桜庭ちゃんは?」
それから、今度、箕輪はその二人に訊いた。
「私は……」と加賀谷は少し考えて、「ちょっとだけやろうかな」と言った。
「あたしも」と、桜庭が言う。
「オレもパスします」
それから、湯川がそう言った。皆が湯川を見る。
「聞いてないけど……」
箕輪は小さな声で言う。
湯川は本を持って、そのまま二階へ上がっていく。
「まあ、アイツはああいう奴だから……」と、嶋は口を挟む。
「僕も参加するよ」と、小山内が言った。
夕飯を終えた後、リビングで男子四人、女子三人でゲームをする。そのゲームは列車で日本を横断しながら億万長者を目指すゲームだ。
「あ、もうこんな時間!」
箕輪が壁の時計を見て言った。時刻は十時を過ぎていた。
彼女は欠伸をする。「ウチ、眠くなってきた」
「俺も」と、伴もつられて欠伸をする。「そろそろ寝るか」
「寝る前に、皆、お風呂にだけ入ってね」と、箕輪は言う。「今日、皆、撮影で動いたでしょ」
「はいはい」と、伴は言って立ち上がる。それから、「お風呂、誰から入る?」と、彼は訊く。
「先入ってもいいよ」と、箕輪が彼に言った。「ウチ、その後入ってもいい?」と、彼女が皆に訊ねる。
「いいよ」と、小山内が言った。他の皆も頷いた。その後、誰が入るかを皆で決め、順番に入った。
「あ、寝る時は、部屋の鍵を閉めた方がいいですよ」
嶋が皆に忠告して言う。
「あ、分かりました」と、鷲尾が頷く。
「分かった」と、小山内も言った。
*
小山内はベッドに横になりながらカメラをいじっていた。カメラの時計は十時四十分と表示されている。彼はその日撮った映像を見ていた。
その映像に自分が映っている。大門が演じる予定の役を急きょ自分が演じることになった。その映像を見て、小山内は自分の演技力のなさに残念に思った。
特に、大門の演技はメンバーの中で一番良かった。それなのに……。彼はもういない。昨日、このペンションで何者かに殺されてしまったのだ。一体誰が彼を殺したのか……。
小山内がそう考えていると、ふと、枕元にあるスマホが鳴った。すぐに小山内はスマホに目をやる。
メッセージだった。
『起きてる? ちょっと話したいことがある。今から部屋へ行ってもいい?』
彼の知っている人物からだ。
そのメッセージに小山内は『いいよ』と返信する。
その一分後に部屋の扉をノックする音が聞こえた。驚いて思わず小山内は持っていたカメラを床へ落としてしまった。その際、うっかりなんかのボタンを押したようだ。
それから扉越しにその人物が名乗ったので、「はーい」と小山内は返事をし、鍵を開錠して扉を開ける。
その瞬間だった。
扉の外にいた人物が、いきなり鉄の棒のようなモノで小山内の頭を殴った。
「アッ!!」
脳天を撃ち抜かれる痛みが走り、小山内はそのままその場に倒れ込む。
倒れた彼を見て、その人物はにやりと笑う。
それから、彼を引きずるようにして一階へ降りた。先程開けておいたカラオケ室の扉の前までやって来ると、その部屋の中に彼を押しやった。すぐに扉を閉める。
それを終えて、その人物は静かに部屋へ戻った。
部屋へ戻ると、相部屋の者がいびきをかいて眠っていた。気づいていないようで、安堵する。かと思うと、急に寝言を言い始めたのでビックリした。そして、再びいびきをかき始める。
すぐにベッドに入り、その人物は布団にくるまった。




