12
午前十時になる五分前、箕輪はカラオケ室の前にいた。まだ誰もそこへ来ていなかった。彼女は早速、中へ入ろうと思い、その扉を開ける。中は暗いので、扉の横にある電気のスイッチを付けた。
中に入ると、すぐに彼女は床に人が倒れているのに気付いた。
「きゃーーーー!!」
ビックリして、箕輪は叫ぶ。
それから、ドタドタと足音がカラオケ室の前までやって来る。
「環奈ちゃん? どうしたの??」
伴がやって来て言う。
「りょ、亮くんが……」
彼女は顔を手で覆いながら言った。
「大門が? どうしたっていうんだ?」
伴が訊く。
「…………」
しかし、彼女は黙ったままでいる。
「中を見た方が早そうですね……」
そう言ったのは、嶋である。彼の横に中森と湯川がいて、二人も頷いた。
嶋たち三人は中へ入った。その後、伴も中へ入る。
「あ!」
嶋は大門が倒れているのを見て唖然とする。他の三人も目を丸くした。
嶋、中森、湯川の三人は大門の近くへ寄り、彼の意識を確認する。
「マジか……」と、中森は呟く。
「意識ないみたいだね……」と、嶋は言った。
それから、湯川が手を合わせてお祈りをするように目を瞑る。
「大門は……死んでいるのか?」
それから、伴が嶋たちに訊いた。
「ええ、そのようです……」と、嶋は静かに言った。
「うそだろ……」と、伴は残念がるように言う。「今から本読みやろうと思ってたのに……」
「うわ……ひどい……」
それから、小山内がそこへ入って来て言った。「これじゃあ、映画を撮るのも無理そうだね……」
小山内が伴を見て言う。
「なんでこうなるんだよ……」
伴は言ってため息を吐く。「あーあ、もうやってらんない!」
伴はそう言うと、カラオケ室を出て行った。
「おい……伴!」
それから、小山内が伴を呼び止めるも、どうやらその声は彼に届いていないらしい。
「とりあえず、警察へ連絡しないとな……」
そう冷静に言ったのは、湯川だ。
「ああ、そうだな」と、中森が頷く。「部長、お願い」
「え? 僕が?」
中森にそう言われ、嶋は一瞬嫌な顔をしたが、彼は自分が部長であることから仕方なく思い、「分かった」と言った。
それから、嶋はポケットからスマホを出し、警察に電話をした。
「警察は来てくれるそうだけど、こんな雪の島だから来れたとしても二、三日は掛かるらしい……」
電話を終えて、嶋は言われたことを皆に話した。
「そっか……」と、中森が言う。
電話によれば、年末年始と言うこともあるからバタバタしているらしく、到着がもっと遅れることもあるのだと言っていた。それも嶋は皆に話した。
「なるほど……。それって、ミステリー小説でよくあるお決まりのパターンだね」と、湯川が笑って言う。
「そうなるね……」と、嶋が頷く。
「雪の山荘で起きた殺人……。犯人はこの中にいる……」
それから、湯川はそう言った。
「いわゆるクローズドサークル的なやつね」と、中森も言う。
「そう」と頷いて、湯川はにやりと笑う。
「面白くなってきたじゃない!!」
中森も嬉しそうに笑う。
まさか自分たちがこのような小説みたいな世界に遭遇するとは嶋も思わなかった。それに、正直ビックリしていた。けれど、これは現実のようである。
「ねえ、二人ともそういうのよしてよ!」
それから、加賀谷が三人を制すように言った。
「そうだよ!」と、桜庭も言う。「いくらミステリーが好きだからと言っても、これは現実だよ! 人一人が殺されてるのよ! 三人とも頭を冷やしなさい!!」
桜庭は三人をそう注意した後、ムッとした顔をした。
「ああ、ゴメン……。つい……」
我に返った中森が最初に謝った。それから、嶋と湯川も二人に詫びた。
「これ以上、殺人が起きないといいけれど……」
それから、嶋がそう呟いた。




