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異世界遁世  作者: 半防御 with G
龍王になってみた
44/50

第44話 そして、龍王へ

花粉対策のど飴を舐めています。

もうすぐ春ですね。

3月末かぁ、契約終了。

職探さんと。

人間が、最強種族である龍族の長になる。

当初は、各里の長老たちから猛反発があると思っていた。

だが、蓋を開けてみれば、俺の元には山のような「支持」の書状が届いていた。


『底なしの魔力を持つ御仁なら安心じゃ』

『神様と直通パイプを持つ者を無下にはできん』

『あと、ウチの村にも光回線を頼む』

 ……最後のが本音だろうが、どうやら俺のデタラメな魔力(MP: GOD+)と、

神像を通じたコネクションが信任に値したらしい。

どこの国でも、力とインフラを握る者は認められるのだ。

そして、その時が来た。



まさかのW出産である。

産院となった本店の奥座敷では、それぞれの祖父(ホエイパウダとハシガミ父・オワコン)が、

泣きながら孫を取り上げているらしい。

感動の瞬間だ。

だが、俺はその場に立ち会えない。

なぜなら俺は今、執務室で**【龍王承諾書】**に血判を押さねばならないからだ。


「……いいですか、義父上。2年だけですよ。

2年後に子供がある程度育ったら、王位は返しますからね」

俺は新型ノートPC**【XXX68kトリプルエックス・ロクハチ】**の画面越しに、

産院にいるホエイパウダに念を押した。


『わかった、わかった! おお、産まれた! 元気な玉のような……!』

「聞いてます!? これ録画してますからね! 言質とりましたよ!」

俺は画面上のRECボタンを確認し、震える手で承諾書に拇印を押した。

ジュワッ。

契約魔法が発動し、身体に重厚な力が流れ込んでくる。

……ああ、これで俺は「龍王」か。

目立たないように生きたいと言っていたのに、気付けば世界最強種族の王だ。

人生、どこでどうなるか分からない。



コンコン。

ドアがノックされ、大きな花束を持った勇者たちが現れた。

「龍王就任、おめでとうございまーす!」

「……ありがとう。でもその花束、映画で見たことあるぞ。

中にマシンガンとか仕込んでないだろうな?」


俺が軽口を叩くと、リーダーの安納がツッコんだ。

「そんなわけあるかーい!」

「あ、それいいですね。花束に銃を仕込んで、ドローンで敵陣に飛ばせば……」

「……なんでもドローンかよ。

お前、そのうちドローン10個くらい体に紐付けて、空でも飛ぶんじゃないか?」

「!! それ、いいかも……!」


紅まさり(妹)の目が怪しく光った。

彼女は花束を押し付けると、「設計図引いてきます!」と言って部屋を飛び出していった。

……しまった。余計な知恵を与えてしまったかもしれない。

残された安納が、モジモジしながら切り出した。

「あの、ショウさん。ちょっと相談なんですが……フルトさんの紹介で、

ある女性と会うことになりまして」

「ほう」

「ネットで何回かチャットで話して、意気投合して……今晩、初デートなんですよ。

服とかどうすればいいですかね?」

……こいつら、出産祝いはどうでもいいようだ。

平和ボケもここに極まれり。


「ショウさん、とりあえず一杯飲んでくださいよ」

サブリーダーの綾紫が、酒瓶を持ってすり寄ってくる。

「……なんで?」

「いやぁ、ほら。龍王の第3夫人もいいかなって」

「……」

俺は無言で首を横に振った。

前回の「記憶なし妊娠事件」の二の舞は御免だ。

世界を救うつもりがあるのか、勇者どもよ。


ちなみに、紅はるか(姉)は来なかったが、祝儀袋に入った「お米券(1年分)」が届いていた。

一番実用的だ。



勇者たちを追い出した後、俺は龍王としての「最初の仕事」に取り掛かった。

執務室の椅子に座り、ゴボテンが開発したばかりの新型端末**【Xmoveエックスムーブ】**を

取り出す。

まだ弁当箱くらい大きくて重いが、カメラ機能はついている。

「……えー、新龍王のショウです。就任しました。今後ともよろしく」

メッセージ動画を撮影し、完成したばかりのSNS**【ドラゴンブック】**にアップロードした。

送信ボタンをポチッ。


数分後。

世界中のPCと端末に通知が飛び、トレンド1位になった。

#龍王就任

#ショウ様

#Xmove


こうして、剣と魔法の世界に、デジタルな王が誕生した。

2位はフルトの黒田節舞ってみた。

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